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『あかつきのきつねとうさぎ』~さいきょうになりたいうさぎさんと、のんびりしてたいきつねさんのおはなし~  作者: 日向 るきあ


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8/8

『あかつきのきつねとうさぎ』

15.おかえりなさい!


 それからしばらく、きつねさんはひとりでたびをつづけていました。

 金色にかがやくペンダントをにぎりしめ、野原をよこぎり、川をわたり、ときには山をこえて、ひたすらうさぎさんをおいかけます。


 とても、とてもたいへんなたびでしたが、きつねさんはあきらめません。

 だって、うさぎさんはきっと、もっとたいへんなのだから。

 それを思うと、きつねさんはいくらでもがんばれるのです。


 そうして、ひとつきほどたったころ。

 きつねさんはついに、うさぎさんに追いつきました。

 どうぶつのくにをぐるっとひとまわりして、たどりついたのは……

 なんと、きつねさんとうさぎさんの山小屋でした。


 どうして、ここなのか。きつねさんはすぐに、そのわけに気がつきました。

 きつねさんのむねが、じわっとあたたかくなります。

 もうなにも、こわくありません。

 山小屋のかげにかくれるようにしている、大きな大きな、きずだらけのかげに、きつねさんは迷うことなく手をさしのべます。

 そしてやさしく、いいました。


「おかえりなさい、うさぎさん。

 そして、いらっしゃい、うさぎさんのなかの、お友だちさん。

 もうだいじょうぶだよ。だれにもふたりを、いじめさせたりしないから。

 さあ、とりあえずは、そこにすわって。

 まずはやかんを火にかけなくっちゃ。おゆがわくまでのあいだに、けがの手当てをしちゃおうね」

「……うん」


 大きなかげは、すなおにうなずくと、ふわり。

 ちいさく光って、もとのかわいい、うさぎさんのすがたに戻ったのでした。



16.かみさまの山はおおにぎわい!


 うさぎさんにとりついたまものは、そんなつもりじゃなかったそうです。

 ふたりしてころんでころがって、気がついたら合体していました。

 このままだと、ふたりいっしょにたいじされちゃうかもしれません。

 それはふたりともいやだったので、きつねさんのところに帰って、もとにもどれる、まほうのお茶をつくってもらおうとしていたのでした。

 けれど、どうぶつたちにおいかけられたり、道にまよったりして、やっとたどりついたというわけです。


 きつねさんはもちろん、ぱぱっとまほうのお茶をつくってあげました。

 お茶をのんで、うさぎさんから出てきたまものは、なんどもお礼を言って、お空のうえにかえっていきました。

 うさぎさんも体をなおしたあとは、かみさまの山にもどることができました。

 もちろんそのときには、きつねさんもいっしょです。

 きつねさんも実力をみとめられ、うさぎさんの『あいぼう』として、いっしょにかみさまを守るお役目につくことになったのです。


 のんびりやのきつねさんに、まものたいじなんて、できるのかって?

 だいじょうぶ。きつねさんは、旅のあいだにとってもつよくなっていたのです。

 だから今日もきつねさんは、うさぎさんといっしょにだいかつやく!

 そしてまものたいじがおわれば、とくいのお茶をふるまいます。

 なかまたちはもちろん、こうさんしたまものたちにもです。

 そうすれば、みんなしあわせきぶん。

 みんなえがおで、なかよしです。


 そのうちに、まもののかみさまも、きつねさんのお茶がのみたくなって、やってきました。

 そうしてなんと、どうぶつのかみさまと『いきとうごう』。

 ふたりで手合わせをしては、お茶をのむほど、なかよくなりました。


 そうなればもちろん、まものがせめてくることも、なくなって……

 きびしく、さびしいところだったかみさまの山は、すっかりたのしいお山になりました。

 きつねさんのお茶がのみたくてあそびに来る、まものたちとどうぶつたちで、きょうも大にぎわい。

 みんなたのしくなかよく、おいしいお茶をいただくのでした。




17.『あかつきのきつねとうさぎ』

 

 山すそのまちにやってくるキャラバンは、ふたりのかつやくをえがいた『かみしばい』をもってくるようになりました。

 まちのみんなは、いつもそれを楽しみにしています。

 いつしか山すそのまちでは、ふたりをかたどったかわいいぬいぐるみや、おいしいおまんじゅうが売られるようになりました。

 もちろん、きつねさんがつくったきれいなペンダントや、おいしいお茶もです。

 それがひょうばんになり、よそのまちからも、おきゃくさんがやってくるようになりました。


 いまではすっかりにぎやかになったひろばには、きつねさんとうさぎさんの像が、なかよくならんで立っています。

 おそろいの青い目と、金色のペンダントを下げたきつねさんとうさぎさんの像は、朝日をあびるととくにきれいです。

 だからみんなは、ふたりの像を『あかつきのきつねとうさぎ』と、よぶようになったのでした。


 にぎやかな山すそのまち『ノルン』。

 そのひろばにたつ、『あかつきのきつねとうさぎ』の像のおはなしは、これでおしまいです。



 おしまい


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― 新着の感想 ―
[良い点]  読んで第一印象、といも完成度の高い素晴らしい童話だと思いました。  まず物語がキャラバンの「かみしばい」から始まり、キャラバンの「かみしばい」で閉じられる構成、これがとても効果的で素敵で…
[良い点] かわいいお話でした。 やわらかい平仮名が使われていて、強くなると決意するきつねさんが切なく、うさぎさんの頑張る姿が印象的です。 さいごはホッコリと癒されました(*^^*)
[一言] 二人が仲良く揃って認められて良かったです。 ウサギさんの中に入っちゃったヒトも一緒に仲良くなれるなんて、素敵な話ですね。まさに愛は世界を救うって感じがしました。読ませていただきありがとうござ…
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