1話 ノートから始まる物語
ずっと 一緒に居られれば良いのにね
クリスフェル村 浜辺 夜
スペイラ「・・・ずっと・・一緒に」
クロス「ムリだよ」
スペイラ「え?」
スペイラを抱きしめる
スペイラ「クロス?」
ずっと一緒に
居られなくなった理由を告げる
スペイラ「・・・ウソでしょ?」
クロス「・・・ずっと
スペイラと一緒に居たかった
ずっとスペイラと遊んでいたかった」
クロス「・・・でも・・ムリなんだよ」
抱擁を解き
そのまま去っていくクロス
夜が明ける
座り込んで両手を砂につけ
絶望するスペイラ
スペイラ「・・・」
スペイラ「・・・なんで」
帰ろうよ お姉ちゃん?
ルイジェネウスに
スペイラ「・・・フェイア なんで ここに?」
フェイア「もういいでしょ? 相手は人間なんだよ
”対”の要請だってある お姉ちゃんは」
スペイラ「12年”くらい”」
フェイア「12年”も”だよ?
ズレないで?」
スペイラ「・・・」
スペイラ「・・・そうね」
とある場所
朝がやってきて目を覚ます
リアナ「・・・」
リアナ「・・・かったるい」
訓練施設に向かう
リアナ「ドラゴン相手の訓練か
今日も訓練生を いじめてるね
イザルト教官」
ダメージを受け
次々と脱落していく訓練生
ひとり挑み続ける者
リアナ「まだ 戦える奴が居るか」
リアナ「普通の人間が戦えば
良くて死 悪くて生きたまま精神崩壊」
リアナ「生きようと足掻けば足掻くほど
失敗した時のダメージは深い
楽になりませんか 訓練生?」
ドラゴンの攻撃をかわす
ドラゴンの炎をかわす
リアナ「・・・」
ドラゴンの爪による
斬り裂きの攻撃をかわす
リアナ「・・・」
リアナ「・・・何者なの?
人間のできる動きではない」
リアナ「・・・」
リアナ「・・・・・
・・・興味がある
訓練フロア
イザルト「・・・」
ロウリ「良い物を持ってる訓練生かと」
イザルト「あのジジイの喜ぶ顔が浮かぶ
だが 俺の欲しいのは それではない」
ドラゴンの攻撃をかわし
体勢を立て直した訓練生
イザルト「何もできないなら」
ドラゴンから放たれる
火炎球が訓練生を襲う!
イザルト「飛んでかわした?
そんな隙だらけになる空中で」
2階フロア
窓ガラスを割り飛んでくる物
訓練生クロスは
手を伸ばし それをつかむ
そこで
ある者と視線を合わせる
クロス「・・・」
リアナ「・・・
使いなさい?
落下と共に
ドラゴンに向い刀を構えた
だが ドラゴンの火炎球が
再びクロスを襲う!
イザルト「空中で姿勢制御はできまい!?」
左に動き かわした!
イザルト「なぜ そんなことができる!?」
リアナ「やはり 人間のできる動きではない」
ドラゴン「グアアアアアアア!」
刀を振り下ろし とどめを刺した
イザルト「フェルフィスカ!何をしてくれる!?」
リアナ「ドラゴンを斬り裂く剣技を見れて
収穫はあったんじゃない?」
イザルト「これは 魔力を計るための訓練だ!?」
リアナ「訓練生 名前は?」
クロス「クロス・フェクト」
リアナ「私と つきあってくれたら
私 好みに育ててあげるよ?」
クロス「かわいいのに そんな言葉を使う?
似合ってないよ?」
リアナ「・・・」
リアナ「・・・・・
・・・かわいい?
訓練フロア
ロウリ「訓練を邪魔されましたね
フェルフィスカに」
イザルト「ルルゥの特権で我が物顔に
好き放題している
はみ出し者の訓練生が」
ロウリ「そんな彼女を前に物怖じしない
クロスも彼女と同類になる気がしますよ」
外
待ちなさい?
クロス「・・・」
リアナ「貴方と私は同類よ?」
クロス「ムリだよ なれるわけない
そうできないようになっている」
リアナ「・・・貴方は特別だとでも言いたいの?」
クロス「・・・」
クロス「・・・
むしろ
誰かと同類になりたかった
リアナ「・・・」
リアナ「悲しそうな顔をするのね?」
リアナ「かわいい女の子には礼節を尽くせと
古来からの騎士の務めよ?」
クロス「奴隷や道具に使ってた
世界もあったらしいが?」
リアナ「こういう時 女って
都合の良い方に考えるの」
クロス「ずるいって言われない?」
リアナ「”すべての女”が?」
クロス「”君だけ”が」
リアナ「・・・」
笑みを浮かべ
「そうかもしれないね」と返す
リアナ「私の名前は
リアナ・フェルフィスカ
案内してあげるよ
ここの施設を