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空を飛びたい  作者: 黒猫
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終章 僕は飛べない

「どうして、僕のことを。」



驚いていると、軒じいは、首を傾げてさも不思議そうに呟いた。




「人間だからさ。」




「いえ、僕は鳥です。人間ではなく、しかも飛べない鳥です。」




僕は、懸命に自分を説明したが納得して貰えず笑われた。





「人間なのがいけないのかい? 君は、転生したのか!」




思い付いたようにぼやく老人にもう、何も言えなくなった。




すると、後ろからアリシャがやって来た。




僕を見ている。




「なんだよ。」





「何の話をしてるのかなと思って! 軒じい、天才だから。」





「天才なんて、お世辞を言うんじゃないわい。」




とても喜んでいた。




しかし、何故僕が人間だと分かったんだ。




彼には僕が鳥として見えていないのか?




それとも他に理由が。




すると、血相を変えた顔でアレクとアリスがやって来た。




涙が溢れている。





気付けば、部屋の中が焦げ臭かった。






「まずいわ! 火事よ!」





軒じいの家に火が灯ったのだ。














やつらだった。





あの3人組が火をつけたようだった。





使用人が見つけていた。





火は、あっという間に家を壊した。




僕達は、無事だったが軒じいの心は無事ではなかった。




泣いていた。





「天才が泣いてる。」




「あの方の全てだぞ!」




使用人達が口々に言っていた。





全てか。





家族よりも大切な存在だったんだな。






「私は、生きる気力を失ったよ。」




軒じいは、その場に座ってしまった。




アリシャ達が慌てて駆け寄る。





あの3人組は、負けたと思っているらしく全く反省していなかった。





「お前らが悪いんだぞ! 俺らなんかに歯向かうから!」




「悪いのはアレクだ!」





「死んじゃえばよかったんだ!」






僕は、立ち上がった。




震えるアレクの前に立った。





「飛べない鳥が何をする!」





「お前に何が出来る!」




「弱虫! 落ちこぼれ!」





僕は、腕がない。




羽もない。




だが、心はある。






「お前ら知ってるか? 人間にはな、剣やナイフ以外にも武器があるんだ。」





「人間? お前が?」





「笑わせんなよ! 飛べない鳥!」





「これ以上失望させんなよ。」




ケラケラ笑っている3人の前で僕は、見えない手を広げた。







僕は、予感していた。




はっきり言って転生してきた時点で、僕はこの世界では無の人物だ。




つまり、無色透明。





何者にもなれる。




きっと、元の人間にもなれる。




いや、人間が怖がるあの存在にだってなれるのかもしれない。






「アリシャ、お前は気付いていたんじゃないか?」




軒じいは、アリシャに語りかけた。




そして、彼女は笑いながらこう答えた。






「彼が飛べない鳥だって決めつけたのは、あの子達よ。」






僕は、飛んだ。





大空に羽ばたいた。





そして、見えない羽で彼らを捕まえ、空に連れて行った。




3人共わけがわからないといった顔だった。




自分でも分からない。




まるで、彼らを魔法で飛ばしているかのようだった。





「降ろせよ!」




一人のいじめっ子にそう言われた時、僕は、空に止まり、腕を広げた。




もう一人の少年の顔が青ざめた時、私は、こう言ったのだ。





「じゃあ、落ちろよ。」










「うわあああああああああ!」





世界は赤色に染まり、その先にいる青い世界でアリシャ達が僕を見ていた。



アレクもアリスも軒じいも。





皆で僕を見ていた。





そして、口を開いてこう言ったのだ。






「あなたが生み出した世界よ。」























僕は、扉の前に立っていた。





最初の光景だ。





転生する前の。




老婆が椅子に座っている。





「転生、しなかったようだね。」







「罪を犯した。」








「へぇ、予想通りだよ。何で転生させたか分かっているのかい?」





「僕は、知っている。」






「言ってごらんよ。」




老婆は、僕の唇に手を触れた。





そして、ある人物へと変貌したのだ。






「僕は、母さんを殺したんだ。自殺という言葉で。」

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