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これが最後

「復讐の夜に」7話です。

この話ではコインランドリーがでてくるのですが、僕はそれが大好きなんですよね。あと病院の売店とか。周りから変だとよく言われます。

 振り返るとそこには妹がいた。たったひとりの3歳離れた現在高校2年生の妹。


「桐菜じゃないか どうしたんだ?」オレは驚いて尋ねた。もう半年近く会っていないのだ。久し振りに会った桐菜は少し大人っぽくなった気がした。ピンク色のジャージという服装以外は。



桐菜はオレの家からそう遠くないところにある実家に住んでいる。今は私立大学に受かるため猛勉強をしている。来年の4月から1人暮らしがしたいらしい。


「ちょっと家の洗濯機がこわれちゃってさ」桐菜はおどけた感じで言う。洗濯機が壊れたからと言ってこんな夜遅くに高校生が出歩くなんて少し変だ。


「それ嘘だろ」オレの目はごまかされなかった。


桐菜は爪を噛もうとしている。嘘をついたときの癖だ。


「よくわかったね。わたし実は今家出中なんだよね。友達の家に泊まってるの。さすがにそこの家の洗濯機は使えないからここに来たの。そしたらお兄ちゃんがいた」桐菜が下を向きながら白状した。


 そういうことだったのか。


「何日目だ?」


「1週間くらい」


「携帯はどうしてる?家から電話がかかってくるだろう」


「家に置いてきた」

 オレはため息がでてきた。



「原因は?」


「パパがわたしの彼のことをぐちぐち言ってくるからむかついたの。わたし高校生だよ。そんなこと親にとやかく言われたくない」桐菜は一気に言った。



オレが睨むと、「もちろん彼氏の家には泊まってないよ」とあわてて弁解した。


「そうか」オレは短く言う。桐菜がやていることは悪いことだが、明日オレはもっと悪いことをする。オレは何も言えなかった。

 

 洗濯機がピーと音をたてた。洗濯ができた合図らしい。近づいて見てみると乾燥までやってあった。オレは乾いた洗濯物を籠に入れる。


 桐菜はいまから洗濯をするようだ。あの量からするとかなり時間がかかりそうだ。

 

「じゃあオレ行くから」オレは背中を向けている桐菜に言った。さっきとは逆のポジションだ。

 

「うん わかった」桐菜はこちらを少し振り向き言った。そっけないものだ。

だが、それでもたった一人の兄弟なのだ。

 明日からは会えなくなってしまうかもしれない。しくじったら捕まる。

 オレは桐菜に近づき、1万円札を取り出した。 

「これやるよ」そういって渡すと彼女は嬉しそうな顔をした。



「すこしでも足しにすればいい。だがこんなこと長くは続けるなよ。父さんも母さんも心配してるんだからな」オレは真剣なまなざしで桐菜を見た。


桐菜は少し気圧された感じだったが「はーい」と気のない返事をした。

 本当にわかっているのやら。


「じゃあな。受験勉強頑張れよ」自動ドアが開いた。


「うん。また今度遊びに行こうね」桐菜は手を振りながら大声で言った。

 

オレは返事をする代わりに手を少し上げた。

 

外に出ると、室内との温度差が激しく、身震いした。


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