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1.プロローグ

 俺は、人生最大の壁に直面している。それはこの、我々陰キャが明らかに入ってはいけない空間に足を踏み入れなければならないという問題である。しかし、この問題を克服しなければいつまでも挑戦できない人間になってしまうだろう。つまり、年下の女の子に「せんぱい、そんなこともできないんだぁ、ざぁこざぁこ♡」と罵られる側の人間になってしまう。


 いや待てよそれはそれで良、いや、だめです。


 ふぅ……手汗が半端ないぜ。こんなに手汗をかいたのは体育祭のフォークダンス以来だ。何人かの女子が俺の手を触った瞬間に嫌な顔をしたのは良い思い出である。


 いつしか脳内では卑屈な思い出と妄想ばかりを繰り広げていた。しかし、俺は決めている。もう過去は振り返らないと。前向きに生きるのだと。


「俺だってできるうううううう!俺だって入れるんだああああああ」


 入り口に向けて大きく踏み出した。他者から見ればどうってことない一歩ではあるが、彼にとっては世界を揺らがせるほどの覚悟を決めた一歩だった。


*******************************************


「ひ、一目惚れをしたって、え、圭太けいたが、、、あの家に引きこもってアニメ見まくっ

てふとスマホが暗くなった時に映った自分の醜い顔にダメージ食らってるあの圭太が?」


 数少ない友人である琴平唯愛ことひらゆいあの声が放課後の教室に響く。窓に差し込む朝の優しい光でブラウンの髪が艶やかに映る。ふんわりとしたハーフツインも彼女にぴったりだ。そんなふわふわ系女子のようなイメージとは対照的に…この声量と性格である。


「ちょ!唯愛ゆいあそれは俺にオーバーキルしすぎだろ!」


 この方は本当に相手への尊重の心というものはないのであろうか。いや、ない。


「仕方ないでしょ。あの圭太が物騒なこと言うんだから」


「俺の一目惚れは不審者情報と同じレベルなのか…」


 まったく。唯愛から見て俺はどう映っているのか、100字程度で教えてほしいところである。100字以上聞くと校舎から飛び降りたくなりそうなため制限を設ける俺、えらい。


「ねぇ聞いてるの?ど・ん・な子なの?」


 必要以上に女の子について聞いてくる唯愛。その目は少し自分を睨んでいる気もする。うわぁ、ツンデレキャラ初期症状みがある。あれだよな、アニメの序盤で「俺はツンデレキャラになんか心奪われないもんね、ふん!あんたなんか好きじゃないんだから!」と覚悟を決めてみるけど、アニメ終盤らへんではもうその子のグッズ知らないうちに収集し始めてんだよな。アニメ終わったら謎の喪失感あって動画サイトで「○○ 可愛い」で検索して繰り返しみちゃうみたいな。


 おっといけないまた一人でつまらない考え事をしてしまった。


 そして、唯愛の質問に俺は満面の笑みで答えた。


「あ、え、そりゃもう清楚な感しで怒らなそうだし可愛く笑ってくれそうで俺の話をうんうんっ

て聞いてくれそうで包容力あるっていうか?唯愛とは180度ちが」


「死ぬか?おまえ」


 突然、耳元で囁かれた冷酷な声で背筋が凍る。

 だって、まったく違うから仕方ないじゃないですか…どう答えればいいのですか…俺はみんな違ってみんないいがモットーだから決してバカにしているわけではな…

 あれっ、いつの間にか首元に鋭利なものがあるような…死ぬ瞬間ってこんなにも世界がスローモーションになるんだね。知らなかったよ、ゆいあちゃん。教えてくれてありがとう。


 クラスメイトによると、綾瀬圭太あやせけいたはしばらく動けなかったものの命には別状なかったようだ。


*******************************************


 おしゃカフェ。それは、おしゃれ女子、イ○スタグラマー、カップルが足を踏み入れる場所(俺の定義より引用)。そんなおしゃれな人たちはスイーツを店内の雰囲気と共に撮影を楽しんでいたり、この後の予定を楽しく話したりしている。そう、独り身である冴えない男は入店し、滞在するだけで場違い感がにじみ出てしまう。そんな精神的ダメージを負うフラグがありながらも、綾瀬圭太が訪れる決意をした理由、それはこのカフェで働いている女の子に助けられ、一目惚れをしたからだ。


 そして、結果論にはなるが。

 おしゃカフェで働く彼女との出会いが青春ラブコメの始まりだったらしい。










ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。自分らしい文章でお話を進めていきます!温かい目で読んでいただけると嬉しいです

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