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4 Cogitare

 外に出るとしろがねの心中とは裏腹に、爽やかな風が吹いていた。

 もう、昼過ぎなこともあるのか日がとても綺麗に見える。

「あのさ、銀。凄くいいにくいんだけどね届いた荷物……」

「爺さんが間違えて使ったんだろ」

「何でもお見通しか。すまない。今、特急で注文したから今日中には届くはずなんだ」

 今の白咲は、葵の知らない白咲だ。

 多重人格ではないが、白咲は人によって態度が変わる。変わらない人の方が少ないかも知れないが、白咲の場合は異常とも言える程に。

「今回のは急ぎじゃないから別に良かったのだが、礼を言う。急ぎではないとは言え、早く届いて損はないからな」

「そうなの?銀にしては珍しいもの買ってたから、急ぎかと思っちゃった」

「ああ、政府に頼まれたんだ。政治家の娘が難病にかかった。今すぐ薬を作れ、ってな。あいつらは俺をどうしたいんだろうな」

「あー、そういうこと」

 昭和が終わるとともに、地球は氷河期に突入した。

 それの影響もあり、多くの動植物が数を減らし、消えていった。

 中には、数を増やした種もあるが、圧倒的に地球上からは生物が消えている。

 薬草も例外ではなく、今までの調合では無理が出てきたため、政府は銀に用意できる薬草の資料と政治家の娘の病状などが送りつけた。

「銀、そんなにお人好しだったっけ?」

「お人好しなんかじゃない。ただ、効果の期待できる薬を作れば葵には手を出さないと誓う、と言われたからな」

「………ちょっと待って。それを信用したの!?また(・・)裏切られよ!?」

 政府は過去にも同じような手で銀を騙してきた。

 今回の、“葵には手を出さないと誓う”など自分の娘を救うためだけに出た守られることのない約束だと銀も分かっている。

 しかし、

「裏切られることなど分かっている。だが、少しの希望に賭けてもいいほど、俺の中で葵は大切だってことだな」

 銀は自嘲した。

 一番(おろ)かなのは自分だと銀は言う。

 白咲は肯定も否定もしなかった。


Cogitare=思い

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