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十話

「さて、お手並み拝見といこうかしら」

 先攻を取ったのはハカネだった。カードを一枚引き、最初の手札を確認する。考えること五秒、動きを決めるとカードの一枚を取り宣言する。

「永続魔法「日々の積み重ね」を支援エリアに配置。以降発動した私の魔法カードはカウントとしてこのカードに重ねられるわ。続けて発動コストとしてマナを四支払い魔法「スリードロー」を発動、効果でデッキから三枚ドロー。更に魔法「魔導書の索引」を発動、手札の魔法カードを二枚破棄して、デッキから三枚ドロー、魔法「魔導書の推敲」を発動、手札をすべて、七枚戻して七枚ドロー。召喚条件はフィールドにスライム以外のモンスターが存在しないこと、手札から「マナスライム」を召喚。召喚時効果によりマナを一追加する。そして、「日々の積み重ね」のカードを三枚トラッシュに送り、デッキから一枚ドロー、手札から「魔導書の索引」を発動、手札の魔法カードを二枚破棄して三枚ドロー、魔法「魔導書の再編」を発動、手札の魔法カードを二枚破棄して、トラッシュの「魔導書」を含まない魔法カードを三枚手札に加える、これでトラッシュに落とした「スリードロー」「スライム増殖分裂」「魔力の前借り」を手札に戻す。そして、魔法「スライム増殖分裂」を発動、フィールドのスライムを対象とし、手札/デッキから同名モンスターを二体まで召喚する。二体の「マナスライム」の召喚時効果により、マナを二追加する。「日々の積み重ね」のカードを三枚トラッシュに送り一枚ドロー、続けて魔法「崩壊錬成」を発動、フィールドの「マナスライム」三体を破壊しマナを三追加する。「マナスライム」の破壊時効果によりマナを一追加する、それが三体なので合計三追加する。更に「魔力の前借り」を発動、マナを二追加するかわりに、三ターンの間自分はマナチャージでマナを増やすことができない。発動コストとしてマナを四支払い魔法「スリードロー」を発動、デッキから三枚ドロー。魔法「魔導書の推敲」を発動、六枚戻して、六枚ドロー、「日々の積み重ね」のカードを三枚トラッシュに送り一枚ドロー、発動コストとしてマナを一支払い魔法「摩訶不思議錬金」効果により、お互い好きなだけ手札をデッキに戻すことができる、その後、戻した枚数分ドローする。私は六枚戻して六枚ドロー!!そっちは?」

 効果処理の関係上、少女の動きを待つため一度ハカネの一人回しが止まる。少女は自身の手札を確認し、少し考えてから五枚中三枚をデッキに戻して新たに三枚ドローした。

「ドローしたから、次に行くわよ。発動コストとしてマナを二支払い、魔法「燃え盛る研究所」、互いに手札を好きなだけ破棄して、破棄した枚数分ドローする。この効果で手札を四枚破棄して四枚ドロー、そっちは?」

 再び少女に処理が移るが、少女はすぐに手札を一枚破棄して一枚ドローした。

「なるほどね。と、残ってるマナは五か、召喚コストにマナを六要求してくる「悪魔竜カオスドラゴン」は召喚できない。まぁ、さっきの「燃え盛る研究所」で破棄しちゃったけどね?」

 ハカネの数少ないモンスターカードの一枚、「燃え盛る研究所」の効果は任意効果で、何枚破棄するかも自身が選べるはずの効果でハカネはフィニッシャーとも呼べるカードを破棄していた。確かに、召喚条件であるお互いのトラッシュに六種類以上の魔法カードが落ちていること、それは先のソリティアで条件を満たしているが、召喚コストとして支払うマナ六は足りていない。更に「魔力の前借り」の効果により、三ターンの間マナチャージで勝手に増えていくはずのマナが増えないことになっている。マナスライムなどマナを増加させるカードを使おうにも、すでに使っているため、効果でため直すのも難しい。

