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二十話

 戦いを終えてはいお終いなんてことはなく、大量のゴブリンの死体はより厄介な魔物を引き寄せる切っ掛けになってしまうため、大量にあるゴブリンの死体を一箇所に集めって焼却処分をしていた。更に、洞窟の中も安全のために火を放ち伝染病が広がらないようにした。

「あ~寒」

 洞窟の中まで入った二人は近くの川で体を洗い、身につけていた服を洗って新しい服に着替えてから、夕飯の準備をしてくれていた零達と合流し、焚き火にあたりながら髪を乾かしていた。

「また、自分気絶してしまいました」

 自分からゴブリンたちと戦うと言ったにも関わらず、早々に気絶してしまったことに負い目を感じてしまっている。

「まぁ、戦場に立とうとしただけ十分よ」

 初めから戦力としての期待をしていなかったハカネにとって、先生に立とうとする意思が見えればそれだけで良かった。そのため、そのことには追求せず、むしろ称賛した。

「そうそう、頑張った君にはこれあげるよ」

 ハカネは袖の中から確りと殺菌を終えたカードの束を零へと渡した。どこから手に入れたのかは明言しなかったものの、それはあのゴブリンの洞窟の中で見つけたカードたちであり、大したカードがあるわけではない。それでも、有用なカードが紛れ込んでいるかもしれないため、このメンバーでは一番有効に使えるであろう零へと渡した。

「あ、ありがとうございます」

 零は受け取ったカードたちを一枚一枚確認していく、その手際には日常的に触っているハカネとアクアも驚くものであり、一枚一枚確認しつつ同時にカードを分別していた。そして、あるカード群に目がついた。

「”守護者”?」

 同じ名称を持つカードたち、その種類からテーマカードたちだろうと思えた。純構築で扱うにはカードの枚数は足りないものの、そこは汎用カードを差し込めが足りるだろうと言える程度ではあった。そして、一枚一枚カードの効果へと目を通すと零は思わず困った表情をしてしまった。

「どうだったの?」

 零の表情からそのカードの効果に反応しづらいとわかったテスタロッサも横から覗き込み、カードの効果を確認した。

「・・・これは」

「守護者ではありますね」

 使い勝手がいいかと聞かれると、とても悪いものである。もとより、テスタロッサを採用しているデッキではモンスターを採用することができないので、今のデッキに入れることはできない。かといって、使い勝手が悪いカードを使ったデッキを組む気にもなれない。

「と、こっちも焼けてるか」

 零がカードを見ている間に、アクアは焚き火の中に放り込んでいた鍋を取り出し、蓋をあけると焼けたパンが姿を見せる。そして、一緒に焼いていた何十にも紙で包んでいたブロック肉も火の中から取り出す。

「いい感じに焼けてるな」

 焼き立てのパンを切り分け、ブロック肉を切り分けて少し早めの夕飯を食べた。

「仕方がなかったとはいえ、道草をしたんだ。明日からは少しペースを上げるぞ」

「「はい」」

 ただでさえ食料が少ないのに、半日ほど足を止めてしまった。地図的には総距離は離れていないため、残されている食料でギリギリ足りはすると思える。ただ、今日は戦いに疲れた体を癒やすために体を横にして早くに眠りへついた。しかし、この判断が数時間後のハカネはとてつもなく面倒な気分になり、アクアが苦労することになった。



 崩れ落ちた家の瓦礫をどかしながら、至る所にある遺体を掘り起こしては火葬をしてから土葬をしていた。

「フゥ」

 私の幼い頃を知っている人は皆死んでしまった。私はこの村の口数減らしとしてむらにいられなくなってしまい、村から出ていかなければいけなくなった過去がある。ただ、私が口数減らしとして追放されたのではなく、私自ら他の皆に生きてもらうために自らこの村を出ていった。そして、対して残されていない食料の一部を分けてもらった、その為、この村の人達に恨みなんてなかった。それなのに、結局みんな死んでしまった。

