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捜索

凄まじい稲妻と共に雷が大木に落ちたようだった。


麻衣子達がいた場所は拝殿の横であり、大木からは数十メートル離れていた。


麻衣子と美咲はあまりの轟音に驚いてしまい動く事ができなかった。


美咲が言った。


「もう何なのよ?」


巨大な雷が大木に落ちたのだ。


大木の至るところから火の手があがっていた。


あっという間に燃え広がり激しく燃えていた。


美咲が大木をみながら麻衣子に言った。


「あの木が燃えてるわ。あの木に雷が直撃したみたいね。」


麻衣子と美咲は激しく燃える様子をしばらくじっと見ていた。


すると麻衣子が美咲に尋ねた。


「ねえ?あの木燃えてないよね?」


美咲が麻衣子に言った。


「何言ってるの?激しく燃えてるでしょ?」


麻衣子が美咲に言った。


「燃えてるのってしめ縄の方じゃない?」


美咲が麻衣子に言った。


「えっ?あっそうね。」


麻衣子のいうとおり激しく燃えているのはしめ縄と紙垂(しで)の方であった。


大木に巻かれているほとんどのしめ縄に火の手が広がっており、あたかも大木の方が燃えているように見えていたのだった。


しめ縄が巻かれていない場所はまったく火の手はあがっていなかった。


少ししてドスン!ドスン!と大きな音が響いた。


激しく燃えていたしめ縄が切れて地面へと落ちてきたのだ。


ドスン!ドスン!ドスン!



