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プロローグ

「第441時空方面のトレイルブレイザーとして、『来栖くるす しん』を任命する!」


 野太い部長の声が、僕の辞令を告げる。


 やはりか・・・。


 この部屋に来たときから、予想はできていた。


 平穏な事務作業を希望していたのだが、どんな人事のめぐり合わせか、はこの部署にいる。

 殺風景な事務机が並ぶ部屋。この企業の中で一番の人数を誇る部署なのに、この部屋にいるのはわずか数名だけだった。

 部長の机の前で、直立不動の姿勢で立つ6人。僕を含むこの6人が、今年採用された新入社員だ。


「我が国の資源事情は君らも知っていることだろう! 資源が枯渇しかけている我が国を助けるためにも、トレイルブレイザーとしての君たちの働きに期待している!」


 宇宙空間を航行できるワープ推進機関の開発に成功したのが今から60年前。そのワープ推進機関の燃料や、宇宙船の材料のため、国、というか惑星自体の資源が枯渇する危険性が出てきはじめたのが今から数年前だった。宇宙に出た艦からの朗報も少なく、新しい技術が自分たちの首を絞めたか、考え始めたころに、ある可能性に思い至ったのだ。



 ――異世界から、資源をもってくればいいんじゃない?


 ワープ推進機関で時空に穴を開け、異世界へのゲートを開く。あとは宇宙船から各種支援を受けながら、異世界を探索する。

 『トレイルブレイザー』とは、異世界から資源を見つけ出し、持ち帰るお仕事なのだ!


 近年では宇宙船の技術も進歩し、一人でも探索できるようなシステムが確立されている。

 以前は国が選抜して送り出す人員を決め、一大プロジェクトとして行っていたが、何度か異世界からの資源の持ち帰りに成功し、ノウハウがある程度つみあがってからは、民間に依託されることも多くなってきたのだ。


「―――で、あるからして、この441時空方面では! 他社に負けぬように寝る間も惜しんで探索に当たってくれたまえ!」


「「わかりました!」」


 部長の欲まみれの激励を受けて、同僚たちと一緒に表向きは元気よく返事する。

 




 うまいこと、いけばいいんだけどな。

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