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047 アズサ、皇帝と謁見している最中に魔王クリムゾンが来襲する

 私とアリスは最低限の行儀作法を教えられて、宮殿に入った。私もアリスも宮殿内では話してはいけないと言われている。言葉遣いが冒険者なので、その方が有り難い。グリムは朝食後、姿を消した。けれど、たぶん、私たちと一緒にいるに違いない。


 皇帝陛下からの質問はボワンナーレさんが、本当に死んだのかどうか? 命の泉は五十階層に本当にあったのかと言うものだった。私の答えはボワンナーレさんは妖魔の大軍に襲われて亡くなったこと、泉はあったけれども太古の神霊が張った複雑な結界があって、命の泉かどうかはわからないことを、アーサーを通じて皇帝陛下に話した。


 私は皇帝陛下を見てはいけないと言われて、ずっと謁見の間の大理石の床を眺めているだけだったけれど、皇帝陛下がまったく納得していないのは、声の調子でわかった。これって尋問官行きかもしれないって思っていたら、謁見の間が真っ暗になった。


 皇帝の護衛騎士が、皇帝の周囲を固めた。


人種ひとしゅの皇帝、初めましてなのだ。私は魔王クリムゾンなのだ。少し話したいことがあってここにきた」


 身の丈三メートル、ゾンさんそっくりの魔人が立っていた。皇帝を守っている騎士が剣を抜いたが、つかの先がなくて、騎士はそれを投げ捨ていた。素手で魔王に挑むつもりのようだ。しかし、誰も動かない。いや、動けないようだ。


「そこに立っているアズサは私の友人なのだ」謁見の間にいた貴族がどよめいた。


「そこの平民が魔王の友人とは信じられぬ」


「人外しか入れない五十階層に入った者なのだから、信じた方が良いと思うぞ。一度魔力測定機でアズサの魔力量を測ってみるが良い」


「誰か、ここに魔力測定機を持ってこい」皇帝を守っていた騎士の一人が謁見の間を走り出た。


 グリム、何をするつもりなの。その前に私を人外呼ばわりしたことを謝ってもらわないと。


 魔力測定機が私の前に置かれた。「手をここに置いてください」


 私はアーサーが指示したところに手を置いた。ビシと音が鳴って、魔力測定機が壊れた。


 謁見の間にいた貴族がまたどよめいた。ごめんなさい。壊すつもりはなかったのです。この測定機は分割払いで買い取るので許してください。


「私としては、アズサの魔力は魔人をもしのぐ。問題はアズサの魔法、魔術は我流で極めて危険なのだ。私としては魔族の学校で学んでもらいたいのだが、アズサは人種ゆえ、一応人種の皇帝に一言言ってから入学させたいと思っている。もし、皇帝がアズサを人種の学校で教育したいと思うのなら、それは、それでも良いとも思っている」


「皇帝陛下、帝国魔術学園は平民が入学できる学園ではございません」


「宰相、この者を魔人に渡せと言うのか?」

「いえ、平民は入れないと言っただけでございます」


「アズサには私から、爵位を与えた。準男爵にした。名をアズサ・ドゥー・ボナールという名を私がつけた。いずれは魔王軍の将として迎え入れたいと考えている」


 グリム、お話を変えてませんか。私に爵位を与えたのはシャルルだけど。


「アズサとやら、お前を男爵に任ずる。名はアズサ・ドゥー・ボナールと名乗るが良い」


「朕はアズサを人の学園にて教育する。それで良いかな」


「それで結構なのだ」


 魔王が消えた。


 私はこの展開にまったくついていけていない。私が帝国貴族なんてやめてほしい。私は治癒師アズサなんだから。


「宰相、後はお前に任せた」


 皇帝は騎士たちに抱えられるようにして謁見の間を退出していった。グリムの威圧に耐えた皇帝は凄いと思う。


「アーサー、残ってくれ。打ち合わせしたいことがある。アズサとその弟子だったか、その方らは控えの間を用意するので、アーサーをそこで待つ様に」


「お師匠様、男爵位おめでとうございます」


「アリス、私は治癒師であってお貴族様にはなりたくないの。グリムが強引にやったことで、私は今、大変怒っています」


「ほう。私は、アズサとアリスを救ったと思っているのだ。あのままだと二人とも拷問されていたはずなのだ。普通は、目の前に現れた魔王の庇護下にある者を拷問するとは考えられない。もし万一アズサを拷問したら、皇帝ごとこの宮殿を消し炭にしてやるつもりだったのだ」


「グリム、どういうつもりなの」


「アズサには魔術、魔法をきちんと学んでほしいのだ。魔族以上の魔力を持つアズサが、その扱いに慣れてないのは、危険極まりないのだ。私としては、魔族の学校で学ばすことも考えたのだが、魔族の子が落ち込んでも困るので、人種の学校に入れたかったのだ。計画通りで大変良かったのだ」


 私は十九歳、間もなく二十歳で初めての学校って、恥ずかしすぎる。同級生が全員歳下。考えただけでも地面の下に隠れたいよ。



 私とアリスは教科書を前に試験勉強をしている。なぜアリスもかというと、侍女と主人は一心同体という謎理論で、主人のわからない問題は侍女が答えても良いからだそうだ。


 アーサーの屋敷から通学するように言われたが、寮に入ることにした。アーサーにこれ以上迷惑をかけたくないのと、場合によってはドルドの街に逃げ帰れるようにもしておきたかったから。


 アリスは優秀なのでとても助かる。私は問題文がそのものが理解できない。答えがわからない以前の問題だった。結局私は問題文と答えを丸暗記している。問題文が少しでも変わるともの凄く困る。

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