079 アズサ、四十一階層を思い出して暗くなる
「四十一階層は、魔法で灯りを灯しても周囲一メートルしか見えない暗黒の階層です。前回私たちはこの階層を通った際、かなり神経を削られました。四十二階層は神のエリアで、眩い光で目が焼けます。事前説明の際に話した遮光メガネは皆さんお持ちでしょうね」
「神のエリアでは魔物は無数に湧いてでてきます。雷神がドカンドカンと雷を落としてくれます。あと槌で私たちを攻撃するので、気分は昆虫のGになったつもりで逃げてください。神と神獣には魔法は効きません。また死ぬこともないので、絶対に勝てません」
「白猫の皆さんが神、神獣と戦闘になった場合は、私たちは皆さんを見捨てて先に進みます。悪く思わないでくださいね」
「元々そういう約束だから問題ない」とエルリックさんは言ったものの他のメンバーはなんとかしてくれって顔をしている。私たちにもできることとできないことがある。四十一から下の階層は戦闘を避けるしかない。戦っても絶対に勝てない。とくに四十九階層は。
私は四十一階層に入る前にルーに目隠しをした。「ルー、ここって気持ちの良い階層ではないの。だからルーに目隠しをするわね」
「歩くたびにクシャ、クシャって音がするけど、それって使い終わった炭だから、気にしないでね」
「ママ……、お姉ちゃんわかった」「私の手をしっかり握ってね」と私がルーに言うと刺すよな視線をアリスはルーに放っていた。アリス、ルーはまだ十歳だし、嫉妬するのは変だよ。
私たちは、頭の中にマップが入っているので、歩くたびに感じるクシャ、クシャの音に耐えて四十一階層を抜けて、光の中四十二階層に到着した。全員遮光メガネをかけた。白猫さんは私たちから遅れること一時間で合流した。壁に埋められた人の顔を見たようで、アル君は神に祈りを捧げていた。
この四十二階層は全速力で走り抜ける。神との戦闘は避ける、神獣との戦闘も避ける。神および神獣を守護しているウォリアーバニーとの戦闘も最小限にして、四十二階層を抜けることにした。
レンジャーのアル君と斥候さんがフルに活躍して、ほとんど戦闘せず似四十二階層を抜けた。グリムがいるといないでは、戦力差が大きくて勝てる気がまったくしない。
四十三階層は初代様がお留守で通過した。エルリックさん魔王城に興味を引かれていたが、主がいないのでパスさせてもらった。
四十四階層では、ルーが「ママ、ママ」って泣きながら叫んでいたので、私はルーの夢の中に入った。確かに私に似た女性が「あなたには精霊の加護があるから、必ず救われる。大丈夫だよ」って泣きながら、ルーに言い聞かせている。
私はルーの手を握りしめた。ルーの夢の中の女性が「お願いね、アズサ」っていたような気がして、私もルーも飛び起きた。
エルリックさんが目覚めたので、エルリックさんが他の白猫さんたちの対応していた。
白猫さんたちが色々叫んでいたけれども一切聞かなかったことにした。皆んな黒歴史を持っているものだから。
四十五階層、グリムがいないので、悪魔との戦闘は避けられないとエルリックさんに進言する。
「申し訳ないが、うちはポーションがないので、中級悪魔との戦闘は避けるつもりです。アズサさんに回すけれども良いだろうか?」
ランキング上位の冒険者といえども、中級悪魔との連戦は厳しいので、私は承知した。とはいえ、中級悪魔を担当したのは殆どミーアさんとボワンナーレの精霊術。ミーアさん、精霊術はイマイチだと言った割には、ボワンナーレさんに魔力をトランスファーしながら、危なげなく中級悪魔を屠っていった。
エルフにおける上手い下手の基準を調べておいた方が良いと思う。言葉をそのまま鵜呑みにしてはいけない。
四十六階層、四十七階層は通過した。エルリックさんは歴史がとても好きのようで、なかなか四十七階層を移動してくれない。アル君にお願いして斥候さんと二人で、エルリックさんを引きずるようにして、四十七階層をでた。
エルリックさんがアル君と斥候さんが睨んでいる。私は知らんって顔をしておく。
オーガの里でなんとか作戦を立てないと、私が五十階層にいられる三日間、これもボワンナーレさんが言っているだけなので、信用はできないけれど。その時間内で泉の結界が解けるかどうか。
結界を解く時間を稼ぐ為に私は妖魔とどのように対応しないといけないのか考えたい。ふう。