「というわけで、大魔法デッキだけど。今回は珍しく大魔法以外でも戦うとしましょう。なんなら、私が出ていきましょうか」

 ハカネが手札から一枚のモンスターカードを見せる。それはハカネの姿が描かれているカードだが、着ている服も纏う雰囲気も全く別と言えるカードである。

「召喚条件は私のトラッシュに魔法カードが三種類以上、召喚コストにマナ二を支払い。召喚「流浪の魔女 ハカネ」もとい、私を召喚」

 ハカネはカードを触媒とし、魔法陣を広げる。広がった魔法陣はハカネの背丈よりも大きい、それがハカネへと迫っていき、身につけている衣装が変わり、カードに描かれている姿へと変わった。

「召喚時効果でデッキとトラッシュから魔法カードを一枚ずつ手札に加える。これで「魔力の前借り」を二枚手札に加えて、そのまま発動。マナを四追加するけど、三ターンマナチャージでマナが追加されない。マナが追加されないターンは延長されない、よってマナが追加されないターンは何枚使っても三ターン。「日々の積み重ね」のカードを三枚トラッシュに送り一枚ドロー・・・リバースを二枚セットしてターンエンドかな」

 宣言通り、大魔法を扱うために必要な「大魔法の準備」をセットすることなくターンエンドをした。当然、そのカードのことを知らない少女は伏せられたリバースカードへと警戒をしつつ、カードを引いた。

 

ターン二

ハカネ ライフ十 デッキ十枚 手札三枚 マナ七 フィールド「放浪の魔女ハカネ」「日々の積み重ね」リバース二枚

少女 ライフ十 デッキ三十五枚 手札五枚 マナ五


 相変わらずハカネのデッキは一ターンが長い、毎回デッキの構成が異なるものの、大量のドロー効果や手札を補充する効果によりデッキを圧縮していく。カードのデメリット効果も最小限で抑え、カウンターの仕込みもする。強固ではないものの、相手するのは難しい盤面へとなった。

「・・・」

 少女はデッキからカードを引き、手札を一枚ハカネに見せる。

「それ、魔法「暗黒契約」ね。効果は確か、暗黒契約を含むカードをデッキから一枚手札に加えるかわりに、相手にカードを一枚ドローさせる効果」

 ハカネの言葉に少女は頷き、デッキからカードを一枚手に取りハカネに一度見せてから手札に加えた。

「それが、あなたの装備で」

 手札に加えられたカード、それは先程零とテスタロッサを苦しめた装備カード。そのカードに対してはハカネも知らないカードであり、少女が喋ってくれないため効果の予想ができない。

(まぁ、暗黒契約の時点で嫌な予感はするのよねぇ)

 ハカネは自身の手札に目を向ける。フィールドに存在するハカネとは全く異なるカードであるものの、描かれているのは自身のカード「失意の魔女ハカネ」、それには彼女が使った魔法カードに書かれている対象と同じ、暗黒契約が記されていた。

(暗黒契約は代償を持つかわりに強力な効果を持ちやすい。おまけに効果の起動条件がトラッシュにあるカードを参照する傾向。となれば、下手にトラッシュにカードを貯めさせるのは危険か、なら)

 ハカネは自身のデッキに手をかけ、「暗黒契約」によるドロー効果で一枚ドローさせられる。そして、少女は今手札に加えたカードを見せ、召喚コストとして手札とデッキを全て見せ、その中から最初に見せた装備カード以外の装備カードをすべてゲームから除外し、少女の手には禍々しい斧が出現する。続けて手札から「隻眼の狼」「一つ目蝙蝠」を一体ずつ召喚した。

「・・・」

 少女は力強く斧を握り、地面を蹴りハカネめがけて走り出す。瞬く間に間合いを詰めて、斧の間合いに入り込む。勢いも乗り、直撃すればただでは済まない攻撃であるが、ハカネは後ろに跳び攻撃を避ける。

