004 アズサ、ゴブリンと戦う
「アズサ先生、どうしてソロ何ですか? アズサ先生ならどこのパーティも大歓迎だと思います」
アズサ先生って名前を付けるなよ。恥ずかしいだろう。
「まあね。パーティって人間関係が大変じゃない。そういうのって煩わしいというか……。そういうことね」
「パーティの人間関係ですか? 仲が悪いパーティってヤバいですよね。混乱に乗じて後ろから刺されることもあるらしいですね」
「過去にそういう事件もあったね」おジンがパーティの仲間に刺された。死ななかったけど。おジンを刺した奴はパーティを追い出された。刺した奴は事故だと言い張っていたけど、誰も信じなかった。
おジンを刺した動機は、ダンジョンで見つけた宝箱をパーティメンバーに言わずに、自分の雑嚢に入れたのをおジンに見られたと思ったから。おジンの口封じをしようとしてしくじった。ちなみにネコババ行為を見たのは別のパーティメンバーなんだって。おジンは勘違いされて刺されたわけ。おジンの人生って、ホントついてないことだらけだ。ダンジョンで赤ん坊を拾うくらいついていない。
「アズサ先生、パーティに入るとしたら、月、幾らくらいの報酬がほしいですか?」
「なかなか答え難い質問ありがとう。最低でも金貨五枚かな」
「ウチのパーティでは無理だ」
「君たち、中級に上がったのだから、もうちょっと夢を持ったら」
「さっきボーアに追いかけ回されて、夢が砕けました」
「君たち、誰も死んでないから、ついてるよ」
「ボーアに追いかけられたお陰でアズサ先生と知り合いになれたのもついてますよね」
「そうだね。オマケのアドバイス、必ず安全マージンを取ること。魔物の体力を徐々に削って、動けないようにしてから、慎重にトドメをさすこと。トドメをさす時に魔物にやられることが一番多いのよ」
「アズサ先生、ありがとうございます」
「アズサ先生、二個の魔石必ず届けますから。待っていてください」
「ああ、待っているけど、無理と無茶は絶対しないこと」
「はい!」
「それじゃあ、またね」と言って、私は森の中に入って行った。アズサ先生か、私が人を教えるなんてね。びっくりだよ。リズって言ったかな。魔石を取るために無理や無茶はしないでほしい。私の教え子たちには長生きしてもらいたいものだ。
さてと、この洞窟を抜けると十二階層だ。相変わらず吸血コウモリがうるさいな。シールドにぶつかって吸血コウモリが魔石をドロップしている。小さいから拾わないけれどね。
十二階層、ここはゴブリンの巣が多いので、けっこう通過するのが面倒くさい。ゴブリンは亜人と呼ばれて魔族よりの人種と言われている。ゴブリンの中にも知恵のある者が少なからずいるので、罠を張ったり、その罠が日ごとに上手くなっていく。最近ではベテランのレンジャーも引っかかることがあるみたい。本当に厄介だ。
ここに道ができてる。大規模パーティが歩いた跡がある。この道を行けば、上手くするとゴブリンと出会わないで、十二階層を抜けることがって思ったら、ゴブリンの臭いがする。かなり近い。私はまだ攻撃魔法の加減ができないからこの辺り一面焼け野原にしてしまうかも。
ゴブリンが十数匹、ニタニタした表情で、前の連中は短剣を持ち、後ろにいる連中は弓矢を持って、私が近づくのを待っている。
短剣を持った連中が私に向かって突貫してきた。シールドにぶつかってキョトンとしている。シールドを短剣でガンガンついている。気持ち悪い。だからゴブリンは苦手なんだよ。シールドに雷を纏わした。ゴブリンどもがひっくり返って痙攣している。
痙攣している連中を見て、弓矢の連中がゲタゲタと笑っている。矢を放ってきた。痙攣している連中に当たるのもお構いなしだ。矢がシールドに弾かれると、怒りだした。表情豊かな連中だ。
弓矢の連中は怒ってはいるものの、こっちに近寄ってはこない。そのまま素通りしてみた。追ってもこない。戦っても勝てない相手は決して襲わないのがゴブリンだ。どうせ巣穴に戻って別のゴブリンに私を襲わせるのだろうけど。だからゴブリンは苦手だ。とっとと十二階層を抜けたい。
後ろから魔力を感じる。ゴブリンシャーマンのお出ましのようだ。魔法の矢がバカスカ飛んでくる。本当に鬱陶しい。もう我慢の限界。私はシャーマンがいる方向に向かってライトニングを放った。爆音が十二階層中に響き渡る。
クルリと前を向いて私は後ろがどうなったかは確認せずに、ズンズン前に進んだ。ゴブリンたちも爆音に驚いて巣穴に引っこんだようでその後は出てこなかった。私は十二階層を抜けて十三階層に入った。




