きつねさんのけつい(1)
9.うさぎさんのなみだ
『どうしてもいっしょがいいなら、また来年。
それまでに、きつねさんもつよくなっていれば、いっしょにゆけますよ。
それからでもけして、おそくはないですから』と、からすさんはやさしく、いってくれました。
それでも、それでもです。
「ううう……うわーん!」
からすさんをみおくって、ドアをしめると、うさぎさんは泣きだしてしまいました。
あこがれの、『さいきょうのろっぴき』をめざすチャンスは、いまうさぎさんの目のまえにあります。
けれど、それをつかむには、きつねさんをおいていかなければなりません。
ずうっとずっといっしょだった、だいすきなきつねさんとわかれわかれになるのは、とってもとてもつらいこと。
うさぎさんはもう、どうしていいのかわからなくなってしまったのです。
「うさぎさん」
きつねさんはそっと、うさぎさんをだきしめます。
いかないで、いくのやめよう。
このまんま、ここでくらせばいいじゃない。
きつねさんは、そういうつもりでした。
けれどうさぎさんの、まっさおで、まっすぐな目を見たしゅんかん、まったく逆のことをいっていました。
10.きつねさんのけつい(1)
「いって、うさぎさん。
ぼくはすぐにつよくなって、うさぎさんをおっかける。
ほんとだよ。
ペンダントもお茶も、いちどつくるのやめちゃって、いっしょうけんめい、きたえるよ。
だから、しんぱいしないで。
来年、かみさまの山で、またあおう!
しゅぎょうしながら、まっていて!」
「ありがとう……ありがとう!!
まってるね、きつねさん。らいねん、きっと。きっとだよ!!」
うさぎさんはきつねさんをぎゅうっとだきしめて、なんども『ありがとう』をくりかえしました。
その夜きつねさんは、朝までがんばって、一組のペンダントを作りました。
金色にかがやく『おとっとき』の石をつかった、まほうのペンダントです。
ぎゅっとにぎって目をとじれば、相手が元気かどうかと、どっちにいるのかが心の中にうかびます。
どうぶつのくにの地下ふかく、いりくんだどうくつを探検する、うでききの探検家たちがつかうような、とても貴重なしなものです。
かがやくペンダントをもらったうさぎさんは、とてもとてもよろこびました。
「なんてすごいんだろう。なんて、すてきなんだろう。
ぼくのじんせい、いちばんのたからものだよ!
きつねさんだと思って、だいじにするね!」
そういってうれしそうに首にさげれば、きらきらと朝日をはじいてとてもきれい。
それをみてきつねさんも、とてもうれしくなりました。
おそろいのペンダントをつけたふたりは、来年ぜったい、またあおうね、とかたくかたく、あくしゅをかわしました。




