男って全く
俺と杏子は清一の後をついて行った。
目的地に着いたのか清一は歩みを止める。
ここは…。倉庫?
到着した場所は昨日、田中さんと一緒に整理をした倉庫だった。
「ちょっと確認してくるから二人はここで待っていてくれないかい」
そう言うと清一は倉庫のシャッターを「ガラガラ」と開け、一人中へ入って行った。
「家倉君、何を確認するため倉庫の中へ入って行ったのかしら?」
それは俺にもわからない。
俺は肩をすくめる。
「さあな」
しばらく外で待っていると清一が倉庫から出て来た。
元のようにシャッターを閉めると、「ここから持ち出したのか…」と独り言をつぶやき俺達の所へと戻って来くる。
俺は何を確認するために倉庫に入ったのかを尋ねた。すると、
「ある物の数を確認したんだ。どうやらそれが一つなくなってるようだね」
「何よ。その確認した物って?」
杏子は当然の疑問を口にした。だが、
「それはまだ確証が無いから秘密さ」
清一はニコリと笑う。
「確証を得るために最後の確認をする必要があるんだけど、ちょっと待ってて電話をして来る」
そう言うと清一は電話をするため俺達から距離をとった。
電話の声は聞こえない。
「何の話をしてるのかしら?」
「わからないな。でもあいつの事だ。普段はおちゃらけてるがここぞという時は頼りになるやつだ。心配ないだろ」
「なんだかんだ言ってやっぱり信頼してるのね。家倉君こと」
杏子はニヤニヤしながら言う。
「そんなんじゃない!俺はただあいつとは付き合いが長いからそう思うだけで…」
だめだ、言葉を重ねれば重ねるほど杏子はニヤニヤしてる。
「おい。もうからかうなよ」
俺は苦い顔で言う。
「はいはい。わかりましたよ。どうして男って素直に親友て言えないのかしら?」
そんな事面と向かって言えるわけないだろ恥ずかしい。
そんなやりとりをしていると清一が帰ってきた。
「おや?どうしたんだい二人とも」
清一は片方はニヤニヤして片方は怒ってる二人を見て言った。
「なんでもないわ、それより電話は何だったの?」
杏子が聞くと清一が言った。
「それはまだ秘密さ。とりあえず最後の確認のため校務員室に行こう」
そう言うと清一は校務員室に向かって歩き出した。
校務員室の前に来ると中に入らず、外に出してある花を見ただけですぐに引き返した。
え?終わり?
「清一もう良いのか?」
「ああ、もう大丈夫だ。恐らくこれで間違いないだろう」
清一は笑顔で言う。
「実は二人に頼みがあるんだ。7時に校門の前で待っていてくれないかい?その時に真相を話そう」
俺と杏子は顔を見合わせる。
どういう事だ?
「あたし達は別に構わないわよ。その間何かする必要は無いの?」
杏子は清一に聞いた。
「ああ何もしなくて大丈夫さ。ただ僕は少し行くところがあるから、申し訳ないけど二人はどうにかやって時間を潰していてくれないかい?」
何か考えがあってのことなんだろう。
俺と杏子は顔を見合わせた後清一の方を向き、了承した。
その後「ありがとう」と言うと清一はどこかへ行ってしまった。
俺と杏子は取り残された。
「仕方ないわね。時間まで生徒会室にいましょう。先生に特別に許可をとって7時まで居られるようにしておくから」
生徒会室は原則6時までしか居ることは出来ない。だが、生徒会長の権限があれば伸ばすことが出来る。
俺と杏子は先生に許可をもらって生徒会室で時間を潰す事にした。




