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Sync.  作者: 路瀕存
9/10

沈黙のパタンランゲージ

わたしたちのあいだにある

その沈黙を飲み干そう。

両手ですくいあげて

こぼれ落ちるのも構わずに。


しずくは

静謐と静寂の波紋を

幾重にも

わたし

 と

 あなた

とのあいだに

伝えてふるえ

幾多もの

 あなた《E》

  と

 あなた《you》

の砂丘をさざなみのように

 よせてはかえし、

  かえしてはよせたまま、

沈黙をくわだてて

シチリアのうみにしずんでいった。


   そう、たしかあれは

   大雨のつぎのひ

   みずのはえる畠

   きいろいかわら屋根のそばで

   つちとあめのかおりにつつまれて

   ぬすまれてしまったシチリアの火。


しずくは

過去と未来の波紋を

幾重にも

  わたし

  と

 あなた

とのあいだに

伝えてふるえ

幾多もの

 あなた《E》

  と

 あなた《you》

の砂丘をさざなみのように

 よせてはかえし、

  かえしてはよせたまま、

いわんや

  わ た  し

   と

 誰   か

とのあいだには

さらに多くの沈黙が息をひそめているのだろう。


しずんでしずかに眠る火は

きのうの空気でもえていた

波打つ砂のみずは

風化の筆名がぬすんできえた

だから

わたしは、

わたしたちは

わたしとあなたと

あなたのそのさきのだれかとのあいだにある

その沈黙を飲み干そう。

両手ですくいあげて

こぼれ落ちるのも構わずに。

初回掲載 2011年 05月29日 22時00分

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