先生に呼ばれるとドキッとしますよね?
冬zeroスタート
季節は12月。冬を迎えた。
12月と言えば師走。古い年を惜しむように人々は日常をすごし、少しずつ新しい年を迎える準備をする。そして子供は、特別な日をとても楽しみにしている。それはクリスマス。1年の中で自分の誕生日とこのクリスマス、願えばおおよその確率で自分の欲しいものがもらえるイベント。
そんな中、誰もが浮足立っていた。それはもちろん笹野家でも同じ。
笹野優日が修学旅行から帰ってきて、笹野零が順当に会長になり、笹野玲奈が郵便ポストから一通の手紙を取り出した。
「おとーさんとおかーさんから手紙だよ」
玲奈は優日と零が毎季節恒例になりつつあるじゃんけんをしていたところにやってきた。
「なんて書いてある?」
「いつもと同じ。あ、でも年末には帰れるかもって」
じゃんけんの勝負がつき、零はそのまま手紙を受け取った。
「本当だ。お正月は家族で過ごせるね」
零の顏はどこか嬉しそうだった。
「でも、年末かぁ。年末じゃぁ三者面談は来れないね」
「そっか。来れないねぇ」
来れないねぇ、その顏の玲奈は嬉しそう。零もホッとしている表情を浮かべていた。この二人の顏で、二学期の成績のおおよその想像はつくものだ。
白峰高校は毎年2回、7月と12月に親を交えての面談がある。それはおおよそ将来の進路のことについて話し合う場であり、多くの生徒が苦手としているイベントだ。進学校と言うこともあり、教師は熱心にこれを行う。
「まぁ、前にも来れないこととかあったし、大丈夫じゃないかな? 学校もわかってると思うし」
零はその手紙を引き出しに仕舞うと、宿題があると言って自分の部屋に戻っていった。
◇◇◇
「笹野さんと白鷹君はこの後掃除が終わったら職員室にきてね」
帰りのホームルームで先生が言った。私はこの先生が好きではない。
女性で数学教師であり、担任の先生。高学歴を鼻にかけ、キツイ性格。小柄であるが、その存在感は空気を震わせるほどのものだ。
理数科のクラスは一つしかないので、三年間同じ担任だと思うと胃が痛い。
「ああ、そっか。白鷹君も呼ばれてたんだよね」
掃除を終え、 職員室の前で呼吸を整えていると、白鷹君がやってきた。毎日顔を合わせてはいても、ブレザーの冬服に代わったことで、夏とはまた違ったきっちりとした印象を受ける。
「お先にどうぞー」
私は手のひらを上に向け、職員室を指す。心の準備ができていない。
「いや、笹野が先に来てたんだろ」
「う、でも」
「一緒でいいんじゃないか?」
「あ、うん。そうだね!」
一緒に入ればきついことは言われないだろう。
私の頭の中は、先生に怒られること一択だった。ちなみに怒られるようなことをした覚えは一切ない。一切ないのだが、職員室に呼ばれることイコール悪いことのように思えてしまう。きっとそういう人、多いと思う。
「失礼します」
「あ、失礼っしますっ!」
緊張しまくって声が変になる。近くに座っていた先生がこちらを向き、苦笑いをした。
そして私たち入口から少し離れた植野先生のところへと行く。
「先生」
白鷹君が声をかけると、植野先生はこちらを向いた。丁度課題のチェックをしていたところらしい。
「ああ、一緒に来たの。まぁいいわ」
椅子をくるりとこちらにむけ、植野先生は一枚の紙に目を通した。
「知ってると思うけど、今月三者面談があるの。毎度のことだけど、あなたたちのご家族はいらっしゃるかしら?」
「すみません。私のところは来れないみたいです」
「そう。白鷹君のところはおばあ様が来られるのかしら」
植野先生はペンで何かをメモっている。
「自分のところも、今回は。最近、寒くなって膝と腰がだいぶ痛むようで」
「わかったわ。じゃぁ二人は私と二者面談ね。もういいわよ」
「はい」
「ありがとうございました」
二人で頭を下げ、その場を離れようとした。すると、植野先生の隣に座っていた年配の国語教師の先生がガハハと笑う。
「代わりに出てやろうか。植野先生と二人きりなんて辛いだろ」
「あははは……」
それに私は愛想笑いをする。白鷹君も同じ表情をしている。
「もう、荻原先生、冗談はほどほどにしてくださいよ」
植野先生がそういうが、植野先生がこの学校で学生をしていたときからここの教師をやっている萩原先生は植野先生をからかうのが好きなようだった。
そんな二人を放っておき、私と白鷹君は職員室をあとにした。
冬zeroの前半はすこーしだけ暗い話になります。
自分は楽しいコメディーものを見に来たんじゃーボケーって人は冬zero後半ー僕の受験戦争扁ーからお楽しみくださいませ。




