突きつけられる差
「二人ともなんだよ、それー」
「俺に聞かれても・・・」
「ねえ・・・」
二人の職業を聞いた僕とそれを見ている困った顔をしている親友はある場所に向かって歩いていた。
「でもさ、ハルだってこれからしっかりと鍛えればステータスも上がっていくって」
「そうかもしれないけどなー」
「そのためにもいいチームに入らないとね」
「三人で入れるところないかな」
「いや二人はしっかりといいところに入った方がいいと思うぞ」
チーム・・・この町では、ダンジョン攻略や店を経営するにあたってチームというものに入らないといけない。チームに入ることでベテランの人たちと一緒に自分の力を高めることが必要だからだ。
「いろいろなチームがあるけど、やっぱりダンジョン攻略しているところがいいよなー」
カイがそんなことをいっていると、
「それなら、うちなんてどうかな?」
何人かの大男が声をかけてきた。
「あんたらなんだ?」
「まあまあ、そんな睨まないでくれよ、『勇者』さん」
「・・・なんで知ってるの?」
「君たちのようなレア職業はよく広まるんだよ。どうだい、俺たちのチーム『バイス』に入らないか?君たち二人の力ならすぐに強くなれるよ?」
「君たち二人?ここには3人いるんだけど」
大男の一人の言った言葉にカイは睨みつけるように言った。
「あー3人?だってここにはきみと『大魔術師』・・・あれそこにいるのは・・・噂の『オールゼロ』くんじゃないか」
「お、『オールゼロ』?」
僕は困惑して言った。
「そうだよ!知らないのか、もう噂は広まってるんだよ!!何の努力もしていない『オールゼロ』ってなあ。お前のような奴はどこのチームにも入れてもらえねえんだよ」
「・・・っ!」
なんだそれ、何の努力もしてないわけないだろ・・・周りだってそんなこと・・・
ひそひそ・・・・
大男の言葉に困惑している僕に聞こえたのは周りからのささやき声だった。
「あれが噂の・・・」
「よくもこんなところに・・・」
「『勇者』と『大魔術師』についてれば自分もうまくいくと思ってるのかもねー」
「・・・僕はそんな・・・・」
「おいあんたらいい加減に」
「ははは、だってそうだろ!レア職業についてればなんとかなると思ってるなんてほんとバカで能無しだよなあ!!」
「!」
そんな、僕だって努力、いやだ。そんなこと・・・
「っ!ハルどこに!」
「ハルまって!!!」
二人の声も聞かず、突きつけられた現実に逃げるように僕は・・・その場から逃げた。