本当に良いんだろうか…
俺達は車から降り、病院の入り口へと向かった。
田中さんは「私は車で待っています」と俺達に言い、車を駐車場に止めに行った。
きっと気を使ってくれたのだろう。
病院に入ると老若男女様々な人が受付の前の椅子に座っている。
人々の目の前を通り受付の女性に藤木香織の病室がどこにあるか訪ねると
「藤木さんの病室は405号室です。そちらにあるエレベーターで4階まで上がればすぐの所ですよ」
とエレベーターの場所を指差し笑顔で言った。
俺達はエレベーターを使い405号室を目指した。
三人ともここまでほとんど喋っていない。
4階を示す文字盤がオレンジに光る。目的地に到着したようだ。
エレベーターの扉が開く。
言っていた通り405号室はすぐ近くにあった。
「それでねー。北島また先生に怒られたんだよー」
「ちょっとそれ言わないでよー」
405号室の扉越しに賑やかな声が聞こえて来る。
俺は扉を開けるのを戸惑った。
……本当に良いんだろうか。
「あたし達は生徒会よ、ここまで来たらもう引き返せないわ」
俺がためらっていると杏子が後ろから声をかけた。
そうだな。
俺は腹をくくると病室の扉をノックした。
「はい、どうぞー」
病室の外にいるのが俺達三人と知らないからだろう。
何も知らないような明るい声で返事が帰って来る。
俺達は病室の中へと入って行った。




