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二話

 誘拐され視界を塞がれていたが、突然視界がひらけ、周囲の様子を確認することができるようになった。すぐに零は周囲の様子を確認するのと、誘拐した犯人がまだ近くにいるかも知れないと警戒しながら周囲を見渡す。

「は?」

 思わず声を漏らしてしまう。周囲には生い茂る木々とぼうぼうと生えている草、とてもここが街中にあるような場所ではないと物語っている。仮に自然公園だとしても自身が知る限りではあの近くで、移動にかかっていた時間を考えても自然公園はないはずだった。何より、木々の隙間から見通そうとしても、何も建物が見えないことに不思議に思えた。

「どこ、ここ」

 なぜ誘拐した人がいなくなったのか疑問に思いながらも、この場所がどこなのかを知るためにも歩き始める。

「っと、こっちいく・・か」

 振り返ってみれば、眼の前にドンっとそれはいた。FPS系のゲームで出てくる機械系のエネミーの姿をしているそれ。それを認識した瞬間、体は思わず横へと飛び出した。直後、鳴り響く銃声。

「何がどぉなってるぉ!?」

 理解が追いつかないものの、眼の前のそれは自分を狙っている。それだけはわかったため、無理矢理姿勢を立て直して走り出す。

「だ!?」

 周囲をしっかりと見ないで走り出したせいで、零は崖から滑り落ちてしまった。

 そんな零の近くでテスタロッサは戦闘をしていた。相変わらず銃弾の効きが悪く、持っている剣で戦闘機を切断し、次々と戦闘機の無力化を行っていっている。

「?」

 崖の近くに近づいたとき、上から何かが転がり落ちてくる音が聞こえてきた。

「な!?」

 上を見上げてみれば、零が転げ落ちてきているところだった。そして、その後を追うように戦闘機の姿があった。

 私を追いかけているこの戦闘機達は私を倒すだけでなく、私に関わった相手も殲滅するように命令されているはずだ。それなのに、今倒れている彼も逃げている私とどこかで関わってしまい、戦闘機たちの殲滅対象へと加わってしまったのだろう。

「ったく、本当に面倒くさい奴ら」

 戦闘機一体、一体は強いとは言わない、それでも倒すのには少々手間がかかる相手である。今は殲滅対象として最優先である私がいるから、少年の方に攻撃が飛ぶ可能性は低いと言えるが、状況によっては私よりも少年の方に攻撃が優先される。そうさせないためにも、目の前にいる戦闘機を殲滅しなければ行けない。

 シリンダーを開き、打ち終わった薬莢を排出して新たな弾丸を込め、シリンダーを閉じて撃鉄を下ろす。

 一発一発が決定打にならなくても、相手の動きを妨害するのには十分な働きをする。狙いを定め直し、引き金を引き森に銃声を響かせる。

「せめて、デッキがあれば話は違ったのでしょうけど」

 悪態をついても無いものは無い。弾が足りなくなり、戦闘機を殲滅しきれなくなれば、多少無茶であっても、少年を担ぎ上げて逃げる。次のプランも考えつつ、戦闘を続ける。

 戦闘機も目の前に殲滅目標が現れたことにより、持ちうる武装を全て使い倒そうとする。一体は大口径な弾丸を打ち出し、木々をあっさり貫通して倒していくが、すぐに銃身を破壊され使い物になれなくされる。また一体はエネルギーによって生成された刃を使い、弾丸すら焼き切って行こうとするが、わずかに露出している可動部に他の戦闘機から奪い取った武器を突き刺され動きを止められたところで、武器を持つ根本を切り落とされる。数機は避けられないように連携を取りながら追い込もうとするが、すでに破壊された戦闘機の武装を奪い取りながら盾にされるなど、予想を上回る行動で徐々に戦闘機は数を減らしていった。

 戦闘機の数は減っている、けれど数だけは多い。そして、戦闘機を倒していけても、ついに私の体に怪我が増え始めていった。

「これは、無理ね」

 これ以上の戦闘が無理だと判断し、少年を担ぎ上げてこの場から離れるようにしたときだった、突然私の足元に魔法陣が広がると、そこから大量のチェーンが出現して戦闘機を縛り上げていった。ご丁寧に武器を地面に縛り付けるように拘束した。

