久しぶりの再会
今年もこの季節がやってきた。
青い海を眺めながら、心の中でそう呟く。二条は全身から溢れ出すウキウキを隠そうともせずきょろきょろしている。落ち着きがないというよりは、勝手に体が動いてしまうようだ。鼻歌交じりに足をバタバタさせて岩場に座っている。ここへ来るのは数年ぶりだが、そんな気は一切しない。いつもと変わらぬ居心地のよさに、二条は開放的な気分になる。
少し離れた所でそれを見ている岡は懐かしい気分になった。幼い頃は毎年のようにこの地へやってくる二条を鬱陶しく感じたこともあったが、今では旧友のような関係であり、良き友人の一人である。ここ数年はお互い部活動や学校行事が重なり、会うことはなかった。連絡先も特に知らなかったし、日々の生活の中で二条の事を気に掛けることもなかった。しかし5年ぶりに見た二条はあの頃と全く変わらない、天真爛漫な雰囲気を醸し出していた。岡はうれしくなった。
岡の視線に気づいた二条は、まるで昨日も一緒にいたかのような気安さでおいっすと言った。
「お久しぶりです」
岡はいつもと同じように丁寧に返答し、ゆっくりと近づいていく。誰に対しても柔らかい表情と対応で、その甘いマスクから王子と呼ばれている。学業も優秀で、半年後に地元の国立大学を受ける予定だ。
「5年ぶりですね」
二条の隣に座った岡は、近くにいた猫を呼びながら言った。
「そんなにか?そこまで経ってないだろ」
「そんな気はしなくても5年ですよ」
何をしてたんですか?という質問は野暮なのでしなかった。どうせロクな返事はしないだろうから。
「それにしても暑いな。でもやっぱりこの暑さだよな俺たちは」
岡は猫を撫でながら、独り言のように言った。
「今回は絶対に勝ちます」




