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犯人じゃない

7月1日に午前10時になった。


晴南達は九木礼警察署で昨日のベルガの事件の事情聴取を受ける事になった。


この日九木礼警察署にやって来たのは晴南と晃太と拓也と優斗と二実と三緒の六人だった。


九木礼警察署にやってきていた晴南達は警察署の会議室で勇雄を待っていた。


だが時間になっても勇雄は会議室になかなか現れなかった。


ようやく勇雄が会議室に姿を現した。


勇雄が晴南達に言った。


「いやすまない。みんな待たせてしまったね。」


三緒が勇雄に尋ねた。


「勇雄さん眠そうですね?ベルガの対応で大忙しだったんですか?」


勇雄が三緒に言った。


「ああ、あの後浜本警視正から連絡をもらってベルガの事件の事後対応をしていたからね。」


二実が勇雄に言った。


「それでみんな疲れているんですね。」


優斗が勇雄に尋ねた。


「店長さんや牧野さんはなんで首を吊ったんですか?」


勇雄が優斗に言った。


「それが遺書などはどこにも残されていなくてね。まだ自殺した理由は全然分かっていないんだ。」


二実が勇雄に尋ねた。


「ベルガの事件で他に何か分かりましたか?」


勇雄が二実に言った。


「店長や牧村さんを含めた50人が首吊り自殺をしたのは間違いなさそうだ。」


二実が勇雄に尋ねた。


「なんで断言できるんですか?」


勇雄が二実に言った。


「ベルガのモニタールームに店内を録画した映像が残っていたからね。それを解析したところ全員が自分から首を吊ったのが確認できた。」


晃太が勇雄に尋ねた。


「それじゃあ50人が一斉に首を吊って自殺したって事ですか?」


勇雄が晃太に言った。


「それがな一斉ではないんだ。5回に分かれて10人づつ自殺したようだ。」


勇雄はモニタールームに残されていた映像の事を晴南達に詳しく話した。


話を聞き終わると優斗が勇雄に言った。


「意味が分かりませんね。」


勇雄が優斗に言った。


「だろう。周りにいたお客や店の店員達がなぜ通報もせずに遺体を放置し続けたのか理解に苦しんでいる。」


二実が勇雄に言った。


「そもそも首を吊った人をそのまま放置なんてできないです。」


勇雄が二実に言った。


「そうだな、それが普通の反応のはずだ。」


すると勇雄が二実に言った。


「そういえば、浜本警視正が君たちと同じ出来事に遭遇したと言っていた。明井田警察署に何度も応援を要請したらしいんだが無視されて応援は誰一人として来なかったそうだ。」


二実が驚いて言った。


「えっ??」


勇雄がみんなに言った。


「それどころか他の警察署や消防や救急にまで応援を要請したらしいが全て無視されたらしい。」


晴南が勇雄に尋ねた。


「警視正さんって偉いんじゃないんですか?」


勇雄が晴南に言った。


「そうだな彼は明井田警察署の署長をやっている。」


二実が勇雄に尋ねた。


「署長なのに明井田署の人たち全員に無視されたんですか?」


晃太が勇雄に言った。


「それに他の警察署や救急にまで無視されるなんて普通ないですよね。」


拓也が勇雄に尋ねた。


「警察や救急の人たちはベルガが嫌いなのか?それとも首吊りでは動かないのか?」


勇雄が拓也に言った。


「まさか。首吊りの場合は他殺の可能性もあるからむしろ念入りに調べる。通報があってそれを放置するなんてまずありえない。そもそも命令違反をしてまで放置する必要性がどこにもない。」


