1ルート目 ⑤一つ屋根の下
「…………………………………えっ?」虚しく響く驚嘆の声。
「どうかしたの?」と聞いてくる美少女。
なぜこんなにも驚いているのか、
簡単に言えば豪邸過ぎたからだ。
今目の前にある家が彼女の家なのだとしたら、とんでもない人の家に来てしまった。
大きな門は自分の背丈の五倍の大きさはゆうに越えており、そこから見える中庭には、ゴルフ場が2つは軽く入る。そしてその奥にそびえ立つ大きな洋風の屋敷。大きすぎるだろ。俺が人生100周してもこんな家を建てるほど金持ちにはなれない。と思わせるほどの家だ。
事の発端は、遡ること30分前ーーー
ーーーーー嬉しい。
嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい。
これは確実に世界で一番幸せなやつ来たよ。幸せの絶頂期だよ。
いや、絶頂期だとここから先落ちること確定だから、上り坂にしとこう。
と考えつつ、前にいる少女についていく。
なにせこんな可愛い子とひとつ屋根の下だ、喜びを感じない奴はきっと菩薩的な何かだろう。
どんな家かな、狭いといいな、布団は一つの方がいい。愛を確かめ合えるからさ!!
今や心と脳内の大半が下心である。
「にしても人通りが多いねこの道」と話しかけてみる。すると、
「そうね。この街道は商売が盛んだから。」と返してくれた。
優しすぎて泣けてくる。しかしこんな人通りの多いところで泣けばそれこそ黒歴史通り越して漆黒歴史になる。
それにしても、先程は急いでいたのであまり見なかったが、街並みはもといた世界に近い感じがする。唯一違うものそれはーー
数分ほど歩くと現れた大きな壁だ。
「ちょっと待っててね。ここを通るのには手続にが必要だから」
と言い残して、少女は門の前に立つ騎士のところへ行く。
少しすると、笑顔で戻ってきた。
「良かったね通れるってよ」とそのままの笑顔を向けてくれる。
多分もう三回くらい惚れてる。しかしそんな内心は隠しつつ、
「ほんとに!いやー嬉しいわ〜ほんっとにありがと」
とこちらも笑顔で礼を言う。すると少女は、
「いいの。困ってたらお互い様でしょ?」なんていうもんだからベタ惚れ間違い無し。
その後も色々と話しながらその門を通過していた。その時は会話に夢中で気付かなかったが、そこは随分と大きな家が建ち並んでいた。そしてーーー
「ここよ。ここが私の家」微笑みながら言う彼女。
それを見て驚く俺。
そして冒頭へと続く。
「でかすぎじゃね!?!?」素直な感想。人間驚くと素直になるものなんだなと、考えつつ、
「何!?何事!?夢??夢なのか??これは夢なのか???」と一人で話し続ける。
「えっ……?」困惑しているのは彼女の方もだ。
「夢じゃないわよ?さっきのショックで、頭に異常が?」
何処かで聞いたことがあるが、そんなことよりも
「え?お金持ち?マジで?リッチピーポー??」
「リッチピーポー?どういう意味?」
英語は通じずと。という事実を確認して
「いや、いいんだ。驚いただけ。家が大きすぎて。ほんとにびっくりした」
と本当のことを言う。それに、驚いた事は本当だし。
「じゃ、行こっか」
覚悟は決まったし、腹も括った。
「あぁ。いこう。」一歩一歩がとても重い。悪い事をしてないのになぜか罪悪感があるような気がする。
門の横の柱に着いている呼び鈴を押し、
「帰ったわ」と簡潔に言う。すると、門が重々しく開く
『おかえりなさいませお嬢様』
揃って放たれる声。使用人一同だ。全員女の子である。全員かわいい。
「えぇ今帰ったわ」
いつもの事のように返す少女。
「ところでそのお隣の方は御友人の方ですか?」
「えぇ、そんなところよ」
とその後も一通りの質疑応答をし、やっと、話が終わったようだ。
「行こう」と簡潔な呼びかけに応じ、後をついていく。
中庭を通り過ぎると、大理石か何かでできた階段があり、それを登ったところに素人目で見ただけでわかる高級そうな両開きの扉がある。
扉を開くとそこには広い空間がある。そして中央の階段の上に初老の男性がいた。
「ただいま、お爺様」
「お、お爺様ぁ!?つまりこの家の持ち主………。一見してそうは見えないのに……」
「しっ……!聞こえるわよ。怒られても知らないんだから!」
と注意され、確かにっ………とゾッとしたが、
「なぁに、老いぼれは老いぼれむしろ正直で良いことじゃよ」という好意的な解釈をしてもらいほっと胸をなでおろしつつ新たな生活を始めることとなった。
とりあえず今日は寝たい。なんて呑気なことを考えていた。
これから始まる激動の予感を胸にしながら。