表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ぼくはウニ、さすらいの旅人

 白い砂浜にいるボクは、いつものように旅をする。


 この世界はどこまでも広がっていると親戚のじいちゃんが言っていた。


 そのじいちゃんとは、遠い昔に別れてから会っていない。


 きっとどこかでおいしい草でも食べているはずだ。


 ボクはウニ。


 この世界のありとあらゆる草を食べ尽くすため、ボクは毎日旅をしている。


 そんなボクには相方がいる。


 歩くときも、走るときも、いつも応援してくれている。


 彼女は生まれたときからボクのとなりにいた。


 嵐がきても、どんなに遠くに飛ばされても、いつも一緒だった。


 ボクの旅に終わりはない。


 いつの日か、楽園にたどり着くと信じて。


 ボクは彼女といるとポカポカする。


 気づいたときには、ボクたちに家族ができていた。


 たくさんたくさん、生まれてきてくれたボクの家族は、ボクの旅路に賛成してくれた。


 旅の中で何度も困難に遭遇した。


 荒波に飲まれ、家族を失いもした。


 けれど、ボクたちは諦めず、旅を続けた。


 そうしてたどり着いたのは巨大な壁だった。


 登ることもできず、壊すこともできなかった。


 この世界には終わりがあったのだろうか。


 ここがボクの旅の終着点だったのだろうか。


 ボクは絶望した。


 家族はボクを恨んだりしないだろう。


 ボクの旅はここで終わったのか。


 くらい、くらい。


 せまい、せまい。


 ボクはいつの間にか、どこかに連れて行かれていた。


 そこは透明な壁で囲まれた牢獄だった。


 こんなの、ボクは知らない。


 こんな世界があってたまるか!


 ボクは世界を恨んだ。


 神様を恨んだ。


 どうして、どうしてボクは、ボクたちはここに閉じ込められたの?


 自問自答を繰り返していると、空から草が降ってきた。


 その草がヒラヒラと舞い降り、偶然ボクの口の中に入ってきた。


 甘い!


 こんな草、知らない!!


 こんな草、はじめて!!!


 ボクはたどり着いてしまったのか、草の楽園に。


 ボクは、そしてボクたちはきっとここに来るために旅をしていたんだ。


 じいちゃん、ボク、ようやくみつけたよ。


 ボク、やっとここまで来れたよ。


 草の楽園。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