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9章 アリシャと僕
彼らは、慌てて去っていった。
僕は、息切れをしているアレクを見た。
彼は、かっこよかった。
人間とは何か。
自分の思う意見をあいつらにぶつけることが出来たのだ。
「アレク! やるじゃん!」
アリシャが彼をバンバン叩く。
ひょろい背中は今にも折れそうである。
「ほんと、かっこよかったわ。アレク。」
アリスも彼をじっと見ている。
アレクは、嬉しそうだった。
僕だけが彼らに言い返さなかった。
言い返せないと決めつけたのだ。
落ち込んでいるとアリシャがどこかを指さした。
「ねぇ、軒じいのとこに行かない? ゆっくり休もうよ!」
それいいね、とでも言うように二人はアリシャの後をついていった。
アリもその方向に道を作っている。
「ぼ、ぼくは。」
僕だけは立ち止まった。
決して彼らは弱くない。
僕なんかが仲間になってもいいのだろうか。
だが、アリシャは、眉間に皺を寄せてやって来た。
怒られる。
そう思った時だった。
「私も昔は、そんな風に周りを悲観して見てた。でもね、人って変われるのよ。」
え?
僕はアリシャの手に引かれて歩き出した。
二人共笑っている。
その時、僕は思った。
何故、彼女は、僕を人に例えたのだろうか。
まさか、昔の自分を。
力強いアリシャの手に僕は、何も表すことは出来なかった。




