沈黙のパタンランゲージ
わたしたちのあいだにある
その沈黙を飲み干そう。
両手ですくいあげて
こぼれ落ちるのも構わずに。
しずくは
静謐と静寂の波紋を
幾重にも
わたし
と
あなた
とのあいだに
伝えてふるえ
幾多もの
あなた《E》
と
あなた《you》
の砂丘をさざなみのように
よせてはかえし、
かえしてはよせたまま、
沈黙をくわだてて
シチリアのうみにしずんでいった。
そう、たしかあれは
大雨のつぎのひ
みずのはえる畠
きいろいかわら屋根のそばで
つちとあめのかおりにつつまれて
ぬすまれてしまったシチリアの火。
しずくは
過去と未来の波紋を
幾重にも
わたし
と
あなた
とのあいだに
伝えてふるえ
幾多もの
あなた《E》
と
あなた《you》
の砂丘をさざなみのように
よせてはかえし、
かえしてはよせたまま、
いわんや
わ た し
と
誰 か
とのあいだには
さらに多くの沈黙が息をひそめているのだろう。
しずんでしずかに眠る火は
きのうの空気でもえていた
波打つ砂のみずは
風化の筆名がぬすんできえた
だから
わたしは、
わたしたちは
わたしとあなたと
あなたのそのさきのだれかとのあいだにある
その沈黙を飲み干そう。
両手ですくいあげて
こぼれ落ちるのも構わずに。
初回掲載 2011年 05月29日 22時00分