「っと、リバース発動!!」

 着地すると同時に、高らかに宣言する。

「発動条件は相手の攻撃時「強制帰還トラップ」相手フィールドのカードを一枚デッキの一番下に送る。その効果でその装備を送らせてもらうわ!!」

「!!」

 少女とハカネの足元に笑われる魔法陣、そこから溢れ出す光は少女の斧とハカネを包み込み、それぞれの力の源をカードへと変えデッキの下へと送った。

「ただし、私のフィールドのカードも送られる。これで「放浪の魔女ハカネ」をデッキの下に戻させてもらう」

「ッチ!!」

 思わず舌打ちを漏らしてしまう少女。召喚コストによりデッキから装備カードはデッキの下に戻されたカード以外存在しない。ましてやデッキの一番下に送られてしまっては、ただドローするだけでは手札に戻すことはできない。「暗黒契約」のようなデッキの中から特定のカードをピンポイントで持って来るカードを使わなければ、このゲーム中に同じ装備を使うことは不可能となった。

「大方、その武器は相手によって破壊/除外されるさい召喚できるって効果なんでしょ?バウンス耐性があるかまでは分からなかったけど、結果的にないみたいね。さて、攻撃していたカードがいなくなったから、バトルは不成立、次の一手はなにかしら?」

 自分のフィールドにモンスターがいなくなっても、余裕の表情を崩さないハカネ。その余裕は相手にしている身からすれば、不気味さを覚える程のものであるが、少女の手は変わらない。残された隻眼の狼と一つ目蝙蝠に攻撃指示を出し、ハカネに向かわせた。

「ッフ、ライフで」

 鼻で笑い、手のひらで魔法陣を広げ二匹の攻撃を受け止める。

ライフ十→九→八

「・・・」

 睨みつけるようにハカネを見て、ターンを終了した。


 ターン三

ハカネ ライフ八 デッキ十枚 手札三枚 マナ七 フィールド「日々の積み重ね」リバース一枚

少女 ライフ十 デッキ三十一枚 手札三枚 マナ五 フィールド「隻眼の狼」「一つ目蝙蝠」

「私のターン、ドロー」

 零のときとは違い、突破するのに悩まされた装備カードは存在しないままターンを迎える事ができた。その結果に上々と思いつつも、残された手札と相手の場を確認しハカネは考える。

(手札に防御札は一枚けど、デッキからして一ターンで削られる最大数は七かな、そして「失意の魔女ハカネ」は彼女相手には有効カードではない、何より、暗黒契約の厄介な点のもう一つとしてちょっとやそっとの除去じゃ簡単に復帰してくる。可能ならばこのターンで仕留めたいが)

 回し方を決めると、手札を二枚トラッシュに送り手札のカードを一枚見せた。

「魔法「闇の誘い」、手札から闇属性モンスター、「失意の魔女ハカネ」をゲームから除外し、デッキから闇属性モンスターか、デッキ/トラッシュから名称に「悪魔」を含むカードを一枚手札に加える。これで、トラッシュから魔法「悪魔召喚」を手札に加える、そして、発動コストは手札を二枚破棄し、マナを三支払うことで、いま手札に加えた魔法「悪魔召喚」を発動、その効果で手札/デッキ/トラッシュから名称/分類に悪魔を含むモンスターを一体、召喚条件と召喚コストを無視して召喚する」

 ハカネが使った召喚魔法、それに該当しこの状況で召喚するモンスターは一体しかいない。

「暗黒の門を開き現れよ、我が身に宿りし悪魔よ、汝に受肉する器を与えん、それは暴虐の体現、全てを薙ぎ払い、焼き払う竜。現れな!!悪魔竜 カオスドラゴン」

 現れた魔法陣からボトボトと血肉が落ちてくる、そしてそれが一つの塊となり、一匹の竜の姿へとなった。あまりにも醜い姿に零は顔を引きつり、テスタロッサもため息を漏らした。

