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080 アズサ、オーガの里でお土産をもらう

 オーガの里に着いた。白猫の皆さんが怪訝な顔をしている。


「オーガって人喰い鬼のことだよな」


「辺り一面、畑と牧場で、手入れも行き届いている。どういうことだ……」


「それってオーガの人に似た魔人なので、誤解だったりします。見た目はオーガの人は怖いですが、農耕と牧畜を愛する平和の民がオーガの皆さんです」


 私たちは、長老様の屋敷に向かっている。お昼寝の時間は外したつもりだったのだけど。途中でガランさんに会った。長老様の屋敷に向かう途中だというと、疾風のごとく走って行き、突風のように戻ってきて「長老は叩き起こしておいた」


「ありがとうございます……」余計なことをしてとは言えなかった。


 長老様は前回同様に不機嫌だった。ごめんなさい。


「長老様、お土産です」と言ってイグノの叔父さんが選んでくれたワインを長老に渡した。ふんという顔をした長老様だったが、急にワインに魅入られたようにそのワインを見つめ出した。


「このワインはどこで手に入れた?」


「えっ、三十五階層のお酒屋さんですけど、何か?」


「トラの魔人は何か言ってなかったか?」


「口数のとても少ない酒屋のご主人なので、オーガと一言言ったきりです」


「そうか。口数がとても少ない魔人の酒屋か、その店にワイン大特価の貼り紙はなかったかな?」


「はい、入口を入ってすぐの棚に貼ってありました」


「ガラン、ワシはちょっと三十五階層に行ってくるので、後はよろしく頼む」


「長老、藪から棒に何を言い出す! 長老がいないと里の揉め事をまとめる者がいなくなる。里の者が大いに困る」


「放っておけば良い。なんとかなるもんだ」


「三十五階層に何をしに行くのか?」


「友に会いに行くだけだ。お前文句があるのか!」


「長老、悪魔もいればワームいる。長老、一人では危ない」


「ワシは冒険者だった。地上にもタンジョンの最下部にも行った者に言う言葉ではないと思うが、お前ワシをただの老ぼれとでも思っているのかな」


 長老の目が怖い。一気に気迫がみなぎって息苦しい。


「長老が魔人と今のゴブリン王の三人で天界に殴り込みをかけたのは知っている。しかし、もううん百年前のことではないのか? 最近は神経痛で歩くのも大変って言ってたではないか?」


「確かに天界までは行きたくはないな。あそこは遠い。しかし三十五階層ならすぐだから、ちょっと行ってくる」


「四十階層でオウルも誘って行かないとワシだけ行ったら、オウルが拗ねるなあ」


「長老様、お尋ねしても良いですか?」


「なんじゃな?」


「長老様は五十階層にも行かれたのですよね」


「五十階層を通らないとダンジョンの底には行けないからな」


「五十階層には、結界が張られていたはずだと思うのですが……」


「結界なんぞ殴れば穴が開くし、時間が経てば元に戻るから問題なし、妖魔は鼻と耳からしか入ってこんからそこを詰め物をすれば、ワシらくらいになると問題ない。ガラン程度だと妖魔に体を乗っ取られて、遊ばれて捨てられて終わりだがな」


「アズサとか言うたな。褒美をやろう。ガラン、瓢箪百個に目一杯鬼酒を入れてアズサにやれ。それと天界で手に入れた綿をやろう。妖魔が体に入ってこないはずだ。とはいえそれなりの魔力量がないと使いこなせないのだがな」


 私は長老から天界の綿とやらをもらった。




「アズサ、どうかなぁ」


「長老様、ありがとうございます。なんとか泉の結界が破れそうです」


「泉の結界を破ると、ワシらみたいに自動的に天界の連中とドンパチやらんといけなくなるからそのつもりでな」


「泉の結界を破ると、天界に喧嘩を売ることになるのですか?」


「当たり前だろう。そのために天界の連中が妖魔に番をさせて、結界まで張っているのだから。命の泉の水で不老不死に、知恵の泉で全智全能になるかもしれないのに。そんな奴を見逃すほど天界の連中は甘くないわい」


 ヤバいよ、マズイよ、最悪だ! 第二次神魔人大戦が起こってしまうじゃないか。私は喜びから絶望に一気に転落してしまった。


「ガラン、ほんじゃ三十五階層に行ってくるので、後は任した」


「長老、ちょっと待ってください。里の皆んなの意見も聞いて……」


「長老!」


 ガランさんは長老に投げ飛ばされて見えなくなった。長老、強い。


「ボワンナーレさん、どうします。天界とやり合うことになるそうですけど」


「別にどうってこともないと思いますけど。当然そうなりますよね。神々が黙っているとは私も思っていませんでした。でもです。知識を求めるものはあらゆる妨害、困難を乗り越えるのですよ!」


 皇帝を亡き者にする方が、面倒がなくて良いかも。少なくとも天界の神々と争うよりはまだ勝機があるもの。


「エルリックさん、天界の神々と帝国が争うことになりますけど」


「我々は依頼を達成するだけで、後のことは知ったことではない」


「下手をすると人が滅びますよ」


「我々が判断することではない」白猫の皆さんの顔が真っ青なんですけど。本当にそれで良いんでしょうか?


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