「・・・」

 一体私はどこで選択を間違えたのだろうか。皆に生きてもらいたいと思ったのに、結局最後に生き残ったのは私だけだった。一体どこで私の選択肢を間違えてしまったのだろうか。

「・・・」

 それを考えても答えは出てこない。喋る事ができない私には、自分への恨みつらみを言うこともできない。

 新たに見つけた遺体を火葬するためにも運んでいると、生きた誰かが村の近くに来たようだった。

「?」

 何かの気配を覚えたことにより、私は運んでいた遺体を置き、その気配が何なのかを確認するためにも、そちらへと移動した。

「!?」

 村の入口に一人の白い衣装に身を包んだ少女が立っていた。その姿に私は見覚えがあった。少し前に、私のことをしつこく追いかけてきていた存在であり、撒いたはずだと思っていた相手だった。

「見つけた」

「はぁ」

 しつこい、その一言しか出てこない。すでに村の原型はなくなっているため、この場所で戦って周囲が荒れても今更である。そのため、この場所で戦うことにはためらいはない。しかし、私が彼女と戦う理由がないため戦う気にはなれない。

「これの惨劇はあなたのせいですね」

 何やらひどく誤解を受けているような気がするが、私がそれを訂正する言葉を発することができない。

「罪のない人たちを殺して、村を荒らすなんて、やっぱり悪魔をその身に宿している人間は生きていてはいけませんね。今ここで私が祓ってあげます、まぁ、決して神には赦しを得られないでしょうが」

 何故彼女はここまで悪魔を毛嫌いするのだろうか。それは、わからないものの、向こうは戦う気のようである。さっさと逃げたいところだが、ここに戻ってくる時にはまた彼女がここに戻ってきていたちごっこになるだろう。そしてまだ、残されている遺体の埋葬をやりたいためこの地には戻ってきたい。

「・・・ハァ」

 不本意ながら、彼女がこれ以上私に関わろうと思えない程度には痛めつけたほうがいいのかもしれない。

「・・・」(ギリ

「・・・」

 私は魔人の斧を、彼女はメイスを構える。間合いはどちらの武器も届かない、投擲武器があれば届くかもしれないが、互いに投擲用の武器を持っていなかった。

 先制して動いたのは私だった。持っていた斧を投擲し、同時に接近する。彼女は投擲された斧には魔法陣を広げて受けてるが、魔法陣に斧は突き刺さりその威力を物語る。そして、接近してきた私にはメイスで殴ろうとする。

「ッ!!」

 彼女のメイスによる攻撃はメイスを持つ手首を左手で掴み攻撃を止める。これにより、彼女は片方の手を斧からの攻撃を防ぎ、もう片方は私に掴まれている状態、故に私の右手による攻撃を防げない。直ぐに腹に殴りを入れる。

「!!」

 素早く手首を引きこちらに引き寄せ姿勢を崩させる。その状態で胸部に膝蹴りをいれる。その間に右手を引き、彼女の上まで運び肘を首元に勢いよく落とす。そして首元根っこを掴み地面に叩きつける。

「・・・ッチ!!」

 私は思わず舌打ちを漏らし、後ろに跳びつつ斧を掴む。着地して両手で斧を握り構えて警戒を解かずに少女を睨みつける。

「やってくれましたね」

 並大抵の人間ならば気絶と骨折で動けなくなっているはずだった。それなのに、少女は何事もなかったかのように立ち上がる。

 四回の攻撃、そのすべての感触がおかしかった。直接攻撃を当てたにも関わらず、何故か届いていなかったような気がする。恐らく、こちらの攻撃は期待していた威力の一割にも届かないほどに抑えられてしまっているだろう。

「まさか、五回も私の障壁を破壊されるなんて思いませんでしたよ。ですが、次からはそうは行きませんよ」

 魔人化した自分の攻撃の威力を殺してピンピンしていることに驚きが隠せない。どうやら、彼女相手に手を抜いてしまっていたら、ジリ貧になりかねない。速攻で決めるしか方法はないのかもしれない。私はデッキを取り出し、フィールドを展開する。

「そうですか、ならこちらも」

 彼女もデッキを取り出し構えた。

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