「カオスドラゴン、すべてを混沌に誘え!!」

「!!」

 少女が手を広げ前に伸ばす、それを合図として一つ目蝙蝠が混沌竜カオスドラゴンの前へと立ちはだかる。しかし、それはハカネにとって誤差の範囲である。

「カオスドラゴンのバトル時能力!!相手モンスターだけを破壊したとき、相手のライフを三つ奪う!!さらに、バトル終了時に魔法「バトルリカバー」この魔法は一ターンに一枚しか発動できない、自分のモンスターを一体もう一度攻撃/防御を行うことができる。」

「!!」

 カオスドラゴンは目の前に来た一つ目蝙蝠をその巨体で踏み潰し、翼腕を振り上げ剥き出しとなった骨で少女を叩き潰した。

ライフ十→七

 少女はなんとか避け、何事もなかったかのように立っているが、攻撃が掠めたのか腕から血が流れ出ている。

「カオスドラゴン、追加攻撃!!」

 先程振り上げた方とは逆の翼腕を振り上げ、叩き潰そうとする。しかし、それは隻眼の狼によって防がれ、腕から溢れ出た血が少女を襲う。

ライフ七→四

「デッキの下にあなたの武器は眠った。次のターン、私のライフを削りきれるかしら?」


ターン四

ハカネ ライフ八 デッキ九枚 手札零枚 マナ六 フィールド「悪魔竜カオスドラゴン」「日々の積み重ね」リバース一枚

少女 ライフ十 デッキ三十一枚 手札三枚 マナ五 フィールドなし


 少女の場は壊滅的だった。相手にフィールドを荒らされても後続を確保するカードではなかったため、ただされるがままにフィールドを荒らされてしまっただけで、最初のターンよりも少ないリソースで動かなければいけなかった。

「・・・」

 それでも、少女はデッキからカードを引き手札を確認する。そして、デッキバウンスされた時の対策でありつつ、必要なカードを手札に加えるために採用されているカード、魔法「暗黒契約」を提示した。

「させない!!リバース発動条件は相手の魔法カードが発動する際!!戦略「折られた杖」!!その効果で魔法カードの発動を無効にし、トラッシュに送る!!」

 再びあの武器を手札に加えられてはたまったものではない、しかし、少女もまた一枚止められた程度では止まらない。新たな手札を使った。

「魔法「暗黒再来」!!除外されたカードを!!」

 少女は除外されていた装備カードを自分のフィールドに召喚し、再び少女の手には禍々しい斧が手に握られる。

「ただ、その効果の代償として、私も除外ゾーンから闇属性モンスターを条件とコストを無視して召喚できる。「失意の魔女ハカネ」を召喚!!」

 再びハカネが纏う衣装が変わる。ぼろぼろとなり、少女が持つ禍々しさとは違う禍々しさを持つ、一切の光すら感じさせない、濁った瞳には思わず後ずさりをしてしまう。それは後ろにいる零とテスタロッサにも伝わり、零は思わずテスタロッサに抱き着いてしまっている。一方、少女はハカネの変化に目を見開きつつも、手札に手を伸ばそうとした。

「言っとくけど、「失意の魔女ハカネ」がフィールドにいる間、お互い「ちょっと待つにゃ~~!!」??」

 ハカネが何かを言おうとしている時、どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきて、お互いの間に現れた。

「どっちも誤解してるにゃ!!お互い敵じゃ、にゃ~~!!」

 割り込んできたシュレだったが、目の前にいたカオスドラゴンによって叩き飛ばされた。

「「「「・・・・」」」」

 突然のことにこの場にいる全員が思わず固まってしまう。

「にゃ~!!」

 再び聞こえてきた悲鳴、それはこちらに近づいてきて再びカオスドラゴンの前に投げ飛ばされてきた。

「おい、誰だ俺にぶん投げてきたやつは!!」

 シュレが叩き飛ばされた方向からアクアがふらふらしながら現れた。

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