「チェーンバインド、なかなか面白そうなことになってるじゃない?」

 木々の間から姿を表した一人の女性、その手には背丈ほどある大きな杖が握られており、もう片方の手には襟元を掴まれ、無理矢理連れてこられてきていたのが分かる程度にはぼろぼろになっている子がいた。

「助太刀するわ、って言っても同じやり方じゃつまらないし」

「……嫌な予感」

 女性は掴んでいた子を放り投げ、袖の中から1つのデッキケースを取り出して突き出した。

「ハカネ!」

 投げられて危うく木にぶつかりかけた子の怒鳴り超えを無視し、ハカネと呼ばれた女性はデッキケースからデッキを取り出し、宣言した。

「レリーズ、フィールド、セット」

 周囲に巻き起こる突風、それによって私とハカネの長い髪は舞い上げられ、彼女が持つデッキが光を放ちつつ宙へと舞い、光の球体だけになりカードとしての姿は消えた。

「さぁ、カードで戦いましょうか。あなたはその少年を守ってあげて」

「……了解、戦闘機の相手をお願い」

「アクア!彼の手当を」

「ああ、もう。この野郎!」

 なぜ彼女が手を貸してくれるかわからないが、誰の目から見ても重症だとわかる状態の少年、彼を助けるためには彼女の助太刀を受けることして、少年の元へと駆け出した。


「さて、久々に回すわよぉ、ドローも込みで!」

 光の球体へと変わったデッキに手を伸ばし、そのまま横に一の字を描くように大きくその手を降った。それに追従するように、光る球体からは六枚のカードが出現し、私の目の前に並んだ。

「フフ、悪くないわね」

 初期手札として引けた六枚のカード、理論上初期手札事故を起こしかねないデッキであるが、この手札なら十分初動で動くことができる。そして、手札から一枚のカードを一枚手に取り、自身の足元めがけて投げた。

「手札から、永続魔法[日々の積み重ね]を支援エリアに配置」

 投げたカードが地面に当たると、森の中であったはずの周囲には山積みとなった大量の本が出現し、私の横には一冊の白紙の本が出現した。続けて手札を一枚と二枚手に取る。

「続けて、魔法[魔導書の索引]を発動、手札の魔法カードを二枚破棄することで、デッキから三枚ドローする」

 手に取っていた二枚のカード、それが光の塵となって消えて行くと、続いて新たなカードが三枚デッキから補充される。そして、発動した[魔導書の索引]を隣にあった本へと吸い込まれていき消えていった。

「[日々の積み重ね]のこ、って!」

 カードを回しているにも関わらず、戦闘機とやらは銃口を私に向けて撃ってきた。私はとっさに魔法陣を展開し、撃ち出された弾丸を受け止めて攻撃を防ぐ。

「ったく、カードバトルで相手をしてくれない奴はこうしてくれるわねえ。さっさと回さないと」

 杖で地面を力強く突くと、戦闘機たちを抑えているチェーンバインドをより強力に押さえつける。

「その効果で[日々の積み重ね]に発動した魔法カードをカウントとして下に重ねる!続けて召喚コストで、マナを二支払い召喚。[魔法研究家 シーカー]を召喚」

 カードを投げると、ローブをまとった素顔が見えない腰の曲がった老人が現れた。

「召喚時効果でデッキから魔法[大魔法の準備]を一枚手札に加える」

 デッキに手を伸ばすと、効果で指定されたカードが出現し私の手札に加わった。そして、私はそのカードを足元に叩きつけるように発動した。

「発動コストとして、自分フィールドの魔法使いをトラッシュに送り、支援エリアにセットして効果発動!その効果で、デッキ/手札/トラッシュから大魔法を含む魔法カードを支援エリアにセットする。次のターン、この効果でセットしたカードの効果を発動する。これで、さっき魔導書で破棄した[大魔法 崩壊魔導]をセット」

 先程召喚したモンスターはカード発動コストでトラッシュに送られたことにより、もがきき苦しみ、黒いモヤへと変わり、私の足元へと集まり大きな魔法陣が広がる。けれど、私の準備はまだ終わらない。しかし、戦闘機は自身の一部を破壊してでもチェーンバインドの拘束を無理矢理解き、新たな武器をこちらに向けてきた。

