扇風機
買って二年の扇風機の首が回らなくなって壊れた。
ちょっと前にカタカタ音が鳴ってたのが、ついにギシギシなり始めて、ついには動かなくなる。
羽だけは回っているけど止まるのも時間の問題だろう。
扇風機の設計寿命は7年と言われてるけど、安物だったせいか全然持たなかった。
安いだけで役立たずだった。
この暑い中扇風機を買いに行かないといけないと思うと憂鬱になる。
僕の愚痴を聞いていた扇風機がキレた。
「なにが設計寿命だ! こんな糞暑い中、一生懸命首を振って冷やしていたのに役立たずだと? やってられん!」
扇風機はキレッキレである。
わざと温い風を送ってきたり、カタカタと嫌な音を立てまくる。
明らかに嫌がらせだ。
「おい、やめろ! 余計に部屋が暑くなるだろ!」
僕の静止を扇風機は聞かない。
「じゃあ、謝れ! 土下座して謝れ!」
さすがに、壊れた扇風機には土下座をしたくないが、少し言い過ぎたのは悪いと思っている。
「ちょっと言い過ぎた、ごめん」
首を下げて謝ったら、満足したのか扇風機が笑っている。
「こいつ人間の癖に首振り機能付きだぜ!」
それ以来、僕の首は上下に首振りを続けて止まらない。
どうやら僕は人間としての設計寿命が訪れたようだ。