乗っ取られました
「田代!貴様何だ昨日のSNSでの発言は!ネット上だろうと、個人のアカウントで会社を侮辱するような事を書いてもいいと思っているのか!」
「乗っ取られました」
「何だと!?何だその言い訳は!乗っ取りだか鳥取だか知らないが、そんなモノが通るわけないだろう!今は旧花菱の社員が、一丸となってなきゃならん時期だと言うのに…。花菱が三年前、外資系からどんな仕打ちを受けたか、忘れたとは言わさんぞ!」
「乗っ取られました」
「そうだ!全く…忌々しい外人共め。伝統ある花菱の社訓を、みな廃止しちまいやがった。だいたいな、貴様のように裏でこそこそ隠れて、会社の悪口を書き込んだりする、その性格が気にいらん!俺ならそんな事はしない!どうすると思う!?文句があるならな、ちゃあんとあのメリケン野郎の目の前に行って、正々堂々とビジネスマンシップに」
「則られました」
「そうだよ!それが腐っても、旧花菱の社員である、私の誇りだ。使えない奴だな貴様は…ん?おい待てアンタたち!何故私の机を片付けているんだ!やめろ!触れるな大事な書類だ!おい!い、一体どういうつもりだ…これじゃリストラだ…。ま、まさか…!?先月から会議されていた左遷候補…そこに私の名前があったとでも…!?」
「載っておられました」
「馬鹿な…何故私だけが…!派閥か…だとしても、お前も旧花菱の社員じゃないか…」
「部長、派閥なんかじゃありません。…貴方は、花菱のやり方にこだわり過ぎた。先ほどのやり取りも録音しておりますので、新しい部長のジョン氏に、正々堂々報告させていただきます。…それでは部長、鳥取でもお元気で」