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094 アズサ、神々を訪問するも完全に無視される

 係長さんがグリムに、内諾した神々のリストを渡した。すべての神が次期最高神の候補とのこと。私は会話に入れず聞いているだけ。私が天界にきた意味ってあるのだろうか。小料理屋でグリムを待っていれば良かったのではと思っている。


「アズサ、このリストの神に会いにいく」


 ええっと、リストにはなんて書いてあるのかなあ? 読めないわ。まったく全然、神の文字って知らないもの。恐るべき小学生だ。


「グリムさん、ごめんなさい。神様の文字が読めません」


「このアイテム、メガネを掛ければ読めるから」と言われてごく普通のメガネを渡された。メガネを掛けると、これは凄いちゃんと読める、けど……。



 一、破壊神、チバ様、武闘系、拳での会話が得意。


 二、知識の神、メネルバ様、口喧嘩で負けたことなし。


 三、太古の神、アラノス様、純朴、時間観念がないのでいつ動くかわからない。尚、動くと世界が飛んでもないことになってしまうので、依頼したことを後悔している。できれば依頼を取り消したい。


 四、命の神、 モイラ様、決められたことはきっちりこなすけど、それ以上はやらない。


 五、力の神 プルート様、最高神最有力候補。バシヌ神への反発心が強い。表面上バシヌ神からの依頼は受けてもたぶん放置する。


 六、死の神 ヨミ様、ヤバいとにかくヤバい神でも殺せる。でも、時間が経てば復活するけど。病の神でもある。


 七、太陽神、ラー様、マジで熱い神。リーファと友人関係。リーファくらいしか水浴びさせられないから。



「アズサ、私と同系統の破壊神から会いにいく。拳での会話が楽しみなのだ」


 グリムが、たんに遊びたいだけって顔をしているのは見なかったことにしよう。



 破壊神の神殿はすぐにわかった。入口以外、すべてが壊れている。どこからでも入れるので、かろうじて残っている入口の存在価値がない。神殿は自動修復中なのだが、徹底的に破壊されているから、ほとんど作業が進んでいるようには見えなかった。


 グリムと私は形ばかり残っていた。神殿の入口から中に入ると、陪神の皆さんに緊張感が走った。


 一柱の神様がグリムに話しかけてきた。「ルシフェル様、ご覧の様にここにはもう壊すものがないので、別の神殿に行かれることをお勧めいたします」


「私は破壊神、チバ殿に会いにきただけなのだが」


「主神チバ様は大喜びをされると思いますが、我々陪神としては会って欲しくありません。これでも作業が進んだ方なのです。主神チバ様とルシフェル様はまた拳で語られるのでしょう……」


 もう疲れた様って感じがビシバシ伝わってくる。あの係長さんといいここの陪神さんといい下級神の疲れ方は半端ではない。神は死なないから過労死はしないけれど。


「主神チバ様はこの奥の簡易神殿におられます。お願いですから他の神の神殿の近くで拳で語りあってくださいね」


「承知した」


 陪神の皆さんに少しだけ、ほんの少しだけ安堵の表情が浮かんだ。



 奥に進むと小さな神殿があった。グリムはそのまま挨拶もなしでその神殿に入っていった。


 破壊神チバ様が長椅子に寝転がっている。


「ルシフェル、この前は楽しかったぞ。さあ、また拳で語り合おう。もしお前が私に勝てれば、お前の陣営に入ってやるから」


「私には次期最高神の座に興味はまったくないのだ。今回は地上を破壊するのをやめるか、手加減をしてほしくてきたのだ」


「わかった。私に勝ったらその願いを聞こう」


 やはり拳での語らいをしなくてはいけないのか。あれ、横にいたグリムがいなくなったと思ったら、突然衝撃波がやってきて、簡易神殿があっさり消えた。


 油断をしていた私は五百メートルは飛ばされて、自分にヒールを掛ける羽目になってしまった。お前ら開始の合図くらいしろよ!


 上空で時折煌めきがある。煌めきがあるたび衝撃波が来襲して、あちこちの神殿が壊れている。めっちゃ迷惑だ。


 ドーンと何かが落下する音とともに地面に亀裂が走った。落ちてきたのは破壊神チバ様だった。落とされたのに、満面の笑顔だ。


「親父のチート神と違ってルシフェルは正統派だ。けっこうなことだ」


 グリムが肩で息をしているのを初めて見た。でも、楽しそうで何よりだ。破壊神のチバ様の陪神の皆さんは天を仰いでいるけど。なんか「天は我らを見放した」って言っている神様がいた。絶望した時の決め言葉みたい。


「ルシフェル、俺は明日地上に出陣して山一つをぶっ壊すだけで戻ってくる。それで良いか?」


「ありがとうなのだ」


「それとだ、お前が次期最高神の座を望むなら、俺は全力で応援するからそのつもりで」


「もしそういう時がくれば……、よろしくなのだ」


「グリム、次はどの神様のところに行くの?」



「いつ、動くかわからない、太古の神アラノスのところだ。あれは長時間待たすので気は進まないのだが、動かれると魔族支配領域にも影響を及ぼすので、どうしても止めておきたいのだ」

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