転生〈1〉
「おはよう」
意識がゆっくりと冴えてきて、なんとなくだが声を耳が拾った。
明るい視界が、朝を迎えたことを丁寧に知らせる。
眩しさにやられながら、ゆっくりと体を起こすとそこには優しげなメイド服の少女がいた。
分からない場所だ。
「しかし、わかる場所でもある」
心の声を半分もらしてしまい、少女はぽかんとしているが、そんなことをお構い無しにメディカは周りと見渡した。
かなり豪華な家具で飾られてた綺麗な部屋は見たことも無いものだった。
しかし、少女といい家具といい違和感は全く感じなかった。
「メディカお嬢様、どうなさいました?朝から私の顔を見つめたり、周りと見渡したり」
メイドは不安混じりな視線と共に奇っ怪な行動に戸惑いを示してくる。
当たり前だ。いつものメディカじゃないんだから。
しかし、転生したのかな。でも前の記憶ないんだよね。こっちの記憶はあるから不便はなさそうだけど、なんだかモヤが凄いんだよね。
私はメイドのアルメリアに怖い夢を見たと嘘を伝え、その場を上手く誤魔化した。
「じゃあ、アル。あとは任せていいかしら。」
もちろんです。と私が寝ていたベッドのシーツを回収していく。
そして、それを別のメイドに渡してから、メディカを食事をする場所に連れていった。
彼女のあとを歩きながら、私はメディカの記憶を半分以上思い出せていた。
私の生きていた世界とは別の世界の貴族の娘で、かなりの才を有して、周りからの期待は凄まじいものだ。回復魔法のセンスがずば抜けていて、親も鼻が高いらしい。
貴族とか魔法とかは違和感のような記憶のブレが全くない。
これは元の世界でもあったのだろう。
「アル。別にあの部屋で絶対に食事を取らなくてはならないわけじゃないのよ。別に自室でも」
「いえ、お嬢様はそうすると全然起きなくなるので。少しぐらいは歩いた方が、それに健康的ですよ。」
扉を超えて部屋に入ると、いつもの通り誰もいない悲しい部屋がメディカを迎え入れた。
豪華な家具達もなんのためにあるのか分からなくなる。
メディカの家族は既になくなっていて、今は1人で貴族としての責任を果たそうと頑張っていたらしい。
今日から私がそれをするのだけれど…
「アル。あなた朝食はもう食べたの?まだなら私と一緒に食事をしましょう。」
「しかし、メイドがこのような部屋で食事なんて」
ダメです。と押してくるがそんなのお構い無しに彼女の分の朝食を自分の席の前に置く。
彼女は、少ししたら抵抗の意志をなくして諦めたように席に座った。
「こんな広い豪華な部屋。1人で食事なんて悲しいでしょう。誰かと食べてこそ食事はより美味しく頂けるのよ」
「でしたら、もうすぐ入学の学園でボーイフレンドの1人ぐらい作って一緒に食べて貰ってください。」
どうしてもメイドという立場上、このような場で主と共に食事というのがダメらしい。
できる限り早くお願いします。と付け足すように言ってきた。
私は食事が終わり次第、直ぐに書庫にこもってたくさんの書物を読み漁った。魔法に関して、世界に関して、物語の本なども。
少しでも元の私に繋がるような本も捜し求めて。
そんなことをしているうちに日時はとても早く過ぎ去っていった。
しかし、私の記憶はないのに私の違和感は残っている。どうして、メディカの記憶は残っていて私の記憶は残っていないのか。
謎なことが多すぎて、私は3日もしないうちに頭を抱えていた。
しかし、私が完全に無くなったわけでもないかもしれず、回復魔法以外は一般人と変わりないレベルでしか扱えなかったほかの魔法も聖魔法を飛び抜けて扱えるようになっていた。
これは、私の力なのかもしれない。小さくても大事な1歩を踏み出すヒントを得た私は少し舞い上がっていた。
人生で初めて最後までやると決めた作品です。
正直文章を書く力はまじで底辺だと思いますが、自身の成長に期待して頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。