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045 アズサ、帝都に向かう

第三部、帝国魔術学園

 私は、生まれて初めてダンジョンの街、ドルドの街を出て帝都に向かっている。若様一行と一緒に。そして、皇帝陛下に話があると言うグリムと一緒に。アリスも一緒に。ふうー。


 ダンジョンから出ると、私はすぐに小料理屋の二階の自分の部屋に戻りたかったのだけど、それは、自称私のマネージャーのグリムに却下される。そしてそのまま帝都に連行される。なぜだ?


 五十階層からは出た後のことを思いつくままに話すとこんな感じなる。


 妖魔を取りに冥府に行く件は、ボワンナーレさんが瓢箪に詰めていた妖魔を放したことと、いつ溶けるのかはわからないけれど、氷が溶けたら妖魔に戻るということで、冥府には行かずにすんだ。念のためゴブリン王にお願いして、兵士を五十階層に配置して警備をするよう手配してもらった。


 二十階層にいたタクミに、アリスを押し付けようとしたのだが、「俺、アリスに嫌われているから良いわ。アリスを連れて行ってやってほしい」と逆にお願いされてしまった。タクミは今回の件で、リーダーの座をおいちゃんに譲った。おいちゃんに鍛えてもらうそうだ。おいちゃんの引退が少し伸びてしまった。おいちゃん、ごめん。


 赤の旅団、アカツキさんから、軽く赤の旅団に誘われたのだが、私のマネージャーのグリムが、「アズサはもう少し修行をさせないと、パーティーメンバーを危険にさらしてしまう」と言って断った。修行が終われば、また勧誘してほしいということで、まとめていた。


 ミルヒーさんは体調がすぐれないということで会えなかった。私が「ヒールを掛けます」って言ったら、アカツキさんに「ミルヒーのプライドが傷つく」と言われて、黙るしかなかった。私よりミルヒーさんのヒールの方が私より優れているのは当たり前だから。それで、体調不良というのだからかなり心配ではあるけれど、ミルヒーさんなら大丈夫だろう。


 他のパーティからの勧誘も「アズサは危険」、「アズサは人外でヤバい」とマネージャーのグリムが言いまくったので、全部なくなった。もう二度と誘って貰えないかもしれない。


 ボワンナーレさんだが、皇帝陛下に命の水を持ち帰ると約束していたため、手ぶらで戻ると処刑される。仕方ないので、二十一階層のシャルル様にボワンナーレさんを預けた。交換条件として、シャルルの兵士が捕まえた若様一行を連れて帰ってほしいと頼まれた。


 若様一行には、ボワンナーレさんは五十階層で妖魔の大軍に襲われて亡くなったということにしている。戦士の目が怖かった。


 三十六階層のメアリー王女には、妖魔本体のところに持って行くには強度不足という適当な報告をして、槍を返却した。ちなみにゴブリン王との謁見はグリムが潰した。恩賞がもらえるはずだったそうだ。まあ、生きてダンジョンから出られただけでも有り難いと思う。


 二十一階層の洞窟は謎の美少女が復旧させたらしい。その噂を聞いて、グリムがとってもご機嫌だった。初代様、ありがとうございます。今度会ったらお礼を言おうと思っている。



 帝都に到着した。私とアリスとグリムの滞在先は若様のお屋敷だ。私とアリスはお貴族様の屋敷とはまったく縁がないので、落ち着かない。私は庭に穴を掘ってそこで寝たいくらいだ。


「お師匠様、私どうすれば良いのでしょうか?」


「私もどうして良いのか、わかりません。何しろ私はドルドの街でさえも歩いたことがなかったものですから」


「お師匠様、帝都内を散策しましょうか?」


「侍女のマーサさん、私たち帝都を散策したいのですが」


「アーサー様に伺って参ります。しばらくお待ち下さいませ」


 私たちのためにマーサさんという侍女をつけてくれている。マーサさんがアーサーと一緒に戻ってきた。


「私が、お二人を案内します」とアーサーが満面の笑みで言う。別に帝都を観光したいわけではなく、その辺りを散歩したかっただけなのだが。


「馬車を用意いたしますので、しばらくお待ち下さい」とマーサさんが部屋を出て行った。


「アーサー様、グリムはどこに行ったのでしょうか?」


「グリムさんは、我が家の騎士たちと剣術の稽古をされています」


「グリム、一人残すのは不安なので、お稽古の場所に連れて行って貰えないでしょうか?」


 グリム一人をここに残すのは極めて危険だ。絶対拗ねると思う。


 剣術の稽古の場所に連れて行ってもらった。そこは屋敷の中庭だった。中庭に立っているのはグリムただ一人。十数人の騎士は地面とお友だちになっていた。


「これは一体……」


 アーサーは絶句している。それはそうだろう、見た目幼女が木刀を持って涼しい顔をしているのだから。


「頑張っているのはわかるのだ。ただ、下半身ができていない。走り込みが必要だと思うのだ」


「グリム、アーサー様が帝都を案内してくださるそうよ。一緒に行きましょう」


「そうか、帝都観光なのか。それは楽しみだ」


 無事、魔王を回収して、私たちは帝都観光に出かけた。

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