「召喚条件はフィールドにスライム以外のモンスターが存在しないこと、[マナスライム]を召喚、召喚時効果でマナ一追加。更に魔法[スライム分裂増殖]、デッキから同名スライムモンスターを二体召喚する」

 私の眼の前にプルプルとしたスライムが出現した。しかし、可哀想なことに出現すると同時に、私めがけて飛んできていた弾丸を受けてしまい、一体が無惨にも散ってしまった。

「あ~あ、召喚時効果と破壊時効果でマナ三追加」

 新たに使用した魔法カードも、日々の積み重ねのカウントとして重ねられる。

「もう一枚行くよ、魔法[忘却錬成]、自分フィールドのカード、マナスライム二体を破壊することで、破壊した枚数分マナを一追加。更に破壊時効果で二追加して、ターンエンド」

 初期マナは四であるけど、一ターン目でマナを十にまで増やすことに成功した。この戦闘機たち相手には正直過剰すぎるかもしれないが、念には念を入れて行うべきである。どんな相手でも、確実に仕留められるよう、やれるだけのことはやる。

 そして、相手へと手番が移ることになる。けれど、相手はカードで戦う相手ではない、自動でターンが切り替わるその時まで、今は攻撃を避けることに専念しない。

「手札から、魔法[氷花華蓮]を発動!発動コストはマナ三、その効果でこのターン私は相手によってライフは減らされない」

 私を守るように出現する氷の花たち。戦闘機の攻撃が氷の花に当たっても、決して砕けることはなく、私の元へ攻撃を届くことは決してない。そんな状態が数秒、光の球体が一瞬だけ光が強くなった。

「私のターン、ドロー。メインステップ開始時、[大魔法の準備]の効果発動!セットした[大魔法 崩壊魔導]の効果を発動する。[大魔法崩壊魔導]の発動コストは五、それを支払うことで、互いフィールドのモンスターをすべて破壊する!」

 私は杖を振り上げる。杖の先にはバチバチと黒光りし稲妻が走る。傍から見ても危ないものが杖の先へと集まっていき、それを戦闘機目掛けて投げつけた。そして、着弾と同時に辺り一帯に強風が、爆音が響き渡る。一瞬強烈な光が走り思わず目を瞑ってしまう。皆が目を開けたときには、戦闘機の姿形はどこにもなくなっており、周囲の木々は葉が吹き飛ばされ、枯れ木と見間違うほどハゲていた。

「よし」

 多少の妨害を受けたものの、自分がやりたいようにデッキを回すことができて、きれいに一掃することができたため、私としてはとても満足であった。それでも、次に来るそれに備えて杖を頭の後ろに回して、手刀を受け止めた。

「加減しろや!周辺の植物吹き飛んでるだろうが!」

「いやぁ、調子に乗っちゃいっました、テヘ」

「テヘ、じゃないわぁ!」

 アクアの言う通り、周辺被害は決して小さい物とは言えない。この時期に木々の葉がすべて、ましてや枝がこれだけ折れてしまったら、十分な栄養を作ることはできなくなり、木へのダメージは相当大きいだろう。けど、私にとってそんなことはどうでもいいことなので、後始末は一切せず。血が登っているアクアを方っておいて、女性の方に歩み寄った。

「もう重症そうな方は一度置いといて、あなたは大丈夫?」

「はい、機械の体にはこの程度、どうとでもないです」

「へぇ……ん?」

 何やら気になる発言があったが、今それを追求してしまったら、重症な方の消えかけている命の灯火が消えてしまうので、好奇心を抑え杖を手に倒れた状態でいる少年に近づいた。

「うわぁ、こりゃ酷いねぇ」

 専門家ではないが、こういうものに見慣れていれば大体の怪我には検討がつく。打撲に骨折、内蔵破裂も入っているとも思える。急いで治療しなければ、生存は期待できないが、治療道具や、固定具、薬も十分な物はない。そのため、力技ではあるものの、舌を噛まないように口に布を突っ込み、回復の魔法の力で傷口を塞ぎながら変形しているところを矯正し、無理矢理くっつけることにする。当然、こんな方法で怪我を手当するのは荒治療であり、想像を絶する痛みで、拷問と言っても差し支えない。すでに骨折の痛みもあるため今更であるので、私は迷わず決行した。

