035 アズサ、四十二階層光の階層で目がくらむ
暗黒階層四十一階層を、アリスとヒロシは目に涙を溜めながら歩いて、やっといつもの洞窟に辿り着いた。アリスとヒロシがかなりダメージを心に負った。トラウマにならなければと少し心配している。
問題は遮光メガネだ。グリムの話では四十二階層に出た途端、目が焼けるそうだ。困った。グリムが持っている遮光メガネを見せて貰う。レンズに色がついている。このメガネは紫外線カットはできないので、目を痛めるだろうと言う。紫外線とはなんだろう。一般常識ぽいので尋ねられない。後でヒロシに教えてもらおう。私もアリスも治癒師なので治せるとは思う。さて、遮光メガネをどうして調達したら良いものか?
ヒューヒューと音がした「アズサさん、なければ作れば良いのでは、ここにはたくさん魔石が落ちてますし」
吸血コウモリのおかげで魔石はたくさん落ちてるけれど、そういえば、以前、戦士さんて舟を魔石から作っていたっけ。忘れていた。戦士さんて忘却魔法を使っているのか? 戦士さん関係の記憶があやふやだ。
「戦士さんって副業は錬金術師だったけ?」
「ピンポンパンポンパ! アズサさん。思い出してもらえて嬉しいです。十ポイント差し上げます。百ポイントゲットすれば、僕のサイン入り色紙をプレゼント」
「あっそう。頑張るわ」とあっさり戦士の話を流した私だった。
影の薄い戦士さんが魔石を遮光メガネの形に変えた。「アズサさん、このメガネにヒールを掛けると紫外線をカットします」
「おい、生き霊、私のメガネにもアズサがヒールを掛けると紫外線をカットできるのか?」
グリムの中では影の薄い戦士さんは生き霊認定されたようだ。
「おそらく、紫外線カットが、そのメガネにも付与されるはずです」
「アズサ、私のメガネにもヒールをかけるのだ」
「了解です。グリム」
グリムって名前を呼ぶと、グリムの顔の表情が緩む。グリムは本当に名前が欲しがっていたのがよくわかる。
「ヒール」私は初めて物にヒールを掛けた。どうなるのか私も興味深々だ。
グリムがメガネをかけた。グリムは可愛いのでメガネをかけると、またいつもとは違う可愛いさになる。アリスはメガネ美少女だ。ある特定の趣味の人たちから崇拝されると思う。ヒロシは、普通だ。とくに感想はない。戦士さんがかけたみたい。メガネが中に浮いている。居場所がわかるので、いつもかけていてほしい。私は、ヒロシが言うには、ヒロシが通っていた先生によく似ているそうだ。なんか微妙な感想だ。
四十二階層に入った。遮光メガネをかけていても、眩しい。もし、メガネをかけていなかったら、目が焼けていたのは間違いない。グリム、グッドジョブです。
「ここには魔物はいないですよね。こんなに明るいところは魔物は好きではないですから」とヒロシ。
「いや、いる。魔法が使える魔物でかなり厄介だと思う。物理攻撃は効くと思うが、魔法攻撃は、私が放った魔法なのに弾き返した」
魔王の魔法攻撃を弾き返すとは、どれだけの魔法耐性があるのか。視野が制限されているし、ここは逃げるしかないかも。私は不安なのでシールドを三重がせねにした。魔力消費量が半端なく増えた。早くここを抜けたい。
「アズサさん、とにかくデカイのがきます」なんだとにかくデカイものって。確かにとにかくデカイとしか表現できない。一言で言うとデカイ壁だ。
グリムが飛び出して、デカイ壁を殴った。殴ったところは一時的に穴が空くものの、すぐに塞がってしまう。
「これも厄介なのだ」
魔王公認の厄介なものをどうやって倒せば良いのだろうか? グリムが風魔法を連射したが、これまた一時的に壁にスリットが入るが、元の状態に再生してしまう。
盾役の戦士さんが壁に突貫して、通り抜けてしまった。凄いぞ。影の薄い戦士さん。見直した。私たちにはそんな芸当はできない。
「さすがわ、生き霊、通り抜けるとは」と影の薄い戦士さんをグリムが褒めていた。
「アズサ、何か良い考えはないのか? このままでは動けないのだ」
「良い考えですか、とりあえず固めてみましょうか?」
「ハード、ソリッド」私は壁を固めてみた。
グリムが突貫して、壁をタコ殴りにしている。「これは良いぞ。再生しない」壁をバラバラにして、グリムはご機嫌だ。壁を倒すと、空中にメガネが浮いていた。
「皆さんがこれて良かったです。また壁を抜けようかと思っていました」