落下音が何度も響いた。


激しく燃えるしめ縄が次々と地面に落ちていった。


そして枝に巻かれていた全てのしめ縄が燃えて地面に落ちてしまった。


地面に落ちたしめ縄はすぐに燃え尽きて火が消えていった。


そして何事も無かったように再び静寂が訪れたのであった。


麻衣子が美咲に尋ねた。


「雷が落ちてしめ縄だけ燃える事ってあるのかな?」


美咲が麻衣子に言った。


「あるんでしょう?現にそうなってるじゃない?」


麻衣子は難しい顔をしていた。


「うーん。」


麻衣子は腑に落ちなかったがすぐに考えるのを止めていた。


他に優先事項があったからだ。


麻衣子が横を向くと由香がキョロキョロしていた。


そして自分の手に持った大きなノコギリを見た後で、ノコギリを慌てて地面に置いた。


美咲が由香に尋ねた。


「いいの由香?大事な物なんでしょ?」


すると困惑した様子の由香が美咲に尋ねた。


「えっ?あの?美咲さん、なんで私はこんな物を持ってたんですか?」


美咲が大声で由香に言った。


「そんなの私が知るわけないでしょう!!」


由香が美咲に言った。


「ご、ごめんなさい。美咲さん。」


すると麻衣子が由香に尋ねた。


「ねえ由香?今どんな気分?」


由香はどう答えればいいか分からない様子だった。


「えっ?うーんと?」


麻衣子が由香に言った。


「ずっと寝てて目が覚めた感じじゃない?」


由香が麻衣子に言った。


「はい、うまく言えませんがそんな感じです。」


美咲が由香に大声で言った。


「ちょっと由香?ずっと寝てたとでも言うつもりなの?さっきそのノコギリを持って私に邪魔しないでって怒鳴りつけたでしょ?」


由香が困惑した顔で美咲に尋ねた。


「えっ?もしかして私がそんな事をしたんですか?」


美咲が大声で由香に言った。


「もしかしなくても現に怒鳴なったじゃないの!!とぼけないでよ!??」


由香が美咲に言った。


「美咲さん、すいません、すいません。」


麻衣子が美咲に言った。


「ちょっと止めなさいよ?美咲?」


美咲が麻衣子に言った。


「由香が変な事を言うからでしょ?」


麻衣子が美咲に言った。


「もしかしたら由香も私と同じなのかもしれないわ?」


美咲が麻衣子に尋ねた。


「由香も寝ぼけてたって言うの?寝ぼけながらどうやって大声出せるのよ?」


麻衣子が美咲に言った。


「それは分かんないけど、美咲だってここに来るまでの記憶が飛んでるんでしょ?」


美咲が麻衣子に言った。


「まあ、そうだけど。」


麻衣子が美咲に言った。


「だったら由香も同じかもしれないでしょ?私も記憶が曖昧になってるし。」


美咲が由香を睨みながら尋ねた。


「由香!!本当に何も覚えてないのね?」


由香が困惑しながら美咲に言った。


「ほ、本当です。美咲さん。」


美咲が由香に言った。


「ならいいわ由香。ちょっと言い過ぎたわ。ごめん。」


由香が美咲に言った。


「あっ、いえ。」


由香が麻衣子に尋ねた。


「ところで麻衣子さん、ここはどこなんですか?」


麻衣子が由香に言った。


「ごめん、私もここがどこだか分からないのよね。」


美咲が麻衣子と由香に言った。


「そうだ。スマホよ、スマホを使えばいいじゃない?」


麻衣子が美咲に言った。


「ああっ、そうね。」


麻衣子と美咲と由香はスマホを探した。


麻衣子が美咲と由香に尋ねた。


「スマホ、持ってる?」


美咲が麻衣子に言った。


「ダメ、持ってない。」


由香が麻衣子に言った。


「私もありません。」


麻衣子は上着のポケットを探した。


するとポケットの中にスマホが入っていた。


麻衣子がスマホをポケットから取り出して、自分のスマホを確認した。


するとスマホの電源が落ちている事に気がついた。


麻衣子はスマホの電源をいれて、スマホが起動させた。


美咲が麻衣子に言った。


「麻衣子、早く三緒さんに電話してよ。」


麻衣子が美咲に言った。


「分かってる。」


麻衣子は三緒に電話をかけた。


だがスマホの画面には、接続できません。の表示がされていた。


麻衣子が美咲に言った。


「だめ、つながらないわ。圏外でつながらないみたい。」


由香が麻衣子に尋ねた。


「GPSはどうですか?」


麻衣子は再びスマホの画面を操作した。


そして麻衣子が由香に言った。


「そっちもダメみたい。GPSのアプリが起動しないわ。」


美咲が麻衣子に言った。


「それじゃあどうするのよ?」


麻衣子が美咲に言った。


「他の方法で情報収集するしかないわね。」


そして麻衣子は朽ち果てた廃墟の神社の中を見渡してみた。


すると拝殿の他にも建物がある事に気がついた。


その建物は古びた木造の建物で、あちこちが傷んでいた。


麻衣子がその建物を指さしながら美咲に言った。


「ねえ美咲?ここがどこかの神社だとすると、あの建物って社務所じゃないかな?」


美咲が麻衣子に言った。


「えっ?」


美咲は麻衣子が指さした建物を見つめながら言った。


「うーん?そうかもしれないけど?それが何?」


麻衣子が美咲と由香に言った。


「ねえ、美咲、由香。ちょっとあの社務所の中を調べてみない?」


美咲が呆れた顔で麻衣子に言った。


「はあ?なんでそんな事をするのよ?」


麻衣子が美咲に言った。


「ここの場所が分かるヒントがあるかもしれないわ。」


美咲が麻衣子に言った。


「あんな不気味な場所調べるなんて嫌よ!!」


麻衣子が美咲に言った。


「ここにずっといる訳にもいかないでしょ?」


美咲が麻衣子に言った。


「私はあんな所調べるなんて絶対に嫌!!ここから動かないから。」


由香も首を横にふりながら麻衣子を見つめていた。


麻衣子が由香に尋ねた。


「由香も嫌かな?」


由香が申し訳なさそうに麻衣子に言った。


「麻衣子さん、すいません。」


麻衣子はため息をつくと、美咲と由香に言った。


「分かったわ、なら一人で調べてくるわ。」


美咲が麻衣子に尋ねた。


「ちょっと麻衣子は怖くないの?」


麻衣子が美咲に言った。


「怖いに決まってるでしょ!!でもこのままここで途方に暮れててもしょうがないでしょ?」


麻衣子は意を決してその社務所に向かった。


社務所は拝殿の建物と比較すればはまだましな状態で残っていた。


最も荒れ果てている事に変わりはなく、不気味さは拝殿以上であった。


麻衣子は社務所の玄関前までやって来た。


玄関は木製の引き戸になっていた。


麻衣子は社務所の玄関の引き戸を横に開けようとした。


だが何かが引っかかっているようで、途中で引き戸が止まってしまった。


麻衣子は力一杯に引き戸を引いた。


するとザッという音とともに引き戸が開いた。


そして麻衣子は恐る恐る中に入っていった。


社務所の中は夕暮れ時という事もあり暗かった。


社務所の建物には部屋が二つあった。


玄関の奥すぐの所に部屋が一つあり、さらにその奥にもう一つの部屋があった。


玄関の土間にはナタや斧やくわなどの錆び付いている農機具や古びた靴が何足も置かれていた。


手前の部屋の床は穴などは空いていなかったが、かわりに物が散乱していた。


麻衣子は靴を履いたまま手前の部屋に入っていった。


麻衣子は部屋の中を見渡した。


手前の部屋は割れたお皿やコップが無造作に転がっていた。


また椅子が倒れた状態で放置されており、汚れた枕と汚れた座布団が床に散らばっていた。


麻衣子は注意深く部屋の中を確認したが、ヒントになりそうな物は見つけられなかった。


麻衣子は奥の部屋へと入っていった。


手前の部屋と奥の部屋はふすまで仕切られており、玄関から奥の部屋の様子は分からなかった。


仕切りのふすまもビリビリに破れてボロボロになっていた。


麻衣子はふすまを開けて奥の部屋に入っていった。


奥の部屋は手前の部屋と様子が少し違った。


手前の部屋と同じように床に穴はあいておらず、物が散乱していた。


だがこの部屋には神具が散乱していたのだ。


三方(さんぽう)(神様へのお供えの時に使われる木製の入れ物)や徳利(とくり)(お酒をお供えの時に使われる白い入れ物)や破かれた垂れ幕や御札等が床一面に散乱していた。


麻衣子はあまりの異様さに怖くなってしまい、足が止まってしまった。


だがここで立ち止まっていても仕方ないと自分を奮い立たせて部屋の中を見渡した。


そして麻衣子は床に散らばっている御札を覗きこんだ。


麻衣子は一枚の御札を手に取ると御札にはこう書かれていた。


封木神社守護(ふうきじんじゃしゅご)


麻衣子は他の御札も確認した。


その御札にも封木神社と書かれていた。


「封木神社??一体どういう事なの?」


麻衣子は訳が分からなかったが他に手かがりがないかを部屋を見渡した。


すると木製の大きな看板が床に転がっている事に気がついた。


麻衣子はその看板を持ち上げてみた。


その看板には大きな字でこう書かれていた。


封木神社上社社務所(ふうきじんじゃかみやしろしゃむしょ)


「そういう事か。」


麻衣子は何かに納得した様子ですぐに社務所から出ていった。

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