「~~~」

 少年からは声にならない悲鳴が上がる。けれど、構わず回復魔法を施し続ける。表面的な怪我と、折れて腕がズレたような状態になるほど変形してしまっている部分も、元の形へと戻っていき、最終的には外見から怪我を負っていたとは分からない程度には回復させた。その代わり、終わる頃には少年の目や口、下の方から流れ出るものはすべて流れ出ている状態だった。

「あ~、アクア?替えの服ある?」

「何故其処で俺に聞く」

「身長同じくらいじゃん」

「……ちびで悪かったな。まぁ、古着でなくはないな」

 ぼろぼろになり、汚れに汚れた服でいさせるのもあれであるので、少年の体を適当に綺麗にしてあげてから、服を着せて上げた。途中、あれが見えたときには女性が思わず目をそむけていたため、若いなぁと思っていると、アクアに叩かれた。

「さて、彼が目を覚ますまでの間少しお話しましょうか」

 さっき吹き飛ばしてしまった枝を折角ならば利用しようと思い、薪として使い火を起こす。生木は火を起こしにくいが、そこは魔法で無理矢理火を起こす。火が安定し始めた頃には、既に日が傾いていて、明かりのない森の中を下手に動きまるのは危険であるので、野営することも決まった。

「あなたの名前を教えてくれるかしら?私は旅する魔女、ハカネ。しがないおばさんよ。でこっちが」

 手を横に出し、相方の方へと向ける。アクアの表情からする必要性があるのかと、こっちに向けられたが、笑顔のまま返すと、ため息をついたあと口を開いた。

「アクア。テスタロッサと一緒に旅をしている錬金術師だ」

 私達の簡単な自己紹介を受け、彼女も少しだけ間を開けてから、自己紹介をしてくれた。

「テスタロッサです。こう見えても戦闘用アンドロイドですので、人間ではないです」

 テスタロッサ、そう名乗る彼女の体はとてもアンドロイドだと言われても分からず、普通の人間と見間違えてもおかしくない。

「ねぇ、少し触ってみてもいいかしら?アンドロイドというか、ここまで精巧な機械って始めてみたから」

「構いませんが」

 許可をもらってから、私は彼女の手と腕を触ってみた。感触としては多少の柔らかさはあるものの、よく触っていると、肌と筋肉としては確実に違和感を覚えるものであった。それでも、何も知らずに触れば人のものではないと気がつくのにはかなりの時間がかかってしまう。それだけ精巧に作られていた。

「面白いわ、人工的にここまで作れるものなのね」

「……いいですか?」

 当たり前の如く、触ることに加わっていたアクアと一緒に一旦触るのをやめ、本題からそれてしまっていたので、話題を戻す。

「それで、そこで気絶している少年は?」

「いえ、私も知りません。私は彼が襲われているところを助けに入り、そこにハカネさんが乱入してきている感じですので」

 助けに入るくらいだから見知った相手かと思っていたが、どうもただの親切心から助けに入っていたようだ。私のように、ただ興味本位だけで首を突っ込んできている私とは全く違うようだ。となれば、少年のことは少年の目が覚めたときに聞き出して、彼女との話が終わるまでの間に目を覚まさなければ、極寒の川の中に突っ込んで叩き起こすことにしよう。一応死なないレベルには加減して。

「なるほどね。じゃあ、あのあなた達が戦っていたあの機械達はなにか知っている?おばさんもさっきまであれと戦っていたんだけど、あれって何なのかしら?」

「えっと」

 言い淀む彼女。知らないのならば知らないとはっきり言えばいいのにも関わらず、はっきりと言わず、答えもしない。となれば、明確な答えは持っていなくとも思い当たる節、もしくは十分な仮説が立てられる何かを持っていて、それを私達に答えるべきなのかと考えていると見て取れた。

「まぁ、いいわ。あなたが無理に答えてくれなくても。ただのおばさんの興味があっただけの話だし」

 私はこの話題をここで切り、次の話題へと運ぼうとするが、彼女は口を開いた。

「いえ、関わってしまった以上、お話します。ですが、それは彼にも関わりがあることなので、彼が起きてからでも構い」

「よし、起きなさい」

 彼女が提示した条件は彼が起きていること、ならばさっさと起こす。夕飯を作るために用意していた水を魔法で冷やし、少年の顔めがけて勢いよくぶっかける。

「つめ、った!」

 突然氷が凍る手前位の温度まで下げられた水をぶっかけられて、少年も目を覚ます。一体何が起きているのか状況を探るために、右を見て左を見てもう一度右を見て、下を上を見て、一呼吸おいてから。

