表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

年末のイベントで貰った小さな帽子

作者: きつねあるき

 1999年もあと数週間という時に、地元の商店街が主催するファミリー向けのクリスマスイベントに単身で行く事にしました。


 目的は、何と言っても豪華(ごうか)賞品を当てる事でした。


 ただ、入場者のほとんどは家族連れで、小さいお子さんと来ている方が大半でした。


 最初に、ウルトラヒーローズショーを行いました。


 子供向けだと(あなど)っていましたが、想像以上にウルトラマンと怪獣(かいじゅう)が登場したので盛り上がっていました。


 イベントの最後に、いよいよ待ちに待った抽選会が始まりました。


 司会者の横には、サンタの格好をしたウルトラの父がいて、当選品を贈呈(ぞうてい)していました。


 自分の招待券に書かれていた番号は、最後まで呼ばれる事はなかったものの、司会者から入場者全員に景品が用意してあるので出口付近で受け取って下さいと案内されました。


 景品といえど、1人1人同じものを渡していた訳ではなく、商店街の売れ残りらしき物を係員が気紛(きまぐ)れで袋詰めしていました。


 自分が(もら)った物の多くは、お菓子とキーホルダーでしたが、その中に紅梅(こうばい)色の小さなチューリップハットが入っていました。


 話しは飛びますが、自分はそれから5ヵ月後に結婚して翌年には長男が誕生しました。


 結婚から4年後には次男が誕生し、何かと忙しく過ごしていました。


 そして、結婚から7年後に長女が誕生した時に、あの紅梅色の帽子の事を思い出したのです。


 確か、あの帽子は捨てずに押し入れに仕舞っていた(はず)でした。


 いくつかの段ボール箱をひっくり返すと、底の方に糸屑(いとくず)だらけの小さい帽子を発見しました。


 あったあった!かなり(つぶ)れちゃってるけど、やっと見付かった!


 とりあえずは、紅梅色の帽子を洗濯して乾かしました。


 そして、首がすわったばっかりの長女に被せてみると、何とも可愛らしい感じでした。


 長女は、汗っかきだったので、帽子を被せると数時間で汗臭くなってしまいました。


 もっと言うと、汗臭いのと赤ちゃん臭いのが混じった感じかな。


 なので、しょっちゅう紅梅色の帽子を洗濯していました。


 赤ちゃんサイズの帽子がよれよれになった頃、長女の頭が大きくなり入らなくなったので、最後には汗をいっぱいに含んだまま手放しました。


 自分は、何故あの時にベビー帽子を捨てなかったんだろう。


 それも、あれから8年後に役に立つ事があるなんて信じられませんでした。


 ただ単に、会場に来ていた子供達にはサイズが合わなくて、自分の景品の中に()じ込まれただけなのかも知れませんけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