1話 始まり(いのり視点)
ドロドロ恋愛です。
放課後、教室にはまだ半分くらい人が残っている。そんな中、大森いのりは部活に行く準備を進めていた。
「ねぇ、今日の王様ゲームやるでしょ?」
風山詩乃葉が後ろから話しかけてきた。
「王様ゲーム?今から?」
誰からも聞いた覚えのない話だった。
「そう。祐介から聞いてないんだ」
まぁいのりはそんなもんだもんね、というニュアンスがはっきりと感じられる言葉にイラついたが、
「へぇーやる」と即答した。
祐介がいる以上やらないという選択肢はない。
それに、聞きはされたがどうせ拒否権なんてないのだろう。
「いのり、参加するの?」
学級日誌を書き終えた柚月が詩乃葉の横についた。
「うん」
「2人が参加するなら、私も。」
なんでも人に合わせる所は柚月の数少ない欠点の1つだ。
「じゃあ!始めるか!」
後ろの扉から祐介と真が入り、王様ゲームは始まった。
王様になった奴らはポッキーゲームだの、恋人繋ぎだの、学生らしいことを次々と命令した。
最後の10回目で祐介が王様になった。
少しドキドキしたのは祐介に好意を抱いているからなのか。
「じゃあ、5番と11番が2週間付き合うで!」
祐介が少しだけマジのトーンで言った。
5番と11番ってだれー!?とざわついた。
柚月と真が手を挙げた。
柚月は頬を赤らめ、真は悪戯ぽい笑みを浮かべている。
「じゃあこれから2週間、2人は恋人同士ってことで!」
祐介が明るく言った。
ふと横を見ると詩乃葉が静かに震えている。
「ちょっとーこんなん良い訳?真も柚月もさ、」
精一杯明るく詩乃葉が言ったのは真のことが好きだと悟らせなくないからなのか。
「俺は良いけど」
真ははっきり言った。これは予想外だ。
歓声で教室がざわつく。
「私も、別に」
柚月も控えめに言った。
頼みを断れないところ、これも柚月の悪いところ。
「ちょっとお前ら早く帰れ」
良い感じの空気のときに担任が扉を開けて急かす。
みんな文句を良いながも教室をあとにした。
「いのり、帰ろう」
詩乃葉に強めの力で腕を引っ張られ、強引に教室を出る。怒っているのがすぐにわかった。
「あ、ちょっと待って私も帰る」
柚月がすぐに追いかけて来た。詩乃葉は立ち止まると、
「今日からゆつと真と恋人でしょ?一緒に帰んなよ〜、」
と、前を向いたまま冷やかすように言った。
「祐介何あの命令!しかも柚月も断れよな」
校門を出ると、早速愚痴タイムが始まった。
詩乃葉は分かってないのか、祐介が何であんな命令をしたか。
私たち、祐介、柚月、詩乃葉、真、私、の5人グループの中で祐介が詩乃葉のことを好きなのは多分全員知ってること。
最近、詩乃葉と真は2人だけ喋ったりと仲が良い。
2人が付き合うのを阻止したいから祐介は真と柚月にあんな命令をしたのだろう。
そんな馬鹿な祐介のことが大好きな自分にあきれた。
次は真視点です。




