きえた、うさぎさん
11.げんきをなくした、きつねさん
それでも、うさぎさんがいなくなったあと。
きつねさんは、なんにも手につかなくなってしまいました。
ひとり山小屋のまどべにすわって、ぼうっとそらをみています。
一日なんどもペンダントをにぎって、ためいきばかり。
「ああ、うさぎさん。あいたいなあ。
いっておいでなんて、なんでいっちゃったんだろう」
てさきの器用なきつねさんは、じぶんでも気づかないうちに、うさぎさんそっくりのぬいぐるみをつくっていました。
ちいさなぬいぐるみをだっこして、きつねさんはなみだをこぼします。
うさぎさんとよくにた、まっさおできれいなおめめから、すきとおったしずくがぽろり、ぽろりとこぼれます。
「かえってきてくれないかなあ。
とちゅうでやっぱやめたって、かえってきてくれないかなあ」
いつも陽気なきつねさんが、すっかりふさぎこんでしまったのです。
まちのみんなは、しんぱいでしかたありません。
まいにち山小屋にやってきて、お茶をいれたり、元気の出るスープをふるまったり、ときには風のうわさでとんでくる、うさぎさんのようすを教えてあげました。
うさぎさんは元気にしゅぎょうして、どんどん強くなって……
かみさまの山のせんぱいたちといっしょに、まものたいじをがんばっているそうです。
それを聞くときつねさんは、ちょっぴり、ほっとします。
みんなのやさしさと、ちいさなぬいぐるみのあたたかさにささえられて、きつねさんはちょっとずつ、元気をとりもどしていったのでした。
12.きえた、うさぎさん
そんなある日のこと。
きつねさんとうさぎさんの山小屋に、おきゃくさんがやってきました。
まだくらいのに、こつこつこつ、とドアがたたかれます。
きつねさんはぱっ、ととびおきました。
「はい、どなた?」
「こんな時間に、ごめんなさい。
わたしです、かみさまのおつかいの、からすです」
その声は、まえとちがって、重くしずんでいます。
とにかくどうぞと中に入れてあげると、からすさんはへんなことをきいてきました。
「きつねさん。
うさぎさん、こちらにかえっていませんか?」
「えっ?」
からすさんが教えてくれたのは、大変なことでした。
なんと、うさぎさんが『ゆくえふめい』になってしまったのです!
うさぎさんは、悪いまものとのたたかいに負け、とりつかれてしまったのです。
わるいことにうさぎさんは、そのままかみさまの山からころげおち、どこかに走っていってしまったというのです。
「ご協力、ありがとうございます。
すぐに国中におふれをだして、腕じまんのものたちに、うさぎさんを連れもどしてもらうことにします。
もしかしたらあばれたりして、あぶないかもしれませんから。
きつねさんは、どうかご無理をしないで。あなたになにかあったら、うさぎさんがもとに戻ったとき、かなしみますから」
「ありがとうございます、からすさん……」
そのころにはもう、東の空も白みはじめていました。
からすさんは、いっちょくせんに山すそのまちへ飛んでいきました。