拓也が言った。


「一体どうなっているんだろうな?」


勇雄がみんなに言った。


「すまないなそれでは残りの聴取を始めさせてもらう。」


晴南が嬉しそうに勇雄に言った。


「やったー、待ってました!!」


すると晃太が晴南に言った。


「おい晴南?真面目に答えなきゃだめだぞ?警察の聴取でおふざけはご法度だからな。」


晴南が晃太に言った。


「えー?せっかく面白いのを思いついたのに。」


優斗が晴南に言った。


「そのネタは後でいくらでも聞くからさ。今は真面目にやろうよ。ね晴南?」


晴南が優斗に言った。


「もう分かったわ。真面目にやればいいんでしょ。」


勇雄がみんなに尋ねた。


「それじゃあ最初の質問だが、君たちがベルガに行った時に誰か不審な人物はいなかったかね?」


優斗が勇雄に言った。


「いなかったと思います。」


晃太が勇雄に言った。


「僕を見てません。」


晴南が勇雄に言った。


「私も見てません。」


優斗が晴南に尋ねた。


「あれっ晴南?ベルガから出てくる男の子を見たって言ってなかったけ?」


晴南が優斗に言った。


「ええ見たわ。」


優斗が晴南に言った。


「なんで見てませんって言ったの?」


晃太が晴南に言った。


「晴南?おふざけはダメだって言ったばかりだろう。」


晴南が二人に言った。


「違うわよ。ちゃんと真面目に答えてるわ。」


優斗が晴南に尋ねた。


「どういう事?」


晴南が優斗に言った。


「バスに乗ってる時にベルガの方向を見てたんだけど、その時の店の中から見た事のある男の子が出てきたのよ。」


優斗が晴南に言った。


「どこの子だったの?」


晴南が優斗に言った。


「ほら封木神社で男の子を見たでしょう。多分あの子よ。」


優斗が晴南に言った。


「ちょっと待って、それって?」


二実が晴南に尋ねた。


「つまりあの時の幽霊の男の子の事を見たって事?」


晴南が二実に言った。


「うんそう。」


優斗が晴南に尋ねた。


「なんであの子がベルガから出てきたの?」


晴南が優斗に言った。


「そんなの知る訳ないでしょ??理由なら優斗が考えてよ?」


晴南が勇雄に尋ねた。


「勇雄さん、幽霊の目撃した場合は話す必要はあるんですか?」


勇雄が晴南に尋ねた。


「いや幽霊なら話してもらう必要ないんだが、ただその子は本当に幽霊だったのかい?生きてる人間じゃなかったのかい?」


晴南が勇雄に言った。


「地面から上半身だけ出して駐車場の中を移動してました。」


勇雄が晴南に言った。


「間違いなく幽霊だね。ありがとう晴南ちゃん。」


晃太が晴南に言った。


「それで見てませんって答えたのか。」


晴南が晃太に言った。


「そういう事。」


三緒が言った。


「えっでもなんであの子がベルガにいたんだろう?てっきり地縛霊かと思ってたんだけど?」


二実が三緒に言った。


「浮遊霊だったってだけでしょう。まあそんなに気にしなくていいんじゃない?あの子からは悪い気配を感じなかったから今回の事とは関係ないはずよ。」


すると会議室に吉崎警部補が入ってきた。


「まだ聴取の途中でしたか、すいません。出直します。」


勇雄が吉崎警部補の方を向きながら尋ねた。


「いや別に構わないが?どうかしたか??」


吉崎警部補が申し訳なさそうに勇雄に言った。


「あっいえ、ベルガの事件の捜査状況をお伺いしたかったのですが?」


勇雄が吉崎警部補に言った。


「おそらく集団自殺で決まってしまうだろうな。首を吊った時の映像が残っている以上他殺の線は消えてしまったからな。ただな?」


吉崎警部補が勇雄に聞き返した。


「ただなんですか?」


勇雄が吉崎警部補に言った。


「分からない事が多すぎる。50人も首吊りをしているのに一人の遺書も発見できていない。死にたいと考えるほど思い詰めてたならだれの遺書も発見できないというのはおかしいし、それにわざわざあんな人目の多い所でしかも集団で自殺しようとした理由も分からない。」


