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010 アズサ、スケルトンの大軍に襲われるその2

「結界は、あなたにお願いしたい。これでどうだろうか?」エルフの御守りとは、これは金貨十五枚以上で売れるよ。嬉しい。


「商談成立です」と私はニコニコしてエルフの御守りを受け取ると結界を張った。レイスが結界に当たると、輝くのでとても綺麗だ。


 土壁を超えて侵入してきたスケルトンを若様とアサシンが倒している。この戦士はやはりエルフ様の前から動かない。魔術師は若様のサポートをしている。土壁を維持しながらファイアボルトは撃てないみたいだ。


 午前四時になった。スケルトンの軍団が消えた。若様、魔術師、アサシンは一睡もできずにお疲れモードだ。このまま、逃げようと私はテントを片付けて、出発の支度をした。エルフ様も同様に出発支度を整えて私の隣に立っている。戦士は慌てて自分の支度に取り掛かる。


「エルフ様、私は先に出発しますね」


「ええ、どうぞ。私もご一緒にしますから。おそらくあなたと一緒の方が安全だと思います」


「エルフ様、護衛の方を置いて行かれるのはどうかと思いますが」


「ああー、戦士の方ですか? そうですね、彼女が、襲われると、守る人がいませんね。彼女も覚悟の上で、ここにきているので問題ありません。行きましょうか」とエルフ様が歩き出した。首筋に殺意が感じられる。私は後ろは見ずにエルフ様と一緒に旅立った。


「私の名前はキルケの里のボワンナーレと言います。もちろん真名まなではありません。よろしく」


「私はアズサです。平民なので姓はありません」


「アズサさん、スケルトンの軍団はまたくると思いますか?」


「おそらく、これから毎晩、襲撃されると思います。人間は睡眠時間を削られると、心身が不調になりますから」


「そうですね。私も御守りをアズサさんに渡したので、もう金目の物を持っていません。困りました」


「一度、ダンジョンから出て装備を整えてから、もう一度潜られた方が良いのでは」


「ワイバーンの飼い主さんが、それを見逃してくれるでしょうか?」


「どうでしょう? 五十階層に皆さんを行かさないことが目的なら見逃してくれるかもしれませんよ」


「その可能性もありますが、アズサさんは同行しないのでしょう」


「私は予定通り、三十階層を目指します。ご同行はできません」


「そうですか。今から戻ったとしても、私たちは十三階層で全滅すると思います。私たちを始末した後に、ワイバーンのかたきであるあなたを、ワイバーンの飼い主は襲う」とボワンナーレさんが不穏なことを笑顔で言う。


「アズサさん、何か良い考えはありませんか?」


「十三階層で大規模パーティが通った跡を見ました。その遠征部隊に合流できれば五十階層近くまで潜ることができるのではと思います」


「大規模パーティに合流ですか」と言うとボワンナーレさんが考え込んでしまった。


 首筋がチリチリする。後ろがとても騒がしい。ボワンナーレさんと私は立ち止まって振り返ると、ハエにたかられている、若様、魔術師、アサシン、戦士の姿が見えた。「虫除けの線香を焚いてないのかな」と私がポツリと言うと、ボワンナーレさんも「どうもそのようですね」とポツリと言う。


 ボワンナーレさんは「ウルサミエル……」と詠唱すると騎士たちにたかっていたハエが逃げていった。どちらが護衛対象なのかって言いたくなった。護衛が、護衛対象に守られてどうするの。口に出しては言わないけれど。


「エルフ様、お待ちください」待ってますよって言いたくなった。戦士の目が怖いよ。首筋がさらにチリチリしてきた。私、戦士に後ろから刺されるかもしれない。夜はテントの中で「棺おけ」に入って寝ることに決めた。


「アーサー、私が作った虫除けのお線香はどうしたのですか?」


「実は線香に火を着けようと、ミドレイがファイアボルトを使ったところ、一瞬ですべてが燃えつきてしまいました。申し訳ありません」


 私はもう何も言いたくなくなった。勝手にすれば良いと思う。黒猫にいた時も、そう思ったことがあったなあ。私は遠い目をしていた。


「アズサさんが言うには、今ダンジョンに遠征部隊がいるそうだ。その部隊に合流できれば五十階層まで行けるかもしれない」


 

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