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復讐の時

「復讐の夜に」8話です。

ついに決行する時が来ました。ここからラストに向けてラストスパートです。

では楽しんでください。

 11月9日夜9時 東条は首吊ふ頭にやってきた。これから殺されるとも知らないで。

東条は手ぶらだった。警察を呼んだ雰囲気もなかった。


 首吊ふ頭は倉庫が立ち並ぶ、静かな場所だった。アンケートを行ったら間違いなく夜に行きたくない場所ベスト3に入るだろう。   


暗いふ頭に東条の足音だけが響いていた。それはとても不気味だった。


オレと先輩はS倉庫の物陰に隠れて、東条が近づくのを待っていた。


「おい 約束どおりきてやったぞ」待ちかねた東条が声をだした。強がりを言って言うが内心は怖いのだろう。声がふるえていた。


 だがオレが返事をしないので東条は不思議に思い、S倉庫のほうに近づいてきた。ありがたいことに、呼び出した主を探すために、きょろきょろ見渡しているので、オレ達の存在には気づいていないらしい。 

 オレはすかさず東条に飛び掛かった。東条はとても驚き、声を出そうとするが、オレが口を押えているのでうめき声にしか聞こえなかった。


 オレは嫌がる東条を無理やり押し倒し、身柄を拘束した。ここからは先輩の出番だ。先輩は物陰からロープを持って現れた。先輩を見た瞬間、東条の目が見開かれた。東条は自分が殺した男の妹の顔を覚えていたのだろう。

 

 先輩とオレは協力してロープで東条の体を縛った。流石に大人一人をロープでグルグル巻きにするのは大変だったが、2人いたので何とかできた。大声で助けを呼ぶ可能性があったので口にガムテープを張り付けた。 

 

 東条は手足を縛られ、口もふさがれていたのでもじもじと動いていた。まるでミミズみたいだな。ざまあみろとオレは心の中で思った。


あとはこいつをどう料理するか。それをするのは先輩だった。オレの役目はこれで終わりだ。どっと疲れが込み上げるそれと同時に不安も胸を覆っていた。言いようのない不安。恐怖。これからどうなるのだろう。


先輩とはこれで会えなくなるのだろうか。だがまだ終わっていなかった。最後まで見届けなければ。東条が死ぬまで。



オレの先輩が人を殺そうとしている。


やっとこの日が来た。先輩と出会い、過去を知り、計画を立て、今、実行しようとしている。

 

 先輩は縛られた東条にナイフを近づけている。先輩の顔は冷静だ。だが、心の中ではやっと全てが終わると歓喜しているに違いない。


 「助けてくれ!」そうひっきりなしに叫んでいるが殆ど聞こえない。


「オレが悪かった。罪を償うよ!だから助けて」東条がそう言った途端、先輩の動きが止まった。先輩は迷っているようだ。


 「そんな言葉に騙されちゃいけない。そいつはそんなことちっとも思ってはいないんです」オレは必死に言った。あいつはこの前オレに向かって言っていた。笑いながら。太陽さんを殺した時のことを。


そう言おうとしたが言葉が続かなかった。


 しかし先輩は止まらなかった。


「わかった。いくら出せばいいんだ?10万か20万か?」

東条はところどころ言葉をもつれさせながら言った。


呆れてものが言えない。



 先輩は東条に向かってナイフを振り下ろした。ナイフが風を切る音が聞こえる。

東条は顔をそむけている。


これで復讐は終わる。

 

そう思ったが、先輩はナイフを突き刺すのを止めた。



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