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僕と双子の姉  作者: 朱砂 晃
秋zero
21/83

笹野玲奈のつまらない日常

 「マコトくーん、一緒に帰ろっ!」

 語尾にハートを付けて私は彼を呼ぶ。同じ学校の私の彼氏。

「おう玲奈、帰ろう帰ろう」

 ピタリと隣にくっついて歩き始める。校門を出て、道路側を歩く私。こういうの、もうちょっと気遣ってくれていいんじゃないかな。

 マコト君はそういうこと全然気にしない人。私も別に気になる方じゃないけど他の道行くカップルを見るとなんだか羨ましく思うこともある。

 いつも空けてる片側の手。手をつなぎたいなんて言わないけど、もう少し私に触って欲しいとも思う。秋風にさらされた私の手、もう少し寒くなったらつないでくれるのかな。

「あのね、聞いてよー今日さ……」

「そういえばさ、今度玲奈の家に行ってもいい?」

「……うん。おいでよ」

 時々私の声、届いてないみたい。でも、そんなに大事な話じゃないからいいんだ。

 今度、マコト君が家に来る。ユウ君に頼んで部屋、きれいにしてもらわなきゃ。

「弟とお姉ちゃんいない方がいい?」

「いや、大丈夫だよ。零ちゃんの方は学校でたまに見かけるだけだから話してみたいかも」

「うんうん、じゃぁそう言っておくね」

 レイちゃんは人気者だ。妹として鼻が高い。

「じゃぁ俺こっちだから、またな」

「うん、また、ね」

 いつも別れる曲がり角。マコト君は右、私は左。家まで送って欲しいなんて言えない。遠くなる背中を私はずっと見つめてる。マコト君は振り返ったりしない。それでも少し期待して、今日は振り返って笑顔で手を振ってくれるかもしれない、って思っちゃう。

 今日もマコト君は前だけを向いて帰って行った。

 どんな時も前を向いて歩いていくマコト君が好き。



                 ◇◇◇


 「ただいま」

 私は制服のままソファに倒れ込む。別に制服がしわになっても関係ない。私の制服が乱れてたところで注意するのはレイちゃんと生活指導の斉藤くらい。もともとそんなに校則が厳しい学校じゃない。だからスカート短くしたって、ボタン開けてたって、髪の毛染めてたって、パーマかけてたって、成績さえキープしておけばうるさくいう先生はいない。生徒手帳に「高校生らしい恰好」って書いてあったけど、近頃の高校生は髪の毛だって染めたくなる。レイちゃんには怒られたけど、先生には一度注意されただけだった。


 私は笹野玲奈なのに、周りからみたら笹野零の双子の妹。

 つまらない。


 「ユウ君、今度マコト君家に呼ぶから掃除よろしくー」

「えー、自分で掃除してよ! 僕受験生なんだけど!」

「いいじゃん別に。私は青春で忙しいの」

 青春ってこんなもの。よく、過ぎてから気が付くっていうけど、私が大人になってから思い出すのは、きっとこのつまらない高校生活と後悔なんだろうな。

             挿絵(By みてみん)


 昨日の零さんに引き続き挿絵は笹野玲奈さんです。

 髪色意外に番うところが一カ所あるのですけど、どこでしょうね。っていうか靴脱がすの忘れましたわ。

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