9話
昼食後、Aのこっちから、戻ろうという一言で、僕は人気のない廊下を歩いていた。
彼女はというと、早々に昼食を取り終え数人の友達と去っていった。Sはほっていかれたようだ。本人は慣れてるから。とかいいっていたが、それは慣れていいやつなのか・・・。
まぁ、それよりこの状況をどうにかするほうが先である。
一言もしゃべらないこの状況がなかなかにつらいのだが・・。
「・・・なんか話があんだろ??」
もういいやとおもい、Aに声をかけた。
前をせんどうするかのように歩いていたAが止まる。そして振り返っていった。
「俺さ、告ろうと思うんだ。」
Aはそういってきれいな笑顔を見せた。僕はというと内心放心状態である、まだ告白するつもりと言われただけましだろう。何も言われていない状況から、『私たち付き合ったんだ~』と言われるよりはいい。
でも・・・・・・・。
脳内でうだうだと議論が繰り広げられている中、Aが言う。
「んで、たぶん振られるだろうから、お前の恋応援したい。」
「いや、でもそれでいいのか・・・・・?」
「いいんだよ。好きってうちに告白したいんだ。」
「お前がそれでいいっていうならいいけど。」
でも、お前が彼女と付き合ったとき、僕はどんな顔すればいいんだよ。この気持ちをどこに捨ててくればいいんだ??
という言葉を、唾と一緒に飲み込んで、口の端を持ち上げた。
Aという人は、気遣いができ、僕とは違ってかっこいい。そういう奴に僕が勝てるわけがない。もうこの恋は終わりかな。そんなことを考えた。




