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犯人は…

もう少しで約束の時間だ。


俺と杏子は生徒会室を出て学校の正門へ向かった。


一体何が待ち受けているのだろう。


心配な思いで正門に近づいて行くと黒い塊が見えて来た。


車が止まっている。


運転席にいるのは清一の八百屋で働く原田さんだ。


清一があの時電話したのは原田さんを呼ぶためだったのか。


原田さんはもともとかなりのヤクザ顔をしている上に黒のクラウンに乗っているせいでどっからどう見てもそっち系の人だ。


唯一の救いは原田さんが白のタンクトップにジーパン。腰に「家倉八百屋」と書かれたエプロンを着けているとこだけだ。


原田さんが車から降りて俺達の所へ来る。


目の前にガタイの良い男が立つ。


優しい性格なんだがどうしても顔の怖さのせいで初対面の相手を怖がらせてしまう。


杏子は原田さんを見て体を強張らせた。


「古村さん、鳴海さん。坊ちゃんからの指示でお二人を車内で待たせるようにとの事でした。今しばらく車内でお待ちください」


清一はどこかへ行こうとしてるのか?


まあ考えても埒が明かない。


俺は杏子に原田さんが清一との関係者である事を説明した。


「なんだ、そうだったのね」


杏子は大きく息を吐くと、緊張をほどいた。


俺達は後部座席に座り清一を待つことにした。


しばらく待つと清一が小走りで車に向かって走ってくる。


「ごめんごめん、少し遅れてしまった。それじゃあ原田さん車を出していいよ」


「ちょっと待て。そのセリフは車の中に入ってから言うセリフなんじゃ無いか?」


清一は車外から声をかけた。


清一は「そりゃそうだ」とでも言わんばかりの表情をして、手を「ぽん」とさせた。


おいおい。大丈夫か?


俺と杏子は一気に不安になった。


改めて、清一は前の席に座り、原田さんに出発するように言う。


原田さんが頷くと車がゆっくりと発進した。


「なあ清一、今からどこに行くんだ?」


清一は後ろを振り返る。


「その前に、今回の一連の出来事の真相を話そうと思うんだが大丈夫かな?」


どうやら清一は真相を掴んだらしい。


俺は杏子を見たがどうやら異論は無いらしい。俺に向かって頷いた。


「家倉くん、説明をお願い」


清一は頷き、顔を前に戻して話し始めた。


「実は今回の出来事はそんなに難しい話じゃ無かったんだ」


「流れから説明すると、まず昨日の夜に何者かがアサガオを掘り起こして植木鉢に移し替える。その後それを正門の前に置いたんだ。次に置いてある鉢植えを今度は違う誰かが持って行った。これが昨日の晩の出来事」


俺と杏子はすぐに質問しようと身を乗り出すが清一がそれを止める。


質問は説明の最後に受けるらしい。


仕方ない、今は黙って説明を聞こう。


「次に今日の朝の流れだ。犯人はまさかアサガオが一本無くなっている事に気がつく人がいるとは思っていなかった。だから前日の晩と同じ状況つまり、アサガオ9本のままでいたんだ。だけどそれに気がついた人がいた。それが鳴海氏だ」


杏子がちょっと誇らしそうにする。


「1本減っている事に気がついた人間がいるとわかった犯人は代わりのアサガオを僕たちが気づかない授業中花壇に植え直したんだ」


「これが、一連の事件の真相だ。そしてこれらをやった犯人は………」


俺と杏子は一気に緊張する。


「田中さんと女子テニス部員だ」


清一は吐き出すようにそう言った。

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