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022 アズサ、ベイルウオルフと対峙するその3

「地上が静かになったみたいだし、上がってみようか?」


「はい、アズサさん、お供します。どこまでも」


 地上に上がるだけだし、そこまで気合いを入れなくてもって、言えないよう。そのお目めキラキラが眩しいので、やめてほしい。


「私から離れないでね。シールドを重ね掛けしているから、相手がベイルウオルフでなければ、シールドの重ね掛けはしないのだけど」


「本職の魔術師もシールドの重ね掛けはしません。アズサさんは魔術師職は副業なのにできるのですね」


「へっ、魔術師もしないの」


「はい、私が以前いたパーティの魔術師は盾役と自分のシールドを一重を張るだけでいっぱいいっぱいでした」


「そうなんだ……」私って冒険者としての常識も抜けているみたい。おジンは剣士だったけれど、副業で魔術師だったから、いつもシールドの重ね掛けをしていたし、当然本職の魔術師はもっと凄いって思い込んでいた。おジンってけっこう凄い魔剣士だったんだ。


「アズサさん、真正面からマウントタイガーが近寄ってきますけど」


「トラオのことかな、トラオは私が育てた子だから襲ってはこないよ」


「トラオ、ボーアの肉があるけど、食べるかい」


 トラオをシールドの中に入れて、ボーアの肉を三切れトラオの口の中に入れてあげた。「ごめんね。途中でさ、狼の群れに出会って、半分やるハメになって、今度きたときは、もっとあげるからね」トラオはゴロゴロと喉を鳴らして目を細めて嬉しいそうだ。


「トラオって可愛いでしょう。ネコぽくって」


「迫力が凄いです」


「トラオ、またね」って頭を撫ぜると、私の手を舐めてくれた。それが終わると、地響きを立てて森の中に走っていった。


「アズサさんにとって三十階層は庭みたいなものですか?」


「そうだね、以前はベイルウオルフはいなっかったんだけどね。下層でトラブルがあったらしいの。それで下層から色々なのが上の階層に逃げ込んでいるみたい」


「私ね、ちょっと用事があって四十階層までいかないといけなくてね。ここで、食料とかを調達したら出発するつもりなんだ」


「アリスちゃんは必ず、野営地まで送るから、安心してね」


「私はアズサさんとどこまでもご一緒します。私はアズサさんの弟子ですから」


 アリスちゃんって思い込みが激しいから、私がはっきり断らなかったので、弟子入りを認められたと思い込んでいる。困った。


「パーティメンバーの意見も聞いてみないとね。私が恨まれるから」


「私、必ず他の方々の同意を得ます!」


「そうなんだ……」とっても足手まといなんだけどって言えない。


 野営地の崖の上には、ヒロシとおいちゃんと、注意深く見ると戦士もいた。


「おいちゃん、ヒロシ、お疲れ様、無事でなによりです」


「アズサさん、ワザと僕を抜くのはやめてください。アズサさんが気が付いているのはわかっているのですから、僕をネタ扱いしないでください」


「ごめん、ごめん、つい抜いちゃった。えへ」


「良いですけど、僕は影が薄いですから」というと戦士の気配が消えた。


「アズサ、戦士が拗ねた。ちょっとやり過ぎだ」


「おいちゃん、ごめん、つい懐かしくてさ」


「皆さん、聞いてください。私はアズサさんと一緒に四十階層に行きます」


「アリス、気をつけていっといで、あそこは超寒いから、アズサから離れないようにな」


「おいちゃん、四十階層を知っているの」


「おジンと二人で見物に行った。お前にも聞かしただろう、コキュートス、氷雪の地獄のことを」


「おジンのホラ話だと思って半分以上聞いてなかったよ」


「ヒロシもせっかくだから、アズサと一緒に行ってこい」


「俺、寒いのは苦手なんだ」


「途中でインフェルノを通るから、そこで焼けた石を革袋に入れておくと良い」


「アズサ良いな」


「アリスとヒロシをお前に預けた。必ず生きてダンジョンから出ろよ」


「おいちゃんはどうすの?」


「俺はタクミたちの面倒をみないと」


「すみません、僕はどうしたら良いのでしょうか?」と不意に声が聞こえたので、思わず「うわー」って声が出てしまった。


「驚かさないでください」


「僕はずっとアズサさんの隣にいたのですが」


「ごめん、気づかなかった」


「お前はアズサについて行け。悪いが俺ではお前の面倒を見る自信がない」


「おいちゃん!」私だってないよって、言えない。


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