アドベンチャー
私と両親は中心都市から離れた住宅街にあるマンションの一室で暮らしていた。そこに私も加わることになり、そのマンションの一室が狭く感じることになりながらも、私は特に何事もなく生まれてから三年間ほど平和にそこで暮らしていた。
いつだったか忘れたが母がいきなり言い出した情報によると、隣の部屋には私と同じぐらいの歳の女の子の双子が住んでいるという。さらに、下の階には一つ上の歳の男の子が三人ほど、上の階にも同じぐらいの歳の子供が何人か住んでいると言った。それを聞いた私は、もしかすれば彼らも私と同じような疑問を抱いているかもしれないと思い、小さい体の私は母が買い物に出かけた時に部屋を出て、彼らに会ってみることにした。
私の両親は子供の私を部屋に一人にしたまま仕事や買い物に行くことが多かった。それは、私が子供でありながら何もかもをこなすことができることを知っているからだろうか。それとも、私をそれほど大事だと思っていないのだろうか。
「じゃあ、買い物行ってくるね」とベットの上で寝ている私の頬に軽くキスをすると玄関に向かって歩き出した。母はこのように毎回出かけるたびに私や父とキスをする。これは人間もしているのだろうか。
ドアの鍵が閉まる音がした。母が鍵をかけたのだ。
鍵をかけたことを確認すると倒れそうになりながらも、自らの体を起き上がらせ、一歩ずつ確実に歩いた。ドアの鍵は低い位置にあったため、身長が足りないということはなかった。
力が無いからかドアがものすごく重たく感じた。
ドアを開けると太陽がまぶしいほど降り注いでいたが、そんなことよりも私は隣の部屋の双子にしか興味はなかった。小さな歩幅で隣の部屋へと向かった。幸いにも私の部屋は角部屋であったため、隣の部屋と言うのは一つしかなく、間違えることはなかったがインターフォンのボタンが届かないという問題が発生した。
何か踏み台にできる物は何かないかと周りを見渡したが何もなかったため、ドアをノックすることにした。何度かドアを強く叩くが部屋から誰かの声がすることも、こちらに向かって歩いてくる音も聞こえなかった。何か様子が変わる雰囲気もなく、手もドアを叩いて赤く腫れてきた状況に少しばかり恐怖心を感じたのか、ドアが大きな巨人のように見えてきた。
もし、隣の部屋の住民が共働きであれば、子供である彼女たちは保育園や幼稚園に預けられているだろうと思い、部屋に帰ろうとした時、後ろでドアが開く音が聞こえた。それは、まるで巨人の鳴き声のようだった。