吉崎警部補が勇雄に言った。


「この事件もおかしな点が多いんですね。」


勇雄が吉崎警部補に言った。


「考えてみればおかしな話だな。他殺の線はないと判明しているのに、すんなり納得する事ができない。自殺するまでの過程や周囲の反応がおかしすぎるからだろうか?」


吉崎警部補が勇雄に言った。


「たぶんそうだと思います。」


勇雄が吉崎警部補に言った。


「本当に何が起こっているんだろうか?このベルガの集団自殺といい明井田大規模火災といい。訳が分からない事が多すぎる。」


吉崎警部補が勇雄に言った。


「そういえばその明井田大規模火災についてですが、浜本警視正は白焼明洋(しらやきあきひろ)を被疑者死亡のまま書類送検するつもりのようです。」


勇雄が吉崎警部補に言った。


「やはりそうなったか。」


すると二実が勇雄に尋ねた。


「勇雄さん??明洋を書類送検ってどういう事ですか?」


勇雄が二実の方を見ながら尋ねた。


「うん?二実君は明洋君を知っているのかい??」


二実が勇雄に言った。


「はい同じ大学のサークル仲間なんです。」


勇雄が二実に言った。


「そうだったのか。」


二実が勇雄に尋ねた。


「勇雄さんどういう事ですか??教えてください!!」


すると吉崎警部補が二実に言った。


「すいませんがこれは捜査段階の情報ですので詳しくお教えするわけにはいきません。」


勇雄が二実に尋ねた。


「二実君君から見て白焼明(しらやきあきひろ)君というのはどんな人間だった?」


二実が言った。


「えっ??」


勇雄が二実に言った。


「現在白焼明洋君が明井田大規模火災の首謀者として捜査が続いている。」


二実が勇雄に言った。


「そんな!!明洋が犯人なんてきっと何かの間違いです!!」


すると吉崎警部補が二実に言った。


「安全カメラの映像を解析した結果、白焼明洋が駅前ロータリーに軽油満載のタンクローリーを運転してきて自ら火をつけています。正直な所何かの間違いって可能性は低いと思われます。」


吉崎警部補が二実に言った。


「安全カメラの映像は証拠としては十分すぎます。」


二実が勇雄に言った。


「でもきっと何かの間違いのはずです!!」


三緒が勇雄に尋ねた。


「それで明洋君の事を聞いたんですね?」


勇雄が二実に言った。


「私は残念ながら白焼明洋君の人柄を知らない。だが二実君は明洋君の事をよく知っているんだろう。教えてくれないか?」


二実が勇雄に言った。


「明洋は誠実で真面目な性格でした。きっちりした性格だけど、冗談とかアドリブを言ったりするのは苦手にしてました。でもこんなひどい事をする人間じゃありません。」


三緒が勇雄に言った。


「私もそれには同意です。明洋君は人が困るような事をする人じゃ絶対にありません。」


二実が勇雄に言った。


「お願いします。最初から捜査をやり直してください。」


だが吉崎警部補が二実に言った。


「簡単に言わないでくれ。安全カメラの映像を確認した限り、彼は明井田大規模火災が起きた当日に軽油満載のタンクローリーを盗んで駅前にそのまま運転してきた。そして火をつけたのも彼だ。この二つだけでも彼がこの事件に深く関与しているのは間違いないんじゃないか?」


二実が吉崎警部補に言った。


「でもきっと何かの間違いだと思うんです!!お願いします!!」


三緒が吉崎警部補に言った。


「私からもお願いします!!」


吉崎警部補が二人に言った。


「親しい人間が悪事に手を染めていたのだから君達がショックを受けるのは当然だろう。ただ彼が関与しているのは安全カメラの映像からほぼ間違いない。厳しい事を言ってしまうが現実をちゃんと受け入れてほしい。」


すると二実が勇雄に言った。


「だったら一つ提案があります!!」







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