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九木礼

この九木礼町(くきれいちょう)は山間部にある町である。


かつては炭鉱があり、たくさんの炭鉱労働者が九木礼町に住んでいて、隣の明井田市(あけいだし)よりも発展していた。


だが国際競争の激化により九木礼炭鉱(くきれいたんこう)が閉山となると状況が一変した。


仕事場を失った人々は仕事を求めて都市へと移住して、九木礼町からの人口流出が進んでいった。


九木礼町は最盛期の10分の1以下まで人口が減少していた。


九木礼町はそのような環境の町であった。


喫茶店ベリエを出た少女四人は自宅に帰るために九木礼町の中心にある九木礼大通りを歩いていった。


九木礼町の九木礼大通りはいわゆるシャッター街になっていた。


まだ日が暮れていないにも関わらず、かなりの店のシャッターが降りていた。


営業している店はマバラだった。


夕暮れの中をしばらく四人で歩いていった。


そして各々自宅へ帰るために、別れる事になった。


「それじゃあね、晴南!」


「バイバイ晴南!」


「ここで失礼しますね。晴南さん。」


晴南は三人に答えた。


「うん、みんなまた明日ね!!」


晴南はそう言うと三人と分かれた。


晴南はそのまま西へと向かい自宅に向かっていた。


晴南が図書館の前を通りすぎようとしていると誰かに声を掛けられた。


「やあ、晴南!今から帰る所?」


晴南が振り返ると晴南の同級生である男子中学生が二人並んで立っていた。


「あら、晃太(こうた)優斗(ゆうと)じゃない。こんな所で何してるの?」


一人は黒宮晃太(くろみやこうた)という男子で九木礼中学三年生であった。


茶髪の男子で、細身の長身で顔立ちも良かった。


もう一人は眼鏡をかけた黒髪の青年が坂倉優斗(さかくらゆうと)で小柄な体格であった。


すると優斗が晴南に言った。


「そりゃ図書館で勉強だよ。閉館時間になったから帰る所だったんだ。」


晴南が少し驚いた様子で優斗に言った。


「また図書館で勉強してたの?!」


すると優斗が晴南に言った。


「今日は他に誰も来なくて僕達二人で貸し切りだったよ。おかげで勉強がとってもはかどったんだ。」


すると優斗が思い出したように言った。


「あっそうだ!しまったな。帰る時に図書館で本を借りてくるつもりだったのに。」


晃太が優斗に言った。


「大丈夫だ、明日も図書館に行くんだ。明日借りれば問題ないだろう?」


晴南が二人に尋ねた。


「ええっ??明日も図書館に行くつもりなの??」


優斗が晴南言った。


「うん、それに週末も来るつもりだよ。」


晃太が優斗に言った。


「俺もそのつもりだ。」


晴南が優斗に尋ねた。


「ねえ、図書館に閉じ籠って勉強してて楽しい?」


優斗は晴南に言った。


「もちろんだよ!」


晃太が晴南に言った。


「勿論だ。時間が経つのを忘れてしまうぐらい熱中できる!」


晴南が二人に言った。


「晃太と優斗が図書館に通ってるのは知ってたけど、ここまでとはね。」


すると晃太が晴南に言った。


「ところでもうすぐ日が暮れる。家に帰る所だったんだろう?ここでいつまでも駄弁ってていいのか?」


晴南が晃太に言った。


「ああ、それもそうね。それじゃあ歩きながら話ましょ!」


晴南達は歩き始めた。


晴南が二人に言った。


「全く信じられないわ!図書館に閉じ籠って勉強するのが楽しいなんて!」


晃太が晴南に言った。


「決めつけは良くないぞ!」


すると優斗が晴南に言った。


「ねえ、晴南?それなら明日図書館に来ない?おすすめの本を紹介するからさ!」


晴南は優斗に答えた。


「結構です。何が悲しくて放課後まで勉強しなきゃならないのよ!放課後はしっかり遊ぶ!!これ以外あり得ないわ!」


晃太が晴南に呆れた様子で言った。


「とりつくしまも無いな。」


優斗が晃太に言った。


「まあ晴南らしいけど!」


雑談をしている間に晴南の自宅前まで到着した。


晴南が二人に言った。


「それじゃあね。晃太、優斗!」


晃太と優斗が晴南に言った。


「うん、また明日!」


「じゃあな。」


晃太と優斗は晴南に挨拶をした後で再び歩き始めた。


そして晴南は自宅へと入っていった。

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