4.あまりにも早すぎた天使との再会
天使と再会した次の日。彼は朝の登校中でも昨日の余韻に浸っていた。
高校に通い始めて2年目、一番の高テンションである。
「えへへ、天使たん、、僕だけのてんしたん、、」
あぁ、昨日良い思いをしすぎてまったく眠れなかった。でも、一応布団には入ったんだよ?旅行の前の日に全然眠れないときってあるじゃん?あんな感じ。どうしよう、また来てくださいって言われたから毎日通おうかなと思ったり、いっそのこと俺がカフェになろうかなって本気で考えたり。なにそれこわ。
バゴンツツ!!!!
え、なんか後頭部に衝撃を感じたような、、まぁいっか★俺は天使によって浄化され、どんなことがあってもプラスに捉えられるようになったのだ。何事にも動じない広い心に成長し、もはやイライラすることはな
バゴンツツ!!!!
「だれじゃああああああ」
「え~全然心成長してないじゃない。しかも脳内のこと全部声に出ててきもいし」
犯人はこいつでした。スクールバックで殴られてましたとさ。
「なんだ、唯愛か」
「…あんたちょっとは内容に反論しなさいよね」
反論したところで唯愛さんにもっと罵られるからな。そう、私はドMではないのだ。それかドMだけど唯愛さんは対象外なのか。少し考えてみよう!
天使「ちょっと近寄らないでくれるかなぁ。あなたの友達って思われたくないから」
をれ「あっ、え、」
天使「ふふっ、ちゃんとお返事もできないんだね。もう一度小学生からやり直してみてもいいんじゃないかな。ざぁーこさん?」
ドM「あっ、はっ…しゃいこおおおおおお」
うーん普通に御褒美じゃん。御褒美でしかないじゃん。ドMじゃん俺。よって、後者。唯愛さん残念でした。もっと好感度を上げて俺を罵るにふさわしい存在となってくださいね。
ガゴンッッッ!!!!!
「いっってえええ!!!今絶対したらいけない音したけど!?」
絶対ゆるふわ系女子の力の強さじゃない。本物のゆるふわ系女子は殴ると「ポコポコ♡」って音がするんだぞ。唯愛さんも「見た目」はゆるふわ系なんだから勉強しなさいよねっ。
「結果としてそのまま葬らずおまえを生かした私に感謝しなさいね」
「…ありがとう…ございます」
うん、ここも反抗しない方がいいよね。大人になりなさい俺。そうそう、えらいよー。
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「そういえば昨日は話せたの?てんしたんと」
「、、もう忘れてくださいその呼び方」
若干いじってはいるが、唯愛も昨日のことを気にしていたのだろう。ついてきてもらった感謝もあるし、ここはしっかり伝えないとな。
「まあ、聞きたまえ唯愛。しっかりと話すことができたし、キモがられずに振る舞うことができたぞ!」
「初手でキモがられたら終わりでしょ。キモがられないことが普通だってこと、いい加減わかりなさいよ」
「はぁい」
時々ド正論をかましてくるからに何も言えない。ド正論以下の自分の行いで褒められようとしてる俺の思考がおかしいのか。ちょっとくらい褒めてくれてもいいじゃんよ、、ASMR配信者のお姉さんなら絶対褒めてくれるのに。俺君頑張ったね、よしよしって。世知辛いぜ。
「それなら名前くらいわかったの?連絡先は交換出来なかったことは知ってるけど。どーせあんたのことだし」
「バイト中の女の子に急に名前聞く俺ってどうなんだ?」
「うっ…ごめん」
いや急に謝らないで絶対気持ち悪いって思ったじゃん傷つくよわたし。やめて!そんな「私なんてこと聞いたんだろう」って暗い顔しないで!自分が自分でなくなっちゃうよぉ!
「とりあえずそれは置いといて、私にその子がどんな見た目か教えてよ。あんたがそんなに惚れてるくらいだから気になるし」
あっ、そいやその子の外見の特徴言ってなかったな。てか唯愛さんなんで少し悔しそうな表情なんだよ。まぁ、スルーしとくか。よーし、孤高の天使さを伝えるために俺頑張っちゃうぞ!そうだなーどう伝えようかな。きれいな白色のロングで、透き通った青い瞳が美しくて、少し背が低くて…あっ、少し先にうちの高校の制服着た似たような子がいる!申し訳ないけど参考にさせていただこう。
「唯愛!ちょっと先にうちの制服の白い髪の女の子がいるだろ?あんな感じの雰囲気だな!」
「へぇ~、、、、え」
急に我を失ったような顔をする唯愛。ふっふーそうだろ。俺の説明が具体的過ぎてあまりの天使さにびっくりしたんだろうなー。気持ちはわかるよ。っていうかあの子似すぎじゃない?そんな似てることあるのか。あっ、こっち向いた…え。
「唯愛さん、あの子知ってる?」
「…知ってるもなにも、うちら2年で一番の美少女って言われてる宇多津琉瑠夏ちゃんだけど。あんた知らなかったの?」
知らなかった。うちの学年にあんな天使いた?え?
こちらに気づいた天使がニッコリと微笑み(可愛い)、小走りで近づいてくる(可愛い)。
「圭太?」
「なに?」
「一目惚れした子って琉瑠夏ちゃんのこと?」
返答する必要もない。彼女は俺の近くにくると速度を緩め、目の前に立った。この事実が、天使は宇多津琉瑠夏であることを証明している。
「昨日ぶりですね。おはようございます。えっと、、まだ名前言ってませんでしたよね。私は宇多津琉瑠夏っていいます。あなたのお名前も知りたいです」
彼女は昨日と同じ笑顔を俺に向けた。