「ここどこ!?」

「うるさいよ」

「半分はお前のせいだ」

 耳に来るほど大きな声を上げて叫んだ少年は、私達がいることに気がつき、ひとまず座らせて落ち着かせてから、私達の自己紹介を簡単に済ませた。

「零です。自分はなんか誘拐されたと思ったら、この森に突然放置されて、よくわからない機械に襲われてました。夢であってくれたらどれだけ良かったのやら」

「はい、こっちも爆弾発言」

「謎の襲撃に加えて、今度は誘拐か」

 関係性は不明だが、少なくとも1つ事件が起きていることは確定した。

「まぁ、色々問題が片付きそうではないけど、少なくともすぐに処理できそうな内容から聞いていきましょうか。というわけで、テスタロッサだよね、お願い」

「はい」

 零は自分の話が後回しされるのかと、少し不服そうな表情になるが、自分も襲われた話となれば、聞いておいて損はないと思い大人しく聞いた。

「私は、戦闘用アンドロイドではあるんですけど、同時に脱走兵でもあるのです」

「誘拐された子に加えて脱走兵も加わったんですけど」

「ハカネ、お前こういうの好きだろう」

「否定はしない」

 これ以上この話を聞き関わろうと思えば、後戻りできなくなるかもしれない。けれど、私にとってはむしろそういったものは大好きであり、リスクに晒されるのは心地よいものである。

「祖国で国外逃亡は死罪、アンドロイドの場合、スクラップ、あるいはメモリの初期化でAIを消去し、新たなAIを搭載されるか、と言ったところですね」

「それは、そうでしょうね」

「となれば、あの機械共はお前を破壊、可能ならば拘束をするためのものか」

「じゃあ、どうして僕達が襲われたんですか?」

 彼女の言葉をそのまま受け取るのならば、目標はテスタロッサ一人だけであり、全く無関係である、零と私達が機械に攻撃される理由がない。一応、わたしたちは先手を打ったこともあるので、それが原因だとも言えるが、零にはそれを行うすべがない。

「おそらく、私に関わった相手も抹殺するようにと指示されていたのでは」

「それなら筋が通らなくは、ないか」

 それなら零が襲われていたことにも説明はつけられる。単純に不幸で巻き込まれてしまった、それだけに思えるが、ああ言うものが今回の戦闘だけで終わるとは思えない。

「お三方が私に接触した情報は、もう祖国に伝わっていると思います。これから先、形は違えど機械たちに襲われるかと」

 呪いとも言えるような執着で私達は機械たちに狙われるようだ。しつこく追われるのは喜ばしくないが、邪魔するならぶっ飛ばせばいい。けれど、彼女と少年はどうなのだろうか。

「私は、今更指名手配が増えても今更だからどうでもいいことだけど、二人はどうなの?」

「指名手配をこれ以上増えるのか」

 私の答えに二人は目を丸くしこちらを見るが、先にテスタロッサのほうが答えた。

「元々追われるのは覚悟していましたし、これから先も落ち着ける場所まで逃げるつもりです」

 彼女ははじめから覚悟は決まっているようだった。しかし、少年が同じとは限らない。小さく手を上げて、彼は言った。

「多分、僕行く当てないです。なんなら、ここ僕が住んでいた世界と違う、異世界だと思いますし」

 今日だけで何度目の爆弾発言が投下されるのだろうか。

カード紹介及び作者たちの一言

魔法「大魔法の準備」

発動条件 なし

発動コスト 自分フィールドの魔法使いモンスターを一体トラッシュに送る

このカードを支援エリアにセットし、デッキ/手札/トラッシュから「大魔法」を含む魔法カードを一枚支援エリアにセットする。セットされた魔法カードは次の自分のメインステップ開始時に発動する。このカード/このカードの効果でセットされたカードがフィールドを離れた際、このカードとこのカードの効果でセットされたカードは破壊され、効果は発揮されない。

藤野「困ったらこれに頼るけど、あのキャラが」

鬼咲「魔導書シリーズとの相性がいいけど逆にこのカードが封じられたら……」

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