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接触

「復讐の夜に」4話です。

では楽しんでください。

 それからオレは3日おきに東条のポストにいやがらせの手紙を入れた。内容は適当で、お前のせいで人生が無茶苦茶になっただとか金をかえせだとかそんなことだ。

 


 案の定、東条の顔色はどんどん悪くなっていった。肌の色は土色、隈もできてみるに堪えないものになっていた。例えるなら使い古したサイフのようだ。

 


 オレと先輩は東条のくたびれた顔を見るたびに笑いをこらえるのに必死だった。東条を悩ませている手紙を書いたのは自分なんだから。

 

 先輩と出会って5か月が経とうとしていた。もちろん嫌がらせの手紙も送り続けていた。

 


オレは東条と接触した。東条とつるんでいる男と仲良くなり、東条に紹介してもらったのだ。



この作業は大変だった。最初オレが近づいたとき、東条の友人は警戒していたようで東条に紹介してもらうまでに時間がかかった。



  オレはある日の金曜日、東条を飲みにさそった。

「東条さん。今夜のみに行きませんか?いいところ知ってるんですよ」オレは手をすり合わせて媚びを売るように話しかけた。これが一番苦痛だ。


 「おっいいじゃねえか」東条はにやりと笑った。似合いもしないサングラスをかけていたので寒気がした。


「じゃあ誰か誘うか」東条は携帯電話を取り出した。

だがオレは東条が電話をかけようとするのを制し、言った。


「今日は2人で飲みたいんですよ。東条さんの武勇伝も聞きたいし」なんとか2人で話す口実が欲しかったのだ。


「そうか ならそれでもいいか」東条は簡単に納得した。

なんと単純な男なのだろう。

 

 8時にバー「ウミガメ」で会うことを約束し、東条と別れた。

 オレはすぐに自分のアパートに帰り、身支度をした。階段を駆け下り、自転車に乗る。

そして全速力で漕ぎ出した。今日は走ってばっかりだ。2キロ減るに違いない。


 オレが東条に聞きたいのは先輩のお兄さんを殺したかどうか。そしてその動機だ。先輩を疑っているわけではないが、その点はまだはっきりしていない。もしかして人違いかもしれないのだ。聞いておいたほうが良い。


酒で酔わせて吐かせてやるのだ。

 

 「ウミガメ」に着いたのは7時半だった。奴が来るまで30分もある。オレは雑誌でも読んで暇をつぶした。


 オレはビールを注文した。するとたのんだビールを運んできたマスターが話しかけてきた。

 

 「最近よくきますね」いつもと同じ、優しい声だ。


「はい。気に入っちゃって」オレは頭をなでながら答えた。先輩と打ち合わせをするときはあの喫茶店かここでするようにしている。「ウミガメ」にはもう8回ほど来ている。


「今日はいつものべっぴんさんはいないんですか?」


「今日は大学の先輩と待ち合わせをしているんです。いろいろ聞きたいことがありまして」


「そうなんですか」マスターは気のせいか少しがっかりした様子だ。

 

「それでは楽しんで行ってください」それだけ言うとマスターはコツコツと音を立て、カウンターのほうまで戻っていった。

 

東条は8時を10分過ぎたころにやってきた。約束した通り連れは誰もいなかった。


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