バイス戦(3)
「てめえ!」
ザシュ!
「この・・・!」
ザン!
「・・・すごい」
ハルはやってくる敵を流れるように切っていく。今までと、否前よりも速くなっていく。クレアは近づいてくる多を寄せ付けないハルの動きに圧倒されていた。しかし、ガレスは、
「ほーあれが噂の『オールゼロ』か・・・大方味方のエンチャント使っていい気になっているだけだろう」
ハルの実力だということを全く知らずバカにしているかのように言う。そして、
「やっと着いた・・・」
「ハル君!」
「クレアさん・・・」
ハルはクレアの安否を確認して安心していた。ガレスはその光景を見てあざ笑う。
「おいおいまだ安心するのははええんじゃねえか?」
「あんたがガレスか?」
「そうだ。おいおい、ガキが俺に楯突こうなんてどうなるかわかっているだろうな?」
「いいからクレアさんを檻から出せ!」
「おい・・・俺が誰だが分かってんのか?」
「しらない」
「てめええええ!」
挑発に見向きもしないハルにガレスは怒りをあらわにする。
「いいだろう、そんなに泣きたいんだったら泣かせてやるよ!」
ガレスは背中にある大剣を抜き、ハルに突っ込んできた。
ガキン!!!!!!!!!!!ガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!!1
「ハル君!」
ガレスの巨大な大剣に押しつぶされそうに見えていたハルを見て不安そうに声を上げるクレア。
「この剣はなあ、第15階層のボスどんな攻撃も通さないと言われているぐらい固いゴライアスの表皮を集めて作った大剣なんだとよお!!!!お前のそのちゃっちい剣じゃ、すぐに折れちまうかもな!!!!!」
ガガガガガガガッガガガガ!!!!!!!!!!
ガレスの大剣とハルのブライトバスターがぶつかり合う。
「そんなものなんでお前なんかが持っているんだ」
ハルが冷たくガレスを見てそういうとガレスはにやにやと言う。
「こいつはなあ。もらったんだよ、この大剣の持ち主になあ。
「ごめんなさい。殺さないで」って泣きながらなあ!
アッハハハハ!!!!!!!あれは傑作だった」
「ひどい・・・」
クレアはガレスの最低な行為に手を覆うしかなかった。
「さああ!!お前もあいつみたいに泣いてくれるといいなあ!!!!!!」
パキン!
鳴り響いていた金属音は消え、折れた剣の音がした。
「なんだとおおおおおおおおおおお。なんで俺の大剣がああああああ!!!!!!!」
ただし折れたのはガレスの大剣の方だった。
「貴様!!!何をしたあああ!」
怒りを止められないガレスが叫ぶ。
「さっきまで入れてた力をもっと入れただけだよ。それにこれはある人が作ってくれたとびっきりの剣だからな」
そうハルが笑う。
「俺はバイスのリーダー、ガレスだぞ!!!!!てめえみたいなできそこないにまけるわけがねええええええええ!!!!!!!!」
雄叫びとともに真正面から突っ込んでくるガレス。そのガレスを見てハルはブライトバスターを構え、
タッ
次の瞬間ガレスに見えない速さでガレスの後ろにたっていた。
「え・・・」
ガレスは振り返ろうとするが
ブシュウウウウウウウウウウ!
次の瞬間血を吹き出しながら倒れていった。
「ハル君!」
「クレアさん!」
ガレスを倒したハルは、急いでクレアのもとに駆け寄っていった。
「ごめんね、私のせいで・・・」
「大丈夫ですよ。クレアさんは何も悪くない」
「・・・アリスから聞いた私の事?」
「聞きました」
「どう思った?」
心配そうにクレアはそういった。ガレスの前ではあんな風に見栄を張れたのだが、本当にハルがそう思ってくれているかはわからない。しかし、
「・・・僕にとってはクレアさんはクレアさんですよ。いつも頼りになる心配性で優しいお姉さんみたいな存在です」
「ハル君・・・」
クレアはその言葉を聞いて安心したような顔をしていた。
「種族なんて関係ありません。どんなあなたでも中身は変わらない。僕の大切な人です。だからクレアさん、
一緒に帰りましょう
」
「うん!」
クレアはその差し伸べられているハルの手をつかみ笑顔でうなずいた。




