040 アズサ、四十六階層にて死霊と戦う
スケルトンの軍団に、レイスに、屍人がいっぱいだよ。メンタルがやられる。
「ここは死霊術師が、呼び出す、スケルトン、レイス、屍人の控え室になっている。仕事が終われば一度ここに戻ってきて、奥のシャワー室で汚れを落としてから、自分のネグラに帰るのだ」
「彼らは、彼女らも、仕事でなければ、人種を襲ったりはしないので、安心して良いぞ」
「お前ら、聞いたか? すげえ、プリーストがよ、現れたらしいぜ」
「聞いた、聞いた、前回召喚されたヤツらはツイテるよな。俺、寝過ごして不参加だったのが悔やまれる」
「良いよな、輪廻の輪に戻れてよ。俺なんか、ここにきて数百年にもなる。俺はここで最古参になっちまったぜ」
「俺も、お前と似たような時期にここに送られてさ。未だにここから出られない。マイったよ。今日も呼び出しはなそうだしさ。お茶を挽きそうだよな。ああ、ツイテね」
なんと言うか、仕事にあぶれたオッチャンたちの会話を聞いているようで、もの凄く切なくなってしまった。
「あら、良い男ね。私と遊ばない」って影の薄い戦士さんがレイスにナンパされていた。
「僕はそういうのは良いです。なんというかダメなんです」
「へえ、初めてなんだあ。嬉しい」
「アズサさん、助けてください」と言われてお姉さんの幽霊さんと対面させられた。
お姉さんが明らかに不機嫌な顔になって、私を睨めつけている。
「この人なんですけどね。男の人にしては珍しく、一筋さんなので浮気ができない人なんですよ」
「あたしは、そういうお堅い人をね落とすのが好きなんだよね。後ろで怖い目でさ、睨んでいる子がいるから今日のところは引くけどさ」
「戦士さん、お姉さんにからかわれたくらいでオタオタしないで、ビシッと断ってくださいね」
「僕、こういうことに慣れてなくてどう言えば良いのか、パニックになってしまって、ねえ、ヒロシ君、どう断ったら良いのかな」
「リーダーは今日は間に合ってるっていつも言ってたよ」
「そ、そうなんだ。ありがとうね」
「戦士さんて、もうすぐ三十歳ですよね。ヒロシは十六ですよ。大丈夫ですか」
「どうだろう、アズサさんなら緊張しないのだけど」
ブーブーブーっとブザーの音が部屋中に鳴り響いた。
「よっしゃあ! 仕事だ。召喚室に行くぜ!」控え室から元気に召喚室に死霊たちが移動していった。
「皆んな行っちゃいましたね」
「お茶を挽かなくて良かったのだ」
「死霊術師が悪さをしているので、できれば、お茶を挽いてくれればよかったのですけど」
「それでは、四十六階層を探索するのだ。ここから外は外回りの死霊が仕事をしているので、アズサはプリーストととして、彼ら、彼女らを輪廻の輪に戻してやるのだ」
「グリム、私は……」
「お前は精霊術師だ」
外に出てからは私たちは団子状態になって移動した。結界を張りつつ、アリスは私にヒールを掛けつつ、私はやってきた死霊を精霊術で浄化して回った。
戦士さんをナンパしていたお姉さんに出くわして、「あんたプリーストだったの、さっきはごめんなさいね。それじゃ、また現世で会いましょうね。僕ちゃん」と一言言ってお姉さんは浄化されていった。
「戦士さんも、お姉さんに、次会う時はしっかりしてね」
「はい、頑張ります」
「ねえ、アズサ、悪いのだけど、仕事から帰ってきた連中も浄化してほしいのだ。この階層の死霊の指揮官ってエルフなのは間違いないのだ。ここはエルフの拠点で間違いない。ここの死霊たちはエルフの命令に従っているだけなのだ。皆んなを輪廻の輪に戻してほしいのだ」
「はい、承知してしました」
「ありがとうなのだ」
「五十階層で、私はここの連中とはやり合いたくないのだ。私だと連中を輪廻の輪に戻せないから。魂丸ごと消してしまうのだ……」
「どのタイミングで浄化すれば良いですか?」
「シャワーを浴びてさっぱりしてからだな。綺麗になってから浄化させてやりたいのだ」
「アリスのヒールも効果があるので、私が指示した子にヒールを掛けてあげるのだ。アズサの弟子、期待しているぞ」
「グリム様、師匠の名に恥じない仕事をします」
「それで良いのだ」
四十六階層にいた死霊たち、彼ら、彼女らの希望通り、輪廻の輪に戻した。私たちは、ボワンナーレさんの拠点を完全に潰した。




