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ケセラセラ Ⅱ  作者: 遠藤 敦子
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「大学時代に5カ国行ったことある人は誰?」

 という文と共に、様々な海外の景色の写真がスライドショーに出てくる。これは社員の富田さんだったかなと真澄は考えたけれど、すでに別のスタッフが手を上げて「富田さん!」と答えてしまった。これの正解は30代後半の富田(とみた)翔平(しょうへい)という正社員で、彼は大学生の頃にアメリカ・フランス・オーストラリア・イタリア・スペインの5カ国に行ったそう。どんどん他のチームに追いつかれ、真澄たちのチームはいま3位となった。

「若い頃漫画家を目指していた人は誰?」

 という質問が最後に出た際、真澄は直ちに挙手する。これは同じ部署の重久(しげひさ)希子(のぞみこ)という60代のパートさんのことだからだ。

「では、井上さんどうぞ」

 柏崎工場長が真澄を指名し、真澄は「重久さん」と答える。答えは重久さんで正解だった。そういうわけで真澄たちのチームは2位だったけれど、1位のチームとは僅かな差があったのだ。無料券は勝ち取れなかったものの、それでも真澄たちにとって良い思い出となった。そんなこんなでレクリエーションも終盤を迎える。


 その頃直幸はレクリエーションの様子を見ていたけれど、和気あいあいとした雰囲気だという印象を抱いた。年配のパートさんが多いけれど、それでもギスギスした空気ではなかったのだ。直幸はケセラセラでも和気あいあいとした店づくりをしたいと考える。

「平塚さん」

 柏崎工場長が直幸を呼び、直幸は「はい」と振り返った。

「今日はありがとうございました。うちのスタッフも美味しかったって言ってくれていて、ケセラセラに行きたいと言ってる人もいます。また社内イベントをする時があればケセラセラさんにご協力をお願いするかもしれないので、よろしくお願いします」

 柏崎工場長は直幸に握手を求める。直幸も手を差し出し、柏崎工場長と握手を交わした。スタッフがどんどん工場に戻るのを見送り、直幸もハーモニーリネンサプライを後にする。


「いやー、結構平和でしたね。おばちゃんばっかなんでギスギスしてるかなって思ってたんですけど、そんな風には見えなかったです」

 キッチンカーの車内で恭志が口を開く。直幸も運転しながら頷いた。後ろを振り返ることはできないので、まっすぐ前を見ながらではあるけれど。

「俺もあんな平和な店にしたいな」

 直幸が言うと、部下たちはみんな

「もちろんです! スタッフ同士が仲良しだと、協力とかもスムーズにできますからね」

 とのことだった。駅でそれぞれのスタッフを降ろし、直幸も帰路に着く。

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