最終決戦
連載としての習作です。
多くても10話以内に終える予定でオチもすでに用意しているんですが、中盤がどうなるかは全く不明です。
「呪毒の魔王よ、これで終わりだ!!」
そう叫び、俺は剣を振りかぶる。
目の前には瀕死で横たわる魔王の姿がある。右眼は潰れ、両手は手首から斬り落とされて、体も傷だらけで真っ赤に染まっている。
一方、こちらも満身創痍だ。体に傷のない箇所など無く、無事な装備はところどころ欠けながらも効果を失わない石化を無効化する"鏡の鎧"と手にする剣のみ。だが、この剣を振り下ろせば、人類と魔王の長い戦いに決着がつくだろう。
「ククク……そう、これで終わりだとも…………だがそれは私の、ではない!」
「無駄な悪あがきをっ!」
眩い光が視界を覆い尽くす。だが魔王は目の前だ。目が見えずとも、ただ剣を振り下ろせ、ば……
(な!?体が動かない!!?)
「ククク……ふぁーはっはっはっはっは!!惨めなものだなぁ勇者よ。いや討伐に失敗した以上、勇者ではなく未だ名もなき一剣士だったなぁ?」
眼球さえ動かせないなか、床に転がる鎧の破片に映る自分の姿に驚愕する。
(石化、だと?馬鹿な!この程度欠けたくらいで石化を無効化する能力は失われない筈だ。現に直前の戦闘でも魔王の石化ブレスを完全に防いでいたのに!)
「あと数秒もすれば完全に石像となるであろうなぁ。中々よい格好ではないか?タイトルは『返り討ちにあった愚か者』といった所かな?」
(畜生!何か、何かないのか!石化を解除するか、せめて魔王と相討ちに持ち込まなくては……解呪魔法、攻撃魔法はこの状態じゃ詠唱できない。口の中に仕込んだ状態異常回復薬はもう全て飲んでしまった。予備の薬は腰のポーチに3つある筈だが動けない。スクロールなら念じるだけで発動できるが、攻撃用も状態異常回復用も使い切った……いや、思い出せ……確か……もうこの手しかないか……発動!!)
コォォォォ
「ん?スクロールの発動?これは……ククク……転移のスクロール、それもランダム転移のものか!だがそのような姿で逃げても無駄なことよ!まさに悪あがきだな!ふぁーはっはっはっはっは!!」
(これは逃げなんかじゃない!待っていろ魔王、いつか必ずここに戻りお前を仕留めてみせる!)
バシュンッ!!
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