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呪毒の魔王

 『呪毒の魔王』

この魔王は毒、麻痺、睡眠などありとあらゆる状態異常の使い手だ。肌に触れるだけで強力な毒に侵され、血液を浴びると肉も金属も腐蝕し、右の爪に刻まれると全身が麻痺し、左の爪に刻まれると醒めない幻惑に取り込まれ、右眼に睨まれるだけで昏睡状態に陥り、吐息に触れたものを石像に変える。


 また、この魔王が生み出す魔物たちも全て、何かしらの状態異常を引き起こす能力を最低1つは持っている。人々は各種状態異常を回復する薬や魔法、スクロールを手に奮闘したが、薬やスクロールは消費に生産が追い付かず、回復魔法を扱える者も戦闘中にマナが枯渇してしまえばなすすべも無く倒れるのみであった。


 だが近年、素晴らしい発明が実用化された。既存の各種「状態異常耐性装備」は最高でも6割の確率でしか防げなかったが、ついに10割、完全に状態異常を防ぐ装備品らが発明されたのだ。状態異常に対応した装備品を身に付ける必要があり、ある程度以上壊れると耐性効果が失われるため、回復薬や魔法はやはり必需品ではあったが、それでも以前と比べると格段に有利に戦えるようになったのだ。


 これを機とみた各国上層部は検討の結果、正式に「魔王討伐令」を広布した。『呪毒の魔王を倒したものを勇者と認める』というものである。


 人々は大いに沸き立った。魔王を倒した者にはその身分に関わりなく『勇者』の称号が与えられるからだ。実際、過去の勇者には「国王」、「小国の第4王子」、「伯爵家に仕える執事」、「剣聖」、「寒村の農民」、「コロセウムの剣奴」、「魔術師学院の魔術師」など様々な者がいた。

腕に覚えのある者はこぞって魔王討伐に向かった。


しかし彼らは誰一人として帰ってこなかった。

(2/23:改行位置